天気痛の原因は、内耳にあるらしい

ある日テレビを見ていたら、天気痛という話題について放映されていました。

あとで調べてみたら、私が見たのは、TBSテレビ日曜日朝7時からの「健康カプセルゲンキの時間」という番組で、2017年4月23日放送でした。

天気の変化で頭痛や神経痛やめまいの症状が出るという話でした。

耳

実は、私の友人とうちの妻がずっとめまいで悩まされているので、めまい関係の番組があると見るようにしています。

天気痛に興味を持たれる方は、やはり、原因のよくわからない頭痛や、神経痛、めまいなどに悩まされている方なのではないかと思います。

そこで、天気痛の症状と、治療方法について調べてみました。

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愛知医科大学病院痛みセンター

テレビに出演されていた佐藤純先生は、愛知医科大学病院痛みセンターで週一回外来診察を担当されているようですが、半年待ちだそうです。(完全予約制)

また、名古屋大学研究シーズ集 uniteの気象病の予防治療法の開発を読むと、天気痛の発症メカニズムに内耳気圧センサーと自律神経が関与することを証明したのは佐藤先生が初めてなのだそうです。

また、佐藤先生のサイトもありました。2015年からテレビによく出演されていたようです。こちらに先生の顔写真もあります。

天気が崩れると痛みが悪化するーこのような病態を「天気痛」といいます。天気痛のメカニズムには内耳と自律神経が関係していることから、臨床応用が始まっています。

天気痛の本

改めて本を探して、佐藤純先生の天気痛を治せば、頭痛、めまい、ストレスがなくなる!を読んでみました。

また、つい先日、新しい本が出ていました。

天気痛 つらい痛み・不安の原因と治療方法 (光文社新書)

天気痛の主な症状

天気痛は、天気の変化とともに体調が悪化するのが特徴です。佐藤先生の本では、10個紹介されていました。

ああこれは関係ありそうだと思える病気や症状もあれば、リウマチなど原因は明らかに別のものもあります。それぞれの病気や症状の原因が天気の変化にあるのではなく、痛みや症状がひどくなる原因が天気の変化にあるということです。

頭痛

天気痛の自覚症状の中で特に多いそうです。その中でも天気依存との関係が考えられるのは、片頭痛です。

片頭痛はウイキペディアにこのように書かれていました。

頭痛の一種で、偏頭痛とも表記する。頭の片側のみに発作的に発生し、脈打つような痛みや嘔吐などの症状を伴うのが特徴である。

軽度から激しい頭痛、体の知覚の変化、吐き気といった症状によって特徴付けられる神経学的症候群である。生理学的には、片頭痛は男性よりも低血圧の女性に多い神経学的疾患である。

典型的な片頭痛の症状は片側性(頭の半分に影響を及ぼす)で、拍動を伴って4時間から72時間持続する。

症状には吐き気、嘔吐、羞明(光に過敏になる)、音声恐怖(音に過敏になる)などがある。およそ3分の1の人は「前兆」と呼ばれる、異常な視覚的、嗅覚的、あるいはその他の感覚の(片頭痛が間もなく始まることを示す)経験をするとされる。

首痛

ムチウチ症の後やスポーツで痛めた首が天気と変化で痛むことがあります。

めまい・メニエール病

めまいには種類がありますが、天気痛と関係が深いのは、内耳による原発性のめまいです。とくにメニエール病についてはこのように説明されていました。

メニエール病は内耳にあるリンパ液が異常に増えることで引き起こされる病気で、原発性のめまいのくくりに入ります。

ぐるぐると回るような回転性のめまいや耳鳴り、さらに吐き気、進行すると難聴へ繋がってしまうケースもある、大変苦しいものです。(中略)

内耳のリンパ液の過剰反応によって引き起こされる原発性のめまいは、当然、天気や気圧の変化とも密接な関わりをもつことになります。

耳の症状

気圧が変化すると耳に影響があります。天気の悪い日に飛行機に乗っていると着陸時に耳が詰まった感じになります。また、新幹線がトンネルに入った時、速いスピードのエレベーターに乗った時などにも感じます。

つばを飲み込んで「耳抜き」ができれば特に問題ではないですが、天気痛の耳の症状は、耳が詰まった感じに加えて、吐き気や眠気という症状がでる場合があるそうです。

気管支喘息

アレルギーの症状として知られる気管支喘息が、天気痛に数えられるとは少し意外な気がしました。

季節の変化で気温が下がると、朝、外に出た時など、冷たい空気が肺に入ってくるのを感じます。気管支喘息の方は、この冷たい空気が刺激になって発作が起こる傾向があるそうです。

