葉酸はビタミンB12と関係が深い

この記事では、葉酸の特徴。葉酸が欠乏するとどうなるか。過剰摂取すると影響はあるか。多く含まれる食品、1日の摂取量、発見の歴史について調べました。

ホウレンソウ

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葉酸の特徴とはたらき

葉酸はビタミンB9ですが、ビタミンB9と呼ばれることはほとんどありません。1941年に乳酸菌の増殖因子としてホウレンソウから発見され、ホウレンソウ(folium)から葉酸(folic acid)と名づけられました。

葉酸

葉酸

葉酸のはたらきについては、少し分かりにくいので、別記事にしました。葉酸の作用を詳しく調べてみたをお読み下さい。

葉酸の作用を詳しく調べてみた
葉酸の働きは少し理解しづらいです。簡単にいうと、一炭素単位(1個の炭素を基本にできた物質)をやりとりする補酵素としての働きなのですが、食べ物...

特に、欠乏するとどうなるか?について理解しやすくなると思います。食べ物から摂った葉酸は、ビタミンB12も関係した反応によって、活性型の葉酸になり、体の中で働くようになります。

欠乏するとどうなる?

巨赤芽球性貧血

葉酸が欠乏すると、核酸の合成ができなくなるため、核が分裂して新しい細胞に増殖することができなくなります。分裂できない細胞は、成熟が進んで大きくなり、ついには死んでしまいます。

葉酸が欠乏すると、「一つ一つの赤血球細胞のサイズは大きくなるが、全体の赤血球数は減る」という貧血(大球性貧血)が起こります。

赤血球の前駆細胞である赤芽球も大きくなります。巨大な赤芽球が出現することから、これは巨赤芽球性貧血と呼ばれます。

赤血球が大きくなるのが特徴ですが、赤血球以外の細胞も大きくなります。白血球も成熟が進み、高度に成熟します。

好中球と呼ばれる白血球では、サイズが大きく、核がいくつもに分葉した多核白血球(たとえば、核が5つ以上に分かれた好中球)が見られます。

神経症状

葉酸が欠乏すると、貧血以外に神経の症状も出てきます。とくに胎児においては、神経管閉鎖障害や、その結果として無脳症や二分脊椎(にぶんせきつい)という重症の病気が発症します。

そのため妊娠の可能性のある女性には、葉酸のサプリメントを投与することが勧められています。

イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版にはこのように書かれています。

受胎前に葉酸400μg/日の補充を始めると,脊椎分離症spina bifidaやその他の神経管欠損症neural tube defectの発症率を顕著に減少させることができる.

このため,多くの国々で日常的に小麦粉に葉酸を添加している.

動脈硬化症や認知症

最近になって、葉酸とホモシスティンとの関連が注目されてきています。葉酸の摂取量が減ると、ホモシスティンがメチオニンに変換されなくなり、体内にホモシスティンが蓄積します。

ホモシスティンは血管内皮細胞の機能や血液凝固に影響すると考えられており、実際に高ホモシスティン血症が血栓形成を促進し、またフリーラジカルを介して血管を障害して、動脈硬化症や認知症の原因となることが知られています。

葉酸の欠乏症は現在はまれですが、動脈硬化になりやすいという個人的な素因に、軽度の葉酸不足が組み合わさると、様々な慢性病のリスクとなりうる可能性があります。

過剰摂取するとどうなる?

日本人の食事摂取基準(2015年版)には、過剰症は報告されていないと書かれていました。

ただ、葉酸サプリメントをとる方には、少し注意が必要かもしれません。イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版からです。具体的に何グラム/日という目安は書かれていませんでした。

多くの研究が葉酸の補充や食品への強化がいくつかのがんの危険率を低減させる可能性があることを示唆している.

しかし,葉酸の栄養補助食品は前がん状態の結腸直腸ポリープの変異発生率を増すといういくつかの証拠があるので,そのようなポリープをもつ人びとがもし葉酸を大量に摂取すると,結腸直腸がんを引き起こす危険性を増すことになる.

多く含まれる食品

もともと葉酸として酵母が使われたようですが、酵母はダントツに多いですね。その他、現実的に100g食べるものは、にわとり、うし、ぶた、うに、青汁、りょくとう、ひよこまめでしょうか。

最後に忘れてはいけない、ほうれんそうも載せておきました。

葉酸 : 含有量(出典
食品名 成分量
100gあたりμg
パン酵母乾燥 3800
いわのり/素干し 1500
パセリ/乾 1400
せん茶/茶 1300
にわとり/肝臓/生 1300
かわのり/素干し 1200
あまのり/ほしのり 1200
抹茶 1200
うし/肝臓/生 1000
玉露 1000
青汁/ケール 820
ぶた/肝臓/生 810
まつも/素干し 720
りょくとう/全粒、乾 460
ひし/生 430
うなぎ/きも、生 380
だいず/全粒国産黒大豆乾 380
きく/菊のり 370
うに/生うに 360
ひよこまめ/全粒、乾 350
ほうれんそう/葉生 210

1日の摂取量

耐容上限量が設けられているのは、過剰摂取による直接の障害があるからではありません。葉酸を余分に摂ることで、ビタミンB12欠乏によって起こる巨赤芽球性貧血が隠れてしまい、ビタミンB12欠乏が分かりにくくなってしまうことへの危惧があるからです。

葉酸の食事摂取基準(μg/日)1出典
性 別 男 性 女 性
年齢等 推定平均
必要量
推奨量 目安量 耐容上限量 推定平均
必要量
推奨量 目安量 耐容上限量
0~ 5(月) 40 40
6~11(月) 60 60
1~ 2(歳) 70 90 200 70 90 200
3~ 5(歳) 80 100 300 80 100 300
6~ 7(歳) 100 130 400 100 130 400
8~ 9(歳) 120 150 500 120 150 500
10~11(歳) 150 180 700 150 180 700
12~14(歳) 190 230 900 190 230 900
15~17(歳) 210 250 900 210 250 900
18~29(歳) 200 240 900 200 240 900
30~49(歳) 200 240 1000 200 240 1000
50~69(歳) 200 240 1000 200 240 1000
70 以上(歳) 200 240 900 200 240 900
妊婦(付加量) +200 +240
授乳婦(付加量) +80 +100
1 妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的に 400μg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望まれる。
2 サプリメントや強化食品に含まれるプテロイルモノグルタミン酸の量である。

プテロイルモノグルタミン酸は、一番上にある構造式で表される葉酸の基本構造をもつ物質です。サプリメントなど一般の食品以外のものを指しています。

葉酸発見の歴史

葉酸発見の歴史は、栄養学を拓いた巨人たちにこのように書かれていました。

葉酸の発見者は、英国の女性病理学者ルーシー・ウィルズであった。当時、インドの繊維工場では、妊娠している女性が重度の貧血症にかかる例が多発していて、彼女はその原因究明のためにインドに赴いた。

そこで彼女は、この病気が感染症ではなく、栄養因子の欠乏によるものであることを明らかにし、酵母製品を食事に加えることでこの病気を一掃した。

のちにこの病気に対する有効成分はホウレンソウの葉から採れることがわかり、葉酸と命名され、その構造が製薬会社により決定された。

葉酸はかなり大きな化合物で、「ビタミンM」とも呼ばれ、体内の細胞増殖や増血に関与する。

まとめ

葉酸は、ビタミンB12と関係が深いので、ビタミンB12が欠乏する貧血は、胃か回腸に原因があるもあわせてお読み下さい。

ビタミンB12が欠乏する貧血は、胃か回腸に原因がある
この記事では、ビタミンB12について、吸収されるときの特徴と、ビタミンB12の作用。欠乏するとどうなるか。巨赤芽球性貧血とはどんな貧血か。過...

また、葉酸の働きについて長くなりましたので、別記事にしました。葉酸の作用を詳しく調べてみたをお読み下さい。

葉酸の作用を詳しく調べてみた
葉酸の働きは少し理解しづらいです。簡単にいうと、一炭素単位(1個の炭素を基本にできた物質)をやりとりする補酵素としての働きなのですが、食べ物...
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