小麦は食べるな!を読んでグルテンの問題を知る

グルテンが体によくないといわれることについて、小麦は食べるな!という本を読んで知ることができました。食べ過ぎてしまういつものクセが、グルテンが原因かもしれないなんて意外でした。

グルテン

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小麦は食べるな!

小麦は食べるな!という白澤先生が翻訳された本を次に読みました。かなりセンセーショナルな内容です。ご興味のある方は、ぜひ、本をお読み下さい。

この本の著者、ウイリアム・デイビスさんは、アメリカ人の度を超した肥満を問題視していて、肥満による病気に絡めて小麦の問題を解説されています。

もし、お菓子やパンをやめられなくて肥満に悩む方がいらっしゃったら、この本はドンピシャリだと思います。

私が知りたいのは、小麦に入っているタンパク質グルテンが、どのように体によくないのかということなので、グルテンに関係していることだけ書きます。

グルテンの問題は、2つあります。

  • グルテン分解物が脳に対して作用する中毒性がある。
  • グルテンに対してのアレルギーであるセリアック病の症状が多岐にわたり、自分がグルテンアレルギーだと知らずに、病気で悩んでいる人がいる。

グルテンには脳に作用する中毒性がある

1960年代、統合失調症患者に対して、小麦食品を除去する実験が行われました。

なぜ、こんな実験が行われたかというと、第二次世界大戦中、食料不足でパンの入手が難しかった時期に、統合失調症による入院数が減り、終戦後、小麦の供給が回復すると、入院数がまた増えたことがあったからでした。

小麦を除去する実験

60年代半ば、フィラデルフィアの退役軍人病院に勤務していたドーハン博士らの研究グループは、統合失調症患者本人に通知したり許可を得たりすることなく、食事から一切の小麦食品を除去することにしました。(中略)

するとどうでしょう、小麦を抜いて4週間たつと、統合失調症の特徴的な症状が明らかに改善したのです。

幻聴や妄想が減り、現実逃避も少なくなりました。そこで、再び患者の食事に小麦食品を入れると、幻聴、妄想、自閉の症状はたちまち元に戻ってしまいました。

再度小麦を抜くと、患者もその症状も良好になり、小麦を入れると悪化が見られました。

小麦を食べないと症状が改善されるのは、小麦が消化されたものが脳に作用するからだと考えられます。

エクソルフィンー外因性モルヒネ様化合物

そこで、小麦の主要タンパク質であるグルテンが消化されたあとどのように作用するのか。グルテンを胃の消化酵素ペプシンと塩酸に接触させると、タンパク質からポリペプチド混合物に分解されました。

その後、主なポリペプチドを分離してラットに投与してみると、血液脳関門を通過することがわかりました。

このポリペプチドは、血液と脳とを隔てる血液脳関門というバリアーを通過する特殊な性質を持っていることがわかりました。

血液脳関門は重要な役割を持っています。脳は血液に入り込むさまざまな物質に対して高い感度を持っており、そうした物質が万一、扁桃体や海馬や大脳皮質などの脳組織に入れば、好ましくない作用を引き起こしかねないため、侵入を防ぐのです。

さて、脳に入り込んだ小麦ポリペプチドは脳のモルヒネ受容体と結びつきました。これはアヘンと結びつく受容体と同じものです。

ジオドロ博士らの研究グループはこのポリペプチドを外因性モルヒネ様化合物(エクソジェナス・モルフィン・ライク・コンパウンド)、略して”エクソルフィン”と呼びました。

モルヒネが効いている状態で、ナロキソンという薬剤を投与すると、モルヒネの作用は瞬時に遮断されます。モルヒネとモルヒネ受容体との結びつきが遮断されるからです。

実験動物にナロキソンを投与すると、小麦のエクソルフィンとモルヒネ受容体との結びつきが遮断されることが分かりました。

統合失調症患者にナロキソンを投与

ここまで来ると次に何をやるか分かります。

普通に小麦を含んだ食事をしていて、症状が激しい統合失調症の患者にナロキソンを投与して、症状がおさまるのかどうかです。

世界保健機構(WHO)の研究では、幻聴症状の激しい統合失調症患者32人にナロキソンを投与したところ、幻聴が減ったことがわかりました。

残念ながら、次の必然的なステップー小麦を含む”正常な”食事をしている統合失調症患者と、小麦除去食の統合失調症患者にナロキソンを投与する比較研究ーは行われていません。