気圧の変化によって肺が弱っているわけでなく、気圧の変化によって自律神経系が不安定になっていることが気管支喘息が起きやすくなる原因になるようです。

リウマチ(関節リウマチ)

関節リウマチは自己免疫疾患として知られています。炎症があり、痛みや倦怠感が出ます。その症状は、天気が悪い時にひどくなるようです。興味深いことが書かれていました。

関節リウマチの場合は、症状の悪化が3日前の気圧と特に連動していることです。その日は晴れていても、3日前に気圧がさがっていた場合は痛みを感じる患者さんがいらっしゃるというデータは、まさに天気と体の密接な関係を示しています。

事故の古傷や神経痛

天気が悪くなると古傷が痛む話は昔からよく聞きます。この場合は、直接の原因が古傷にあるのでわかりやすいです。

しかし、傷がなおった後もなぜ痛みがずっと続くのかということは、また別な話です。これについては、「ある種の脳の機能変容である」と書かれていました。

機能変容とはどういうことでしょうか。つまりは「脳の機能が高すぎて、一度覚えた痛みを脳が何かのきっかけで再現するようにプログラムが変わってしまった」とお伝えするとわかりやすいでしょうか。

痛み回路再現のスイッチを押してしまうきっかけはいくつかあります。そしてそのうちのひとつが、気圧の変化を含めた気象なのだと、私は理解しています。

更年期障害

更年期障害は、50歳前後の女性に特有の症状です。女性ホルモンの減少が原因です。もっとも、最近は、男性にも更年期の症状があるといわれるようになりました。

女性の場合、女性ホルモンの量が減ると、脳の視床下部が混乱を起こして自律神経失調が起き、ホットフラッシュと呼ばれる顔のほてりやのぼせ、急激な発汗などが起こります。よく聞く話です。

自律神経系に天気が影響を与えるので、天気痛の一つの症状として数えられているようです。

うつ・不安症(神経症)

いまはうつや不安症に悩む人が多い時代です。ストレスが多い、とても忙しい時代です。佐藤先生は、心の病にも天気依存の方が少なからずいるのではないかと考えられています。

うつの場合は抗うつ剤をベースに抗不安薬や睡眠薬を使った薬物治療を、不安症の場合も、抗不安薬の投与が治療には欠かせないものになります。(中略)

気圧の変動を受けて自律神経系が乱れるときの症状に、うつや不安感が挙げられるのは、繰り返しお伝えしている通りです。(中略)

天気痛への理解や認知が広がることで、うつや落ち込みへの対処法も、即投薬となってしまうのではなく、もう少し幅を持ているのではないかと思っています。

認知症の副症状の悪化

これは上で書いた「うつ」と関連します。

認知症には、コアな症状が3つあるそうです。

  • 「認知」・・・自分が誰なのかわからなくなる。
  • 「記憶」・・・自分の周りの出来事について覚えておいたり思い出すことができなくなる。
  • 「見当識」・・・自分がどこにいて何をしているのか判断が曖昧になる。

この結果、コミュニケーションが円滑にできなくなり、副症状のひとつとして「うつ」が出てきます。たとえば、気圧が下がると寝込んでしまうということが起きてくるそうです。

天気痛の原因は内耳にあり

天気痛として分類された症状を簡単に書いて来ましたが、「天気」の意味するところは、気圧の変化であり、気圧の変化を体で感じ、自律神経系に影響を与えるのは、佐藤先生は、内耳が関係していることを発見されました。

本では次のように説明されていました。

耳の奥にある「内耳」と呼ばれる部分に、体のバランスを取るための2つのリンパ液が存在しています。

これを外リンパ液と内リンパ液と呼びます。2つのリンパ液のうち、内リンパ液は外部の影響を受けることの少ない閉鎖した空間に存在しますが、外リンパ液は、体の外側にある大気の力を受けやすい空間に存在しています。(中略)

この外リンパ液と内リンパ液を隔てる膜に、気圧の受容チャンネルのようなものがあるのではないか、というのが、私がこれまで行ってきた実験からの仮説です。

内耳のリンパ液に関係する受容チャンネルが外部から低気圧を感じると、前庭神経が興奮し、その情報が、脳へと伝わります。

そしてここから先は個人の体質や疾患の症状にもよりますが、内耳から脳への興奮の伝達によって交感神経が活発化する場合だと、それまで治まっていたはずの古傷がズキズキと激しく痛んだり、心拍数が上がってしまう。

逆に、低気圧が来ると強い眠気に襲われたり、体がだるくなって動けなくなってしまうという人の場合は、内耳から脳への興奮情報が副交感神経を活発にした作用なのではないか。

これが、天気痛に関する現段階での私の考えです。

そう考えると、内耳から脳への情報伝達によって自律神経のバランスが乱れて天気痛を引き起こす方は、「耳が敏感な人」ともいえます。

たとえば、車や船などの乗り物が比較的苦手という人は、内耳の揺れに弱い体質といえるかもしれません。

車や船は物理的に揺れている状態ですが、天気痛の人は、見た目では判断ができな気圧のささいな変化にも「酔って」いると考えるとわかりやすいかもしれません。

内耳の中にある内リンパ液と外リンパ液について、調べてみました。図を載せたいですが、借りてこられる画像はありません。

とてもわかりやすい、あさひ町榊原耳鼻咽喉科さんの内耳の働きから、代謝異常による難聴までという記事が、図も含めてとてもわかりやすかったです。ぜひ、見てください。

内耳の働きは、中耳から伝わってきた音の振動エネルギーを電気的な信号に変更することにあります。どのようにして機械的なエネルギーを電気的な信号に変換するの...

内耳の蝸牛(かぎゅう)にあり、内リンパ液が外リンパ液に挟まれているのがわかりました。

薬の力を借りる

残念ながら、気圧の変化に反応する天気痛を根本的に解決する方法は、今のところないようです。

天候の変化で症状が起きそうな時、予防するために一番効果があるのは、めまいの薬だそうです。

天気痛を予防するのに一番効果があるのは、もちろん医師の処方による薬です。私自身が外来で出しているのはめまいの薬です。

大気中の気圧が乱れると、内耳の中にある気圧センサーが過剰反応してしまい、脳の情報伝達に乱れが生じます。

その結果、交感神経や副交感神経が活発になり過ぎ、本人がもともと持っている痛みの感覚を呼び起こしてしまったり、めまいや、気持ち悪さや落ち込みなどの心の病を起こすというのが、天気痛のメカニズムです。

この内耳の揺れを治めるために、めまいの薬を処方するのです。内耳だけに作用する成分なので副作用も少ないです。

本の中では、一般の酔い止め薬で「効果があった」という方がいた話も書かれていました。

酔い止めはどのように効くんだろう?

酔い止めは遠足や修学旅行で長時間バスに乗るとき飲んでいる子がいました。昔からあってよく知られているのは、トラベルミンでしょう。

トラベルミンはどんな働きをして酔いに効くのか調べてみました。

役に立つ薬の情報~専門薬学のトラベルミン(ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン)の作用機序はとてもわかりやすい解説でした。

めまいが引き起こされるときに発生する「異常な感覚入力」を抑制するという方法があります。ジフェンヒドラミン・ジプロフィリン(商品名:トラベルミン)は平衡感覚に関わる神経を鎮静させる作用が確認されています。

また、ジフェンヒドラミンは抗ヒスタミン薬と呼ばれる種類の薬であり、アレルギーの治療薬としても用いられます。そしてめまいに対しては、めまいによって起こる嘔吐をジフェンヒドラミンが抑えます。

脳には、嘔吐に関わる嘔吐中枢が存在します。この嘔吐中枢が刺激されると、嘔吐が引き起こされます。ジフェンヒドラミンは嘔吐中枢の興奮を抑制する作用が認められているため、めまいによる嘔吐を抑えることができます。

まとめ

気圧について思い出すことがあります。

私は山が好きで、たまに標高の高い山に行くことがあります。3000mくらいになると空気が薄く感じてきて、実際、気圧が平地より低くなります。下から持っていったお菓子の袋は、破裂しそうなくらいパンパンにふくらんでいました。

水は90℃にならないうちに沸騰してしまいます。(山小屋で実際に沸騰したお湯に入れた温度計を見せてもらいました)そのため、ご飯を炊くのに圧力鍋を使わないとうまく炊けません。

私は飛行機や新幹線に乗ったときに多少耳詰まりがする程度しか気圧の変化は感じませんが、実際は、気圧の変化によって、体全体に案外大きな力がかかったり、反対に抜けたりしているのかもしれません。

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