麦飯がよいと聞いて、長年玄米を食べてきた私はどちらがよいのだろうと迷い、調べました。麦飯の麦は大麦のことで、押麦は大麦の外皮を取り除き熱処理をされてローラーでつぶされたものでした。たんぱく質が少し多く、食物繊維がとても多いのが特徴です。ビタミンミネラルは白米と比較すると多いですが、玄米とそれほど差がありません。結論は、玄米に押麦を混ぜて炊くのが一番よい方法です。
私は10年以上圧力鍋で玄米を炊いて食べています。最近、麦飯がよいらしいことを知り、どちらを食べたらよいのか知りたくなり調べました。
白米7:麦3の麦飯がよいらしい
川島四郎先生のたべもの心得帖にはこのように書かれていました。
日本国民が揃って白米飯を食べるようになったのは、終戦後、白米が配給になりだしてからです。日本がぐんぐん伸び上がって、世界のトップ圏に伍するようになってきたのは、明治時代の人達が粉骨砕身した賜ですが、その明治の人達は、麦飯を食べて頑張ってきたのです。
明治の初めから、日本の陸軍も海軍も、主食は麦飯でした。米七、麦三の麦飯で、世界に誇る健兵をつくってきたのです。
当時でも半搗米(はんつきまい)論あり、七分搗説あり、玄米食、胚芽米の主張もありましたが、陸海軍はこれに迷わず、確信を持って麦飯を食べ続けてきたのです。
麦飯の麦は、大麦
麦飯の麦とは何でしょうと聞かれたら、答えられますか?
私は小麦かな?と思っていました。しかし、調べてみたら大麦なのです。裸麦も使われますが大きな意味で大麦の一種です。
大麦とは
大麦は、世界でもっとも古くから栽培されていた作物の一つです。小麦よりも低温や乾燥に強いため、ライ麦と共に小麦の生産が困難な地方において多く栽培されます。
そして、大麦だから小麦より粒が大きいのかと思ったら、そういうことではないのです。
- 大=本物・品質の良いもの・用途の範囲の広いもの
- 小=代用品・品格の劣るもの
こういう意味があるのです。(出典)
大麦は麦芽(モルト)に使われてビールやウイスキーの材料になりますが、小麦の方が圧倒的に使われているので、大麦の方が使いにくいのかと思っていました。歴史的には違うようです。
白米と混ぜて炊く押麦は大麦
押麦(おしむぎと読む)は文字通り平べったい形状をしていて、真ん中に筋が入っています。お米の横で小さい袋に入って売られています。これをお米に混ぜて炊くのです。
私は、こんな麦があるのかと思っていましたよ・・・。
押麦はローラーで押しつけて加工したもの
押麦は、丸麦に水と熱を加えて2つのローラーで押したものでした。調べてよかった。今まで知りませんでした。
丸麦は、大麦の外皮を取り除き、精白した状態そのままのもの。この通り丸いのです。これに水と熱を加えてローラーをかけて加工するのは米と一緒に炊いた時に、煮えにくいからです。
大麦の栄養成分
ごはんと一緒に炊く押麦について栄養成分を調べました。まず、表をご覧下さい。
七分つき押麦 | 押麦 | 米粒麦 | こめ精白米 | 玄米 | |
エネルギー | 341kcal | 340kcal | 343kcal | 358kcal | 353kcal |
水分 | 14.0g | 14.0g | 14.0g | 14.9g | 14.9g |
たんぱく質 | 10.9g | 6.2g | 7.0g | 6.1g | 6.8g |
脂質 | 2.1g | 1.3g | 2.1g | 0.9g | 2.7g |
炭水化物 | 72.1g | 77.8g | 76.2g | 77.6g | 74.3g |
カリウム | 220mg | 170mg | 170mg | 89mg | 230mg |
カルシウム | 23mg | 17mg | 17mg | 5mg | 9mg |
マグネシウム | 46mg | 25mg | 25mg | 23mg | 110mg |
リン | 180mg | 110mg | 140mg | 95mg | 290mg |
鉄 | 1.3mg | 1.0mg | 1.2mg | 0.8mg | 2.1mg |
亜鉛 | 1.4mg | 1.2mg | 1.2mg | 1.4mg | 1.8mg |
銅 | 0.32mg | 0.40mg | 0.37mg | 0.22mg | 0.27mg |
βカロテン | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
レチノール活性当量 | 0 | 0 | 0 | 0 | Tr |
ビタミンD | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | 0.2mg | 0.1mg | 0.1mg | 0.1mg | 1.2mg |
ビタミンB1 | 0.22mg | 0.06mg | 0.19mg | 0.08mg | 0.41mg |
ビタミンB2 | 0.07mg | 0.04mg | 0.05mg | 0.02mg | 0.04mg |
葉酸 | 17μg | 9μg | 10μg | 12μg | 27μg |
ビタミンC | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
水溶性食物繊維 | 6.3g | 6.7g | 6.0g | Tr | |
不溶性食物繊維 | 4.0g | 5.5g | 2.7g | 0.5g | 2.3g |
食物繊維総量 | 10.3g | 12.2g | 8.7g | 0.5g | 3.0g |
米粒麦とは、黒条(黒い筋)から縦に半分に切り、米粒状にむいたもの。押麦や切断麦は水洗いの際に浮きやすいのに対し、比重を米と同じ程度にしているので、米粒麦は米と混ざりやすい特徴があります。(出典)
一番右に比較するためにお米と玄米の成分を載せました。これらは炊いたご飯についての数値ではありませんのでお間違いなく。
食物繊維が多い
押麦は栄養価が高いですね。全般的には白米に比べて大麦の方がカリウム、カルシウムが高く、そしてダントツに食物繊維が多いです。水溶性食物繊維の方が多いのが特徴です。ビタミンB1も多いです。
カロリーは米麦とも大差がないので、麦飯を食べてもカロリーは変わらないと考えてよいでしょう。
白米だけを食べるより、押麦を混ぜて炊いた麦飯を食べた方が、ほとんどの栄養成分をとることができるようになります。
食物繊維が白米とは比べものにならないくらい多いですから、お腹の調子もよくなるでしょう。
食物繊維は、物理的に便通をよくする働きもありますが、腸内細菌のエサになります。腸内細菌が分解してできた短鎖脂肪酸は、腸の表皮細胞が直接エネルギーにします。
このようにお腹の環境をよくするために食物繊維は重要です。食物繊維についてはいくつか記事を書いています。
麦飯は消化が早い
麦飯は粘りがあまりありません。昔、障子張りをするための糊は、炊いたお米のご飯を煮た澱粉で作っていました。それは覚えています。
麦飯は消化が早いそうなのです。たべもの心得帖にはこのように書かれていました。
お米のご飯をたっぷり食べると、粘着力の強いその澱粉は、胃袋の内壁にべったりとくっつく道理です。
つまり胃袋に貼りついたようになって胃の消化液の口をふさぐようになりますし、また折角の胃の消化液がお米のご飯の団子の中によくとおりません。
