亜鉛は不足しやすいミネラルなんだって

この記事では、亜鉛について、亜鉛のはたらき。不足するとどうなるか。過剰摂取するとどうなるか。多く含まれる食品。1日の摂取量。実際に日本人は1日にどのくらい摂っているのかについて書いています。

かき

図解入門よくわかる栄養学の基本としくみを読みました。

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亜鉛は細胞内にある

鉄は、ヘモグロビンにあるので、赤血球に一番多く存在しました。カルシウムなら骨かなと予想がつきますが、亜鉛ってどこにあるんでしょう?

この本には次のように書かれていました。

亜鉛は体内に2~4g存在しています。ほとんど(95%以上)が細胞内に含まれ、わずかに血液や毛髪、ツメなどにも含まれています。

臓器としては、全体の85~90%が骨と筋肉に存在しています。

さらに、日本人の食事摂取基準(2015年版)にはもう少し詳しく書かれていました。

主に骨格筋、骨、皮膚、肝臓、脳、腎臓などに分布する。

亜鉛のはたらき

亜鉛は、酵素に含まれて酵素活性に関わり、また、タンパク質の立体構造に関わっています。

酵素活性

酵素活性とは、酵素のもつ体の中での化学反応の触媒作用の有無、あるいは触媒作用の強さのことをいいます。

亜鉛を含む酵素は、約300知られているそうです。

ごく単純に考えると、亜鉛がなくなるとそれらの酵素がつくられなくなり、酵素が関与する体内の化学反応が進まなくなります。

本の中では、亜鉛を含む酵素が14個紹介されていました。機能についての説明は、細胞分裂、核酸代謝、各種酵素補因子としか書かれていなかったので、改めて調べてみました。

炭酸脱水酵素 炭酸と二酸化炭素の平衡化の反応 H++HCO3⇔CO2+H2O を加速する酵素。(出典
ペプチターゼ ペプチド結合の加水分解を行う酵素。高分子である蛋白質を分解するプロテアーゼ (→蛋白質分解酵素 ) に対して,ペプチドを分解するものをペプチダーゼとして一応区別できるが,本質的差異はない。(出典
アルコール脱水素酵素 アルコール発酵の最終段階に関与する酵素で、次の可逆反応を触媒する。CH3CHO+NADH+H⇄C2H5OH+NAD (NAD;ニコチン酸アミドアデニンジヌクレオチド)アルコール発酵を特に強力におこなうのは酵母であり、酵母からはこの酵素が結晶として得られている。(出典
アルカリホスファターゼ ALPともいう。有機化合物であるリン酸エステルを加水分解する酵素。肝臓や胆道、骨などに由来し、これらの臓器に疾患があると血清中に増量する。この性質を利用して、肝機能検査などに広く用いられる。(出典
ポリメラーゼ DNAやRNAのような核酸ポリマーや長鎖を合成する酵素の事である。(出典
スーパーオキシドジスムターゼ(SOD) スーパーオキシドアニオンと水素イオンを反応させ三重項酸素と過酸化水素を生成する反応を触媒する酵素。すなわち、2O2・+2H→H2O2+O2の反応を触媒する酵素。(出典
アンジオテンシン変換酵素 不活性体であるアンジオテンシンIを、生理活性を持つアンジオテンシンII に変換する反応を触媒する酵素(プロテアーゼ)である。基本的な働きはアンジオテンシンIを活性体へ変換し、血圧の制御を行うことにある。(出典
コラゲナーゼ コラーゲンを特異的に分解するプロテアーゼ。(出典
デルタ・アミノレプリン酸脱水酵素 ポルホビリノーゲンシンターゼともいう。ポルフィリンの生合成系の酵素の一つ。2分子の5-アミノレブリン酸の間で脱水して、ポルホビリノーゲンにする。(出典
プロテインキナーゼC カルシウム依存性プロテインキナーゼの一つで、タンパク質のセリン、トレオニンのリン酸エステル化反応を触媒する。(出典
ホスホリパーゼC リン酸エステル基の直前でリン脂質を切断する酵素群の総称である。(出典
アスパラギン酸トランスカルバミラーゼ ピリミジンヌクレオチド合成経路の最初の段階の反応を触媒する。(出典)(参考
ヌクレオチドホスホリラーゼ
(5’-ヌクレオチダーゼ)
塩基+糖+リン酸の構造をもつヌクレオチドからリン酸を切り離し,あとにヌクレオシドを残す酵素で、特異的なホスファターゼの一種である。(出典
RNアーゼ 核酸分解酵素の種類は合成酵素よりもはるかに多く、生命維持のために必要な、きわめて多様な役割を果たしている。核酸分解酵素は、まず基質の種類(DNAかRNAか)によって大きくデオキシリボヌクレアーゼ(DNase)とリボヌクレアーゼ(RNase)に分けられる。(出典

黄色いマーカーを引いておきましたが、細胞分裂のためには、ポリメラーゼが働かないとDNAやRNAがつくられません。

また、ペプチターゼが働かないと、新しい細胞になる材料が足りなくなります。

構造の維持

タンパク質は立体構造をしているのですが、その構造に亜鉛が関わっています。

亜鉛には構造を維持する役割があります。亜鉛は化学構造上、4つの結合の手を持っていて、タンパク質やRNAなどをくっつけるのを助け、立体構造を構築する役割をしています。

この構造はZnフィンガー(指の意味)と呼ばれます。亜鉛が欠乏するとタンパク質の立体構造ができなくなり、分解されやすくなります。

Znフィンガー構造は、とくに遺伝子において重要です。遺伝子の発現を調整する転写因子に存在しており、約8%の遺伝子がこの転写因子により調節されるといわれています。

転写因子は、DNAに特異的に結合するタンパク質の一群です。

不足するとどうなる?

亜鉛の欠乏症の発見について、次のように書かれていました。成長と貧血に関係するようです。

亜鉛の欠乏症は最初、1961年にイランで成長遅延がみられる子供たちから発見されました。

彼らの食事はポテトとミルク、それにイーストを使わないパンだけだったそうです。栄養不良のために身長が低く貧血性機能の低下が見られました。

毛髪を調べたところ亜鉛が少ないことがわかり、亜鉛を補充することで症状が改善されました。(中略)

成人における亜鉛欠乏症は、意外なところから発見されました。1975年、高カロリー輪液のみから栄養補給を受けている患者に、亜鉛の欠乏症が見つかったのです。

当時は微量栄養素の存在が知られていなかったため、栄養輪液に微量栄養素が入れられていませんでした。結果として、微量栄養素の欠乏実験を行っているのと同じことになってしまったというわけです。

亜鉛欠乏症は味覚障害と嗅覚障害から始まる

亜鉛欠乏症は、軽度の場合、まず、味覚障害と嗅覚障害が現れます。これは、上に書いた高カロリーの栄養輪液を受けた患者さんから発見された症状です。

嗅覚や味覚の受容体が、亜鉛を含むタンパク質であることが関係しているようです。「味が無くなる」「異常な味を感じる」といった味覚障害により、食欲が低下して、さらに欠乏症が進むことになります。

成人に見られる亜鉛の欠乏症は、味覚障害、嗅覚障害のほか、皮膚、骨などの障害、免疫、神経系の障害、創傷治癒の遅れなど、多岐にわたるとありました。

このように説明されてもなんとなく漠然とした感じを受けます。

これは、細胞分裂に関わる酵素に亜鉛が必要なので、広い範囲にわたって影響があると考えておきます。

過剰摂取するとどうなるか?

亜鉛の場合、通常の食品を摂っている限り、過剰摂取はないとされています。しかし、サプリメントなどのとり過ぎによって過剰摂取が起きる場合があります。

日本人の食事摂取基準(2015年版)には次のように書かれていました。

亜鉛自体の毒性は極めて低いと考えられるが、多量の亜鉛の継続的摂取は、銅の吸収阻害による銅欠乏、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)活性の低下、貧血、汎血球減少、胃の不快感などを起こす。

汎血球減少とは、血液中の赤血球・白血球・血小板の全ての血中細胞成分が全体的に減少することです。(出典

亜鉛を多く含む食品

100gあたりの亜鉛を多く含む食品を調べてみました。なんといっても、カキ(牡蠣)がよく知られていて、また、含有量もダントツで多いです。100g食べるのはむずかしくありません。

カキ(牡蠣)の生産地の近くに住んでいる人はうらやましいですね。

牡蠣、貝、肉に多い

カキのような貝類、たにし、イタヤガイ、ほやにも多く含まれています。それ以外は、ぶたのレバーや、牛肉、ラム(ひつじ)に多いです。

それ以外になると、100g食べるのがむずかしいものばかりになります。飲み物ならココアはよさそうですね。

亜鉛 : 含有量(出典
食品名 成分量
100gあたりmg
小麦はいが 15.9
かき/養殖生 13.2
パプリカ/粉 10.3
まさば/さば節 8.4
パン酵母圧搾 7.8
ナチュラルチーズ/パルメザン 7.3
こい/養殖、内臓、生 7.0
ココア/ピュアココア 7.0
まつ/生 6.9
ぶた/肝臓/生 6.9
まいたけ/乾 6.9
うし/かたロース/赤肉生 6.4
抹茶 6.3
たにし/生 6.2
いたやがい/養殖生 6.1
あまに/いり 6.1
ごま/ねり 6.0
こめ/米ぬか 5.9
うし/かたロース/脂身つき生 5.8
うし/かた/赤肉生 5.7
ほや/生 5.3
乾燥わかめ/板わかめ 5.2
凍り豆腐/乾 5.2
ラム/かた/脂身つき生 5.0
ささげ/全粒乾 4.9
さくらえび/素干し 4.9
レンズまめ/全粒、乾 4.8
やぎ/赤肉生 4.7

1日の摂取量は?

日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、日本では亜鉛を測定していないのか、海外のデータをもとに算出されています。

日本人を対象とした亜鉛代謝に関する報告がないので、成人の推定平均必要量はアメリカ・カナダの食事摂取基準を参考にして算定した。

亜鉛の食事摂取基準(mg/日)
性 別 男 性 女 性
年齢等 推定平均必要量 推奨量 目安量 耐容上限量 推定平均
必要量
推奨量 目安量 耐容上限量
0~5(月) 2 2
6~11(月) 3 3
1~2(歳) 3 3 3 3
3~5(歳) 3 4 3 4
6~7(歳) 4 5 4 5
8~9(歳) 5 6 5 5
10~11(歳) 6 7 6 7
12~14(歳) 8 9 7 8
15~17(歳) 9 10 6 8
18~29(歳) 8 10 40 6 8 35
30~49(歳) 8 10 45 6 8 35
50~69(歳) 8 10 45 6 8 35
70以上(歳) 8 9 40 6 7 35
妊婦(付加量) +1 +2
授乳婦(付加量) +3 +3

日本人は実際どのくらい亜鉛を摂っているのか

図解入門よくわかる栄養学の基本としくみにも、日本人の食事摂取基準(2015年版)にも、亜鉛は不足しやすい微量元素だと書かれていました。

しかも、亜鉛を多く含む食品を調べると、カキをはじめ、毎日レバーや牛肉を食べる人はそれほどいるとは思えません。意外と亜鉛を摂るのはむずかしそうです。

実際、1日どのくらい摂っているのだろうと思って調べました。

ちょっと古い1981年の論文ですが、日本人の亜鉛摂取量についてが見つかりました。日本人の食生活が変わったのは、円高になって輸入食品がとても安くなったバブル経済以降のことですから、このときより、肉の摂取量が増えていることは間違いないでしょう。

日本人はたん白源を魚に求める人達が多いが,魚たん白は獣鳥肉に比べると概して亜鉛含量が多くないので,成人1日の亜鉛摂取量はそれほど高くならない。

神戸市在住者の代表的な献立10例を選んで,成人1日の亜鉛量を調べたところ,その平均値±標準偏差は8.9±2.5mgであった。

この値はアメリカ,イタリア,デンマーク等の推奨所要量15mgに比べるとかなり低い値であるが,チェッコスロバキアの推奨所要量8mgには十分達している。

さらに、平成27年国民健康・栄養調査結果の概要 を読むと、20歳以上の男女1人1日あたり平均値で8.9mgでした。

推奨量までは足りないですが、推定平均必要量は摂っているようです。

まとめ

亜鉛は不足しやすいと書かれていたので、一応そういうものだと思っていた方がよいです。欠乏してくると、味覚障害や嗅覚障害から始まるということも覚えておきましょう。

とり過ぎはあまり心配する必要がないみたいですが、それは普通の食事をしている場合で、亜鉛サプリメントを飲んでいるなら別です。

私は、サプリメントが嫌いなので、シーズンならカキを食べて、それ以外の時は、ぶたレバーを買ってきて、レバニラ炒めでも食べましょうか。

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