ビタミンC誘導体とは何だろう?

ビタミンC誘導体とはどんなものなのでしょう。ビタミンCそのものとどのように違うのか、また、どんなものに使われているのか調べてみました。

ビタミンC

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ビタミンC誘導体はビタミンCの反応しやすい部分に他の物質を結合させたもの

ビタミンC誘導体とは、分解されやすいビタミンCを変化させにくくし、また、化粧品などに入れて肌につけた時に初めてビタミンCとなるように、ビタミンCに別な物質を結合させたものです。

化粧品にビタミンCを加えるのは、美白とコラーゲン合成が大きな目的のようです。

エンジオール基

ビタミンC誘導体には、いろいろな種類がありますが、原則があります。エンジオール基に別な物質を結合させます。

順番に説明していきます。

まず、炭素に番号があることを知って下さい。ビタミンC(アスコルビン酸)は、下図の一番左のように書くことができます。

そして、真ん中のように一番上にある炭素(C)から1、2、3・・・と番号をふることができます。よく見る一般的な構造式を書くと、一番右になります。番号の意味が分かりますね。一番上から番号をつけているだけです。

ビタミンC(アスコルビン酸)の2、3位の炭素は二重結合になっています。それぞれにOHがついていますが、これらをエンジオール基といいます。

エンジオール基

エンジオール基

エンジオール基は酸化されやすい

ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)には、このように書かれていました。

アスコルビン酸の人体内での働きで第一にあげられるのは、水素原子を分子から取り去ったり分子に付け加えたりする酸化-還元反応の両方に、広くかかわることである。

アスコルビン酸は、容易に酸化されてデヒドロアスコルビン酸に変わる。

デヒドロアスコルビン酸の「デヒドロ」は、De- (否定)+ hydro (水素)、つまり水素(H)を取り去ることを意味します。

下図のアスコルビン酸についている-OHからそれぞれ水素がなくなり、炭素(C)が酸素(O)と二重結合するので、炭素同士の二重結合は単結合に変わっています。

アスコルビン酸

この反応は可逆的で、デヒドロアスコルビン酸は、容易に二つの水素原子を拾ってアスコルビン酸に還元される。

ビタミンCの生理的特性のいくつかは、アスコルビン酸の還元力とデヒドロアスコルビン酸の酸化力による、と考えられる。

体の中では、アスコルビン酸←→デヒドロアスコルビン酸と行き来できるのですが、紫外線や酸素にさらされるとそうはいきません。

ビタミンCについてによると、デヒドロアスコルビン酸はさらに酸化されると、2,3-ジケトグロン酸に変化します。

2,3-ジケトグロン酸になると再びデヒドロアスコルビン酸に戻ることはありません。 中性、アルカリ性条件下ではこの分解が容易に起こるため,アスコルビン酸は分解されやすい不安定な物質だといわれています。

Dehydroascorbic acid

デヒドロアスコルビン酸から2,3-ジケトグロン酸

化粧品など肌につけるためにビタミンCを使う場合は、酸化してビタミンCの効力を失わないように工夫をしなければなりません。

エンジオール基の-OHを別の物質に変更する

エンジオール基は、アスコルビン酸が酸化されやすい性質の原因です。

特公昭和52-18191「アスコルビン酸-3-リン酸エステルの製造法」の従来の技術を読むと、このように書かれていました。

アスコルビン酸は、医薬品としてはもちろんのこと、食品、化粧品等の分野で広く使用されているが、熱、光に弱く被酸化性物質である。

この性質はアスコルビン酸製造中のアスコルビン酸の効力を経日的に低下させる原因となるばかりでなく、その商品価値を著しくさげることにもなる。

アスコルビン酸の不安定性は構造中のエンジオール基に原因しており、従ってこれらを構成する水酸基の一方(または両方)に適当な置換基を導入すれば還元性を抑えることができ、上記のごとき欠点を除くことができる。

エンジオール基のどちらか、もしくは両方の-OHに別な物質を結合させて酸化されにくいようにしなければなりません。

リン酸基を結合させる

ここでは、昭和電工のビタミンC誘導体、APM(アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム)とAPS(アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム)を例にとって説明します。

美白、アンチエイジングに効果の高い安定化ビタミンC

これらビタミンC誘導体は、ビタミンC(アスコルビン酸)にリン酸を結合させたものが基本です。アスコルビン酸-2-リン酸になります。「-2-」は場所を指定しています。

下の構造式を見ていただくと数字がついていますが、これは炭素(C)に番号がふってあります。2番目の炭素にリン酸が結合しているという意味です。

なぜリン酸を結合させるのでしょう?もちろん、それには理由があります。

皮膚にある酵素によってリン酸を切り離す

パンフレットを読むと、リン酸を結合させることで、空気中で安定すると書かれています。さらに、皮膚に触れると皮膚内のフォスファターゼという酵素の作用を受け、加水分解してリン酸が切り離されて、ビタミンCになります。

酵素フォスファターゼは、ホスファターゼと書かれている場合もあります。

皮膚に触れるとビタミンCになるところが重要です。APM(アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム)とAPS(アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム)も用途は、スキンケア、メイクアップ、ヘアケア商品を想定しています。

皮膚に触れるまでは、ビタミンCの働きをせず、皮膚に触れて酵素でリン酸を切り離したらビタミンCの働きをする。

このような工夫ができるところが化学の面白いところです。

さらに、リン酸基にマグネシウムやナトリウムなど金属をつけるようです。

アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム

このリン酸にマグネシウムをつけたものは下図のように書きます。リン酸のOHについていた2個の水素が外れ、また、エンジオール基の3位のOHについていた水素も外れて、Oになっています。

そこにマグネシウム(Mg)イオンが寄っていきます。マグネシウムは2価(++)の陽イオンなので2分子のアスコルビン酸-2-リン酸に対して、マグネシウムは3個あるとちょうどよいのです。

マグネシウム(Mg)をつけると商品の中に処方したとき、安定性がよくなると書かれていました。

アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム

アスコルビン酸-2-リン酸マグネシウム

アスコルビン酸-2-リン酸ナトリウム

もう一つ、ナトリウム(Na)をつけた場合は下図のように書きます。ナトリウムは1価の陽イオン(+)なので、リン酸のOHについていた2個の水素が外れ、また、エンジオール基の3位のOHについていた水素も外れて、Oになっています。これら3個のOに対してNa+は3個あればちょうどよいのです。

アスコルビン酸-2-リン酸三ナトリウム

アスコルビン酸-2-リン酸三ナトリウム

ナトリウム(Na)をつけると水溶性がよくなると書かれていました。

まとめ

私は毎日粉のビタミンC(アスコルビン酸)を飲み始めたので、水でぬらすとすぐに白いパウダーが黄色く変色することが分かりました。酸化してしまうのですね。

ビタミンC(アスコルビン酸)を飲むのはとても簡単です。水に溶かして飲んでもよいし、少しだけさじにとって口に入れてから水で飲んでもよいです。

それに比べると、皮膚に直接作用させるためにはいろいろな工夫が必要なのだなと思います。ビタミンC誘導体にはいろいろな種類があります。今回ご紹介したのはその中の一例だと思ってください。

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