比較研究は行われていませんが、ナロキソンが効くということは、症状の激しい統合失調症の患者のモルヒネ受容体には、何かが結びついていたと解釈できます。

統合失調症でない人にナロキソンを投与

もし、小麦を食べると、グルテンの消化物がモルヒネ受容体に結びつくことがあるなら、統合失調症の人だけでなく、普通の人にも、同じことが起きているのです。もちろん、幻聴を聞くことはありません。

どんな影響があるのか、それを確かめるには、同じようにナロキソンを投与してどんな影響があるのか実験するのです。

食欲が低下する

普段小麦を食べている被験者にナロキソンを投与したところ、偽薬(プラシーボ)を投与された被験者と比べて、食事の摂取量が昼食で33%減、夕食で23%減(2食で合計およそ400カロリー減)となりました。

ミシガン大学では、過食気味の人たちを食べ物でいっぱいの部屋に1時間、閉じ込める実験が行われました。

すると、ナロキソンを投与された被験者たちが小麦クラッカーやブレッドスティックやプレッツェルを食べた量は普段より28%減っていたことがわかりました。

ナロキソンは、モルヒネ受容体に結びついていたものを瞬時に遮断します。モルヒネ受容体に結びついていたものが、普通の人に作用していたのは、食欲なのでしょうか。

また、グルテンのアレルギーでよく知られた病気にセリアック病があります。

セリアック病

セリアック病は、小麦グルテンにアレルギーを持つ人が発症します。

セリアック病は血液検査で診断されます。セリアック病にかかっている場合、グルテン成分の一つ、小麦グリアジンに対する抗体が血中に発見されることで分かるそうです。

グリアジン

グリアジンはコムギタンパク質の約40%を占め、グルテンの主要成分となるタンパク質です。(出典

グリアジンには変わった性質があります。腸にゾヌリンというタンパク質を放出させます。ゾヌリンは、腸細胞間で安全なバリアーの役割をしている密着結合を分解するのです。つまり、腸の防御体制が弱くなり、異物が血液に侵入しやすくなります。

グリアジンが引き金になってゾヌリンが放出されると、腸の密着結合が壊され、グリアジンやほかの小麦タンパク質の断片といった望ましくないタンパク質が血液に入り込みます。

すると、T細胞などの免疫活性化リンパ球がこれに反応し、さまざまな「自己」タンパク質に対する炎症過程を引き起こします。

バリアーが壊れて免疫反応が過剰に起き、それがきっかけで免疫機構が本来攻撃しないはずの自己組織へも攻撃し、自己免疫疾患の原因になるということなのでしょう。

セリアック病の主な症状について、次のように書かれていました。

患者の50%が腹痛、下痢、体重の継続的な減少という典型的な症状を示しますが、残り半分は、貧血、偏頭痛、関節炎、神経障害、不妊、低身長(子どもの場合)、うつ病、慢性疲労など、一見してセリアック病とは無関係なさまざまな症状や体調不良に見舞われます。

体に合わないものを食べると、腹痛、下痢、嘔吐が起きるのはたまに体験することです。体の反応だと理解できます。

しかし、セリアック病の場合、グルテンを食べてもお腹に反応が出ず、免疫反応がもとになる症状が出る場合があるそうです。

セリアック病に関連する疾患

このように書かれていました。皮膚炎はまだ分かりやすいですが、グルテンを食べると肝疾患、自己免疫疾患、糖尿病に神経障害が起きるとは。

グルテンが原因だとはなかなか思いつかないのではないでしょうか?

  • 疱疹状皮膚炎ーセリアック病または免疫介在性グルテンアレルギー患者に非常に多く見られる特徴的な発疹。かゆみのある盛り上がった発疹で、主に肘、膝、背中に現れます。グルテン除去により発疹は消えます。
  • 肝疾患ーセリアック病に関連する肝疾患は、肝臓検査で軽い異常値を示すものから、慢性活動性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、胆道がんまで、さまざまな形で現れます。肝臓は消化器系に属しますが、免疫介在性グルテンアレルギーによるほかの疾患と同じく、下痢などの腸の病変や症状が見られないことが多いものです。
  • 自己免疫疾患ーさまざまな器官に免疫攻撃を引き起こす病気は自己免疫疾患と呼ばれ、セリアック病患者によく見られます。セリアック病患者は、関節リウマチ、橋本病、全身性エリテマトーデスなどの結合組織疾患、ぜんそく、潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患、そのほかの炎症や免疫障害の発症率が高いことがわかっています。関節リウマチは痛みが強く、患部が変形する関節炎で、治療には抗炎症性薬が使われますが、グルテン除去により症状が改善するか、症状がまったくなくなります。また、自己免疫性炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病になるリスクが非常に高く、非セリアック病患者に比べると発症率は68倍です。
  • インスリン依存性糖尿病ーインスリン依存性の1型糖尿病の子どもは、セリアック病マーカーの抗体検査で陽性になる可能性が非常に高く、発症するリスクは20倍にもなります。小麦グルテンが糖尿病の原因かどうかはわかっていませんが、研究者たちの推測によれば、1型糖尿病のあるグループはグルテンの摂取がきっかけで発病します。
  • 神経障害ーグルテン摂取に関連する神経疾患はいくつもあります。(中略)理由がわかっていない平衡感覚の障害や協調的運動の障害(運動失調)、脚の感覚や筋肉制御の喪失(末梢神経障害)を発症している人たちは、セリアック病マーカーの発生率が異常に高い(50%)ことがわかっています。グルテン性脳障害と呼ばれる恐ろしい疾患させあります。これは頭痛、運動失調、認知症を伴う脳障害を特徴とし、最後には死に至ります。MRI検査をすると脳の白質に異常が見られます。
  • 栄養失調ー鉄欠乏性貧血はセリアック病患者に非常に多い症状で、発生率は69%に上ります。ビタミンB12、葉酸、亜鉛、脂溶性ビタミンA、D、E、Kの欠乏も多くみられます。

これだけ症状が多岐にわたると、私の素人考えでも、自分がグルテンアレルギーだと知らずに、病院通いをするケースは少なからずあるように思います。

日本人には関係ないか?

本を読みながら、日本人はそんなに小麦を食べないしなあと思いましたが、そんなことはありませんね。私自身、麺類が好きで、実際よく食べます。

うどん、ラーメン、パスタ、素麺など麺類は小麦粉でした。蕎麦でも十割蕎麦でない限り、小麦粉が何割か入っています。

そして、パンを全く食べない人はあまりいないのではないかと思います。少し腹持ちのするお菓子も、小麦粉でできています。日本人も炭水化物として毎日小麦粉をかなり食べていますね。

信州大学医学部内科学第二教室血液内科では、セリアック病についても研究されているようです。

本邦におけるセリアック病の頻度に関する検討を読むと、セリアック病の罹患率は欧米で約1%といわれていますが、信州大学で検査を行ってみると、全体の0.7%がセリアック病であると判断されました。

背景:セリアック病(Celiacdisease;CD )は,麦類に対する腸管アレルギー疾患である.主な症状は下痢であるが,鉄欠乏性貧血,骨粗鬆症,糖尿病などが合併し,悪性リンパ腫などの悪性疾患のリスクを高めるとされている.欧米では罹患率が約1%であるが,本邦では症例報告が見られるのみである.

目的:本邦におけるCDの罹患率を検討するために,当科患者においてスクリーニング検査を行った.

対象:内科疾患患者719例,健常者コントロール95例.

方法:血清中抗トランスグルタミナーゼ IgA抗体(TTGIgA)を測定し,陽性患者を十二指腸または小腸生検により病理学的に検討した.

結果:TTGIgA陽性は20例(2%)で,そのうち典型的な消化器症状を来たした臨床的CDは5例(全体の 0.7%)であった.男性5例,女性0例,平均年齢53.8才で ,1例が生存中で平均生存期間は52ヶ月であった.そのうち2例は内視鏡的にCDと確認された.TTGIgA陰性例にはCD症例はなかった.CD患者中悪性リンパ腫が2例認められた.健常者コントロールにはTTGIgA陽性例はなかった.

結語:TTGIgAはわが国でもCDのスクリーニングに有用であった.グルテン過敏症に対する感度は100%,特異度は97%であった.内科受診患者の中にCD患者が存在した.

検査方法は確立されているようですが、ネットで調べてみると、現在、保険適用外だそうです。

まとめ

グルテンが過食のもとをつくったり、もし、グルテンに対してアレルギーなら、一見アレルギー症状と思えないような(もっと重い)症状に見舞われることがあることを初めて知りました。

自分がグルテンの影響を受けているのかどうか知るためには、ジョコビッチの生まれ変わる食事でジョコビッチが語っているように、14日間、小麦を一切とらなければ分かると思います。

アレルギーははっきりしていて、昨日まで何ともなくても、花粉が飛び始めれば、すぐに鼻や目が正直に反応します。

アレルゲンがなくなればすぐに体調が変わるでしょう。

幸い、お米にはグルテンは入っていないので、あとは調味料に気をつければ、できないことはないと思います。

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