ハチミツのよさは成分分析表ではわからない

ハチミツが体によいのはどんな成分によるものか調べてみました。ハチミツは、ブドウ糖と果糖が主成分だとわかりましたが、食品分析表では、ミネラルもビタミンも大したことがなく、特徴がわかりませんでした。

しかし、ハチミツは大昔から世界中でケガや病気や健康のために使われてきているのは間違いありません。

はちみつ

ハチミツの歴史 (「食」の図書館)を読みました。このシリーズはとても面白い本が多いです。画像にアマゾンリンクを貼っておきます。

ハチミツは昔から体によいといわれます。どのようによいのか知らないまま、「体によい」ということだけ何となく信じています。

ただ、砂糖が当たり前に使えるようになるまで、ハチミツのように甘味が濃縮した食べものはほとんどなかったと思います。

貴重なものだっただろうなと思います。

ハチミツはこのようにできる

ハチミツはミツバチによって単糖類に分解されるのです。

ミツバチはストロー状の口吻(こうふん)と呼ばれる部分を使って花の蜜を吸い込み、蜜胃[ミツバチの腹部にある一時的に蜜を貯める器官]と呼ばれる特別な嚢(のう)に蓄える。

そこで転化酵素が加えられ、花蜜の二糖類が単糖類に分解される。これが巣のなかで他のミツバチに口移しで受け渡され、巣のミツバチはそれを巣房(すぼう)[ミツバチの巣を構成する六角形に仕切られたひとつひとつの部屋]に吐き出す。

それからさかんに羽ばたいて巣房に風を送り、蜜の水分を蒸発させてハチミツへと変化させていく。ハチミツはミツバチの食糧として蓄えられる。

ハチミツの成分分析

ハチミツはどのような成分からできているのでしょう?ハチミツの歴史にはこんな風に書かれています。

主成分は果糖とブドウ糖

主成分は糖(果糖とブドウ糖)で、水分が17~19パーセント、抗酸化ビタミンとミネラルと酵素も含む、大さじ1杯で約64キロカロリー。香り高く強烈な甘さが口いっぱいに広がり、活力を与えてくれる。

ハチミツの原料は、花の蜜ですから、花によって成分が変わるででょう。本には、抗酸化ビタミンやミネラルと酵素を含むと書かれていたので、ちょっと期待しました。

しかし、日本食品標準成分表2015年版(七訂)に出ていたハチミツには、抗酸化ビタミンのビタミンA(レチノール)、E(α-トコフェロール)、Cは残念ながら含まれていませんでした。

ミネラルも、植物由来のカリウムが少し多いなと思う程度です。成分分析では、当たり前ですが、調べた成分があるかないか、しかわかりません。

この表からは、「甘いもの」だということくらいしかわかりません。ちょっと肩すかしを食らったような感じがしました。

100g当たりの栄養成分
食品成分はちみつ
エネルギー303kcal
水分17.6g
たんぱく質0.3g
脂質Tr
炭水化物81.9g
灰分0.1g
ナトリウム2mg
カリウム65mg
カルシウム4mg
マグネシウム2mg
リン5mg
0.2mg
亜鉛0.1mg
0.04mg
マンガン0.21mg
ヨウ素Tr
セレン0
クロム1μg
モリブデン0
レチノール活性当量0
ビタミンD‘(0)
α-トコフェロール0
ビタミンK0
ビタミンB1Tr
ビタミンB20.01mg
ナイアシン当量(0.4)mg
ビタミンB60.02mg
ビタミンB120
葉酸7μg
パントテン酸0.12mg
ビオチン0.4μg
ビタミンC0
食物繊維総量‘(0)
ぶどう糖33.2g
果糖39.7g
しょ糖0.3g
麦芽糖1.5g
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

ハチミツの信じられてきた効果

ハチミツは食品分析表を見ると、ブドウ糖と果糖が多いことくらいしかわかりません。しかし、大昔から、傷や病気を治すため、健康のために使われてきたことは間違いありません。

人間が初めてハチミツを口にして以来、健康増進のためにもハチミツは利用されてきた。最古の証拠は約5000年前にさかのぼる。

古代エジプト人が傷を治すのにハチミツを使っていたのだ。古代エジプト人は、ハチミツは健康的な食品であり、とくに赤ん坊によいと考えた。そして、一般的に病気や邪悪なもの(しばしば病気となって現れる)から身を守ってくれると考えたようだ。(中略)

4000年前の古代インドで始まった伝統的医学アーユルヴェーダは、ハチミツをとりわけ腸や尿管の不調、吐き気、喘息、虚弱体質の治療に処方している。視力を改善し体重のコントロールにも役立つと考えていた。生ハチミツを軽い便秘薬としても使っている。(中略)

ギリシア人とローマ人も傷や病気を治すハチミツの力に言及し、ハチミツを食べれば長生きできると信じていた。紀元前4世紀には哲学者アリストテレスとアリストクセノスが、ともにハチミツを推奨している。

ハチミツは活力の源と考えられ、古代オリンピック競技の選手たちは自身の身体能力を向上させるためにハチミツを食べた。

1世紀頃の人物である大プリニウスは、浮腫(ふしゅ)、便秘、尿路や膀胱(ぼうこう)の感染症、腎臓結石(けっせき)の治療に「ミツバチの粉末」とハチミツを混ぜたものを勧めている。

彼はまた、生ハチミツは下剤として効果的だが、煮立たせたハチミツは下痢に効き、有毒植物からとったハチミツはてんかんに効くと助言している。(中略)

初期のヨーロッパ文化も、ハチミツを強壮剤、薬、病気よけとして扱った。ハチミツを軟膏として使い、傷口がくっつくよう、そして早く治るようにと皮膚に塗った。

やけどもよくハチミツで治療され、健康になるための強壮剤としても飲まれた。さまざまな調合薬が記録に残っており、ハチミツと鳩の糞を混ぜたものは腎臓結石の治療に使われた。

紀元前5世紀にヒポクラテスが書き残した、ハチミツで甘みをつけた「マムシの粉末」の処方は、何世紀も経た14世紀半ば、人々が伝染病から身を守るのに再び使われた。

これらの話が現代でも通用するのかわからないですが、しかし、全く効果がないと考えるのも無理がある話です。何しろ長い時間使われていたのですから。もし、全く効果が感じられなければ使われなくなるのが自然です。

しかし、残念ながらこの本には、昔からの使われ方が現代でも有効なのか、それとも無効なのかについて特に言及されていませんでした。

乳児に食べさせないようにご注意

子供にも使われてきたハチミツですが、乳児には食べさせないのが、最近の常識です。よく知られている話だと思いますが、念のため。

危険性がわかったのはごく最近のことで、1976年の発見によるところが大きい。ハチミツにときおり含まれるボツリヌス菌(学名 Clostridium botulinum)の芽胞(がほう)が、乳児にボツリヌス中毒症を引き起こすことが判明したのだ。

消化管が成熟した成人やある程度成長した子供は芽胞を食べても平気だが、まだ抵抗力のできていない乳児には危険が及ぶ恐れがある。

ボツリヌス中毒症の症状は軽いものから深刻なものまでさまざまで、まれにだが死ぬこともある。そのため、アメリカの医療機関は1歳未満の乳児にハチミツを与えないように助言している。

ボツリヌス菌は食中毒の菌として発見されたのですが、毒性が非常に強いのが特徴です。

品質の高いハチミツ

品質の高いハチミツについても書かれていました。色が濃いハチミツがよいそうです。さらに、ソバのハチミツと、これは有名ですが(高い)マヌカハニーも紹介されていました。

私はソバのハチミツを昨年知人にもらったのですが、まあ、味が濃かったです。好き嫌いがありそうな味でした。

ハチミツの色が濃いほど抗酸化物質が多く水分が少ないので健康によいという点に、ほとんどの研究は同意している。

ただし残念なことに、色が濃いハチミツは非常に高価で簡単には手に入らない。(中略)

薬用になったり健康食品として利用されたりすることで有名なハチミツもある。たとえばソバのハチミツは、よくあるセージとクローバーのハチミツに比べて抗酸化物質を多く含んでいる。

東欧産のソバのハチミツは、健康を増進させると宣伝され、健康食品店によく置かれている。ニュージーランドのマヌカハニーはギョリュウバイ(学名 Leptospermum scoparium)の蜜から作られ、健康効果が高いと宣伝されている。バクテリアを殺し、感染症を防ぐだけでなく治すのに役立つと主張する研究があるのだ。

まとめ

ハチミツは体によいといわれていますが、実際に、どんな成分がよいのだろうと思って調べてみました。ハチミツは、ブドウ糖と果糖が主成分だとわかりましたが、食品分析表では、ミネラルもビタミンも大したことがなく、特徴がわかりませんでした。

しかし、大昔から、世界中で傷や病気を治し、健康のために使われてきているので、成分分析では調べられてない何かがあるのだと思います。

ハチミツを選ぶ時は、色の濃いものがよいそうです。また、ソバのハチミツは抗酸化物質を多く含んでいるそうです。マヌカハニーは、抗菌性があると知られています。

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