なぜ、ポーリング博士はビタミンCがもっとたくさん必要だというのかな

この記事では、ポーリング博士が、なぜ1日たくさんのビタミンC(アスコルビン酸)を摂った方がよいと考えたのか、その理由をまとめて書きました。

ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)は、じっくり読むと実に面白い本です。かなり汚れた古本を500円で買いましたが、目についてふと買ってみて本当によかったです。

ビタミンC

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ビタミンCを合成できる動物から1日どのくらいビタミンCが必要か考える

ポーリング博士は、この本の中で、成人のビタミンCの最適摂取量は、一日少なくとも2.3グラムだと考えています。

動物が合成するビタミンCの量を体重比で換算して体重70キロの人に当てはめています。

ラットは、正常な状態では、体重一キロあたり一日に二六ミリグラム(バーンズ、モスバッハ、シュレンベルグ 一九五四年)から五八ミリグラム(サロモン、スタップス 一九六一年)のビタミンCを合成する、と報告されている。

人の場合も、この合成があてはまると仮定すると、七〇キロの人は、ふつうの状態で、一日一・八~四・一グラムの量を摂取しなければならない。

その他の動物ーヤギ、ウシ、ヒツジ、マウス、リス、アレチネズミ、ウサギ、ネコ、イヌなどーも大量のビタミンCを合成しており、体重七〇キロあたり一日平均約一〇グラムにも達する。

それらの動物が、何の利益もないのに大量のビタミンCをつくる、ということは信じがたいことである。

また、人は、動物とひじょうに相違していて、動物が利用する量のわずか二〇〇分の一の量で最良の健康を保つことができる、ということも信じがたいことである。

ビタミンCの必要量が食品栄養委員会のいうように少ない量であるならば、六〇〇万年以前に突然変異が起こって、イヌ、ウシ、ブタ、ウマ、その他動物からビタミンCをつくる能力がなくなっていただろう。そして今日、これらの動物は、食物から必要なビタミンCをとるようになっているはずである。

以上のことから、私は「成人のビタミンCの最適摂取量は、一日少なくとも二・三グラムである」と考える。

ヒトや霊長類とわずかな種類の動物だけが、ビタミンCを合成することができません。ビタミンCを作れない動物は少数派なのです。

他の動物が、どのくらいビタミンCを合成するか測定し、そこから体重比でヒトの必要量を割り出すのは、かなり説得力があります。不必要にビタミンCを合成する動物はいません。

少し前にビタミンCの1日の摂取量は?という記事を書きました。この記事を書いて厚生労働省の出しているビタミンCの1日の推奨量が、100ミリグラムだと知りました。それに比べるとかなり多いです。

ビタミンCの1日の摂取量は?
この記事ではビタミンCの摂取量について調べてみました。厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)からビタミンCの1日の必要量、推奨量、...

しかし、ポーリング博士の話は、まだ続きがあります。

一般的にいって、人の栄養要求性は、霊長類動物にひじょうに近いことがわかっている。(中略)

サルは、多数、医学研究のために用いられている。すでに1章で述べたように、サルを最良の健康状態に保つ各種栄養素の必要量を決めるために、実験動物栄養小委員会は多大の努力を払ってきた。

そして、注意深く行われた諸研究に基づいて、実験用サルのためにいくつかの規定飼料が勧告されている。

それらの飼料中のビタミンCの量は、体重七〇キロに換算して一日あたり一・七五~三・五〇グラムである。

リーサスザルに対して一・七五グラム、リスザルに対して三・五〇グラムである。これら実験用サルの体重は、わずか二、三キロである。

しかし、ビタミンCの必要量が、体重に比例することは疑いのないところである。実際に、二〇グラムのマウスから七〇キロのヤギに至るひじょうに広い範囲にわたって、体重に比例していることが見いだされている。

したがって、サルを用いた研究から、人のビタミンCの適正量も、おそらく一日あたり一・七五~三・五〇グラムであろう、と結論できる。

このように語られると、ビタミンCの1日の推奨量が、100ミリグラムというのはどうなのかなと思うようになります。

実験動物の健康を保つために与える栄養素の量が研究されていて、それを体重70キロに変換すると、1.75~3.50グラムだというのです。

何しろ、人に一番近い霊長類であり、同じビタミンCを合成できないサルの話なのです。人へのビタミンCの効果はあまり調べられていないのではないか・・・という気がしてきます。

コラーゲンの合成に不可欠

ビタミンと聞くと、1日の必要量はごく微量というイメージがあります。何ミリグラム、場合によっては何マイクログラムだと思います。

しかし、ことビタミンCについては、動物の合成量はグラム単位になっていてなかなか多いです。

しかも、体内にビタミンCが貯蔵されることも初めて知りました。水溶性ビタミンであるビタミンCは尿と一緒にすぐに出ていってしまうと聞かされていたので、毎日少しだけ必ず必要なものなのかと思っていました。

ビタミンCは、抗酸化作用があり、ビタミンEと共同で抗酸化物質として働くことはよく知られています。

さらに、ビタミンCはコラーゲンをつくるために不可欠なものでした。

壊血病はコラーゲン合成が停止している

考えてみればその通りなのです。最初、なぜビタミンCが枯渇すると壊血病になり、体がボロボロになるのか分かりませんでした。

ビタミンCは、体内で行われる主な合成の一つであるコラーゲンの合成に不可欠である。

壊血病で死にかかっている人は、コラーゲンの合成が停止して、身体の組織がばらばらになり、関節が弱っている。

軟骨と腱の強度が保てず、血管は破れ、歯茎に潰瘍が生じ歯が抜け落ち、免疫系の機能は低下して、患者は死に至るのである。

コラーゲンは全タンパク質のほぼ30%を占める

私は男性なので美容に興味がなく、コラーゲンと聞くと何かのCMで見た肌のハリに関係があるものだ程度のことしか知りませんでした。

しかし、コラーゲン、全タンパク質の30%を占めるのだそうです。ウイキペディアにありました。

コラーゲン(ドイツ語: Kollagen、英語: collagen)は、主に脊椎動物の真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質のひとつ。多細胞動物の細胞外基質(細胞外マトリクス)の主成分である。体内に存在しているコラーゲンの総量は、ヒトでは、全タンパク質のほぼ30%を占める程多い。(出典

コラーゲンは、皮膚、骨、歯、血管、目、心臓はもちろん、体のあらゆる部分に存在するものだそうです。コラーゲンが維持できない壊血病になると、歯が抜け、歯茎に潰瘍ができ、古傷が開き、皮膚がボロボロになるというのは分かります。

ビタミンCはコラーゲンを合成するときに破壊される

コラーゲンをつくるときにビタミンCが関わるのは、コラーゲンの材料となるということなのでしょうか?もしそうなら、コラーゲンの量はとても多いですから、ビタミンCもたくさん必要になりそうです。

ビタミンCは触媒

ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)にはこう書かれています。

まず最初に、主成分のアミノ酸であるグリシンとプロリン(後でヒドロキシプロリンになる)その他のアミノ酸によって、三本鎖をよりあわせた構造が形成される。

これはまだコラーゲンではなく、その前駆体のプロコラーゲンである。この合成にビタミンCが重要な役割を果たすことが、最近の研究でわかっている。

人の結合組織細胞を培養したものにビタミンCを加えると、コラーゲンの合成が八倍に増えるが、他のタンパク質の合成は増えない。

プロコラーゲンの合成はコラーゲンの合成に先立つので、ビタミンCは、プロコラーゲンのポリペプチド鎖の形成においても役割を果たしているにちがいない。

ビタミンCがプロコラーゲンからコラーゲンへの変換において重要な役割を果たすことは、よく知られている。

この変換において、ポリペプチド鎖にあるプロリンの水素原子(H)を水酸基(OH)に置き換える反応が起き、プロリンがヒドロキシプロリンに変わる。

この水酸化反応によって、コラーゲンの三重らせんの鎖が確保されるのである。次いで、水酸化によってリジンがヒドロキシリジンに変換され、その結果、三重らせんが網状に結合して(架橋結合という)、繊維や網状組織になる。

この水酸化反応では、二種類の酵素 ー プロリル-4-ヒドロキシラーゼとリシル-ヒドロキシラーゼ ー が触媒として働く。ビタミンCもまた、この二つの酵素とともに、この反応に一役買っている。

ミリラたちが最近明らかにしたところによると、この反応でHがOHに置き換わるごとに、ビタミンCの一分子が破壊される(一九八四年)。

なぜ健康の維持に、植物性食品から摂取できる量よりはるかに大量のビタミンCが必要なのか、今やその二つの大きな理由が明らかになった。

第一に、毎日消耗し減っていくコラーゲンを補うために、身体は、大量のコラーゲンを合成しなければならないのである。

第二に、組織内のコラーゲンを結合させる重要な反応において、ビタミンCは、触媒の役を果たすだけでなく、そのうえに破壊されているのである。

ビタミンCは、コラーゲンの材料になるのではなく、触媒のようなものとしてコラーゲン合成に関わっていることが分かりました。

しかも、触媒は本来化学反応で影響を受けないのですが、ビタミンCは、コラーゲンが合成されるときに破壊されることがわかりました。

体中にコラーゲンがあるから、ビタミンCも体中に存在・貯蔵されているだということがわかります。

まとめ

壊血病とビタミンCの関係を考えると、壊血病にならないようにするには、1日5~6ミリグラムのビタミンCで間に合います。今は壊血病になる人はいないでしょう。

しかし、老化とビタミンCの関係を考えると、皮膚や骨、血管のためにはポーリング博士のいうように、もっとビタミンCを多く摂っていた方がよさそうです。

しかし、ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)は読めば読むほど面白さを感じる本です。アマゾンは古本が高いので、近所の古本屋さんか図書館で探してみてください。

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