この記事では、にんじんの栄養成分。にんじんの健康効果。千切りの方法と保存について書きました。にんじんは皮をむかないで食べましょう。
にんじんは、一見固くて長持ちしそうに思えるのですが、すぐにへなへなになります。しかし、昔からどこの家庭のお母さんも子供ににんじんを食べさせます。嫌いな子は多かったですね。
にんじんは皮をむかないで使う
ガッテン流野菜のすごい鉄則によるとにんじんについてこんな話が書かれていました。北海道のにんじんの産地では、たわしで水洗いしただけで調理しているというのです。
出荷前のにんじんを調べてみると、収穫前に、たくさんのブラシが内蔵された専用の機械で洗浄処理されています。
じつは、これによって皮はすでにむかれていたため、調理のときにわざわざむく必要はなかったのです。
また、にんじんに豊富に含まれる栄養素・カロテンは、家庭で皮としてむかれてしまっていた外側部分(内鞘細胞)に多く含まれています。
番組の実験で、従来の外側をむく調理法だと、平均して2割のカロテンを捨てていたことがわかりました。
私は何年か前から、にんじんはたわしでごしごし洗って皮をむかないで切るようにしています。どこかで同じような話を聞いてきたのです。
だいたい、皮のついている野菜は皮のすぐ下あたりに栄養があるといわれます。
にんじんの栄養成分
にんじんの根と最近めったにお目にかかれない葉についても調べてみました。香りがとても強く、子供の頃、実家の庭で育てていたにんじんの葉にはアゲハチョウの幼虫がよくついていました。
1日1本にんじんを食べるとビタミンAは十分
栄養成分では、なんといってもβ-カロテンの量が多いことが特徴です。毎日にんじんを1本食べれば、必要なビタミンAは十分摂れますよ。カリウムもそこそこ多く、葉にはカルシウムがたくさん含まれています。
調べる前に思っていたよりも差があまりなかったです。
にんじん葉生 | にんじん根皮つき生 | |
カロリー | 18kcal | 39kcal |
水分 | 93.5g | 89.1g |
たんぱく質 | 1.1g | 0.7g |
脂質 | 0.2g | 0.2g |
炭水化物 | 3.7g | 9.3g |
カリウム | 510mg | 300mg |
カルシウム | 92mg | 28mg |
マグネシウム | 27mg | 10mg |
リン | 52mg | 26mg |
鉄 | 0.9mg | 0.2mg |
亜鉛 | 0.3mg | 0.3mg |
βカロテン | 1700μg | 8600μg |
レチノール活性当量 | 140μg | 720μg |
ビタミンD | 0 | 0 |
α-トコフェロール | 1.1mg | 0.4mg |
ビタミンB1 | 0.06mg | 0.07mg |
ビタミンB2 | 0.12mg | 0.06mg |
ビタミンC | 22mg | 6mg |
食物繊維総量 | 2.7g | 2.8g |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用 |
β-カロテン
新・野菜の便利帖健康編には、このように書かれていました。
植物に含まれる色素の一種であるβカロテンは、ビタミンAの前駆体(プロビタミンA)です。
体内でビタミンAに変換され、肌や粘膜を正常に保ったり、明るさに対応する目の働きをサポートする効果を発揮します。
また、ビタミンAに変換されなかった分は抗酸化物質として働き、老化防止や生活習慣病予防に役立ちます。
β-カロテンのビタミンAの効力は、レチノール活性当量で表されます。β-カロテンの数値の1/12になります。
ビタミンAについて1日の必要量など詳しい説明は、ビタミンAは過剰摂取に注意するに書きました。こちらをご覧下さい。
にんじんの効果
薬剤師であり、あん摩指圧マッサージ師でもある橋本紀代子先生の食べものはくすりのプロローグはこのように始まっています。
一五年前、耳鼻科通いをしていた息子の鼻血がニンジンジュースを飲んですぐに止まったことから、わが家のニンジンジュース物語が始まりました。
長女がのどを腫(は)らさなくなり、私も冷え症とさよならし、家族そろってめったにカゼもひきません。
友人にすすめると、視力や貧血が改善した、おできができなくなった、肌や髪の毛につやが出てきた、集中力がついたなど、目にみえていろいろな効果が現れました。
にんじんジュース、私も昔飲んでいました。リンゴと合わせるのが基本です。がん予防やがん治療で有名なゲルソン療法でもニンジンジュースを飲むのが基本です。
にんじんジュースで昔よく聞いた話は、「ビタミンCを壊す」という話でした。「アスコルビナーゼ」という酵素が原因とされていました。
そのため、加熱したり酢を入れるとよいと聞いていました。しかし、実際は、ビタミンCは酸化されているだけで、体の中で還元され、再びビタミンCに戻るそうです。安心して飲んでください。
にんじんはβカロテンがとても多いですから、ジュースを飲む代わりにサプリメントを飲めばよいのではないかと考える方もいらっしゃるでしょう。
こんなことも書かれていました。
ガン予防の効果もベータ・カロテンやビタミンAの働きではないかと、アメリカでさまざまな大規模な試験がおこなわれましたが、その答えは「効果なし」というものでした。
食べものは多成分だということを考えれば、その栄養素だけをとりだしての試験では、当然の結果といえるでしょう。
ベータ・カロテンやビタミンAを服用するよりも、ニンジンをはじめとする緑黄色野菜を食べたほうがはるかに大きな効果を発揮すると思われます。
このことについては、抗酸化作用のあるビタミンEやβ-カロテンだけとっても効かないかもしれないよに詳しく書きました。効果なしならまだよいのですが、あまりよくないようです・・・。
ぎょう虫駆除のため子供に食べさせる
こんなこと初めて知りましたよ。
ドイツの伝統医学ではぎょう虫駆除剤として、小児科医から評価され、おろしニンジンやジュースにして用いられています。
ドイツの主婦には「ニンジンは虫のわかないくすり」という常識があり、おやつに生のニンジンをバリバリ食べさせる家庭がとても多いそうです。
口内炎、扁桃炎、乳幼児の下痢止めにも
また、自分で採れる薬になる植物図鑑にはこんなことが書かれていました。
口内炎、扁桃炎には生の茎・葉1日量30gを細かく刻んで、水500mlで半量に煮つめてうがい薬として用いる。
乳幼児の下痢止めには、根をすり下ろして汁をしぼり、薄味のスープにして少量飲ませる。
冷え性には、刻んだ茎・葉を布袋に入れて浴湯料とする。(中略)
茎・葉もそのままか、ゆでてお浸しやごま和えなどにして食用にすることもできる。
胃腸の働きを活発にし、「気」を巡らせる
世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典にはこんな効果が書かれていました。
胃腸の働きを活発にする、「気」の巡りをよくする、胸のつかえをとるなどの効果があります。
食欲不振、下痢や便秘など、胃腸の調子がよくないとき、胸のつかえがあるときなどによいでしょう。
また、「肝(かん)」の「血(けつ)」を補い、目の疲れによる視力低下、気分の落ち込みによる頭が重い感じを緩和する効果もあります。
にんじんの切り方
にんじんを生で食べるときは、千切りにする必要があります。にんじんは細いので大根の千切りよりめんどくさいです。
私はそんなときはスライサーを使います。手を切らないように気をつけながら使っています。
包丁で千切りにする方法は、とても分かりやすい動画がありました。本当にいまはよい時代ですね。
にんじんの保存方法
気温の高い夏は、水気をふきとってからポリ袋へ入れ冷蔵庫へ入れましょう。にんじんはいたみやすいです。葉つきのものは、水分が抜けてしまうので葉を切り落としてください。
冬は冷暗所で保存できます。冷蔵庫でももちろんOK。
まとめ
八百屋さんに行くと、うちにじゃがいも、たまねぎ、にんじんはまだあったかなと考えます。この3つがあれば、豚汁かカレーは作れます。あると何となく安心できる野菜です。
生のにんじんがぎょう虫駆除ができるとは知りませんでした。しかし、根はともかく葉のにおいはなかなか強烈でしたね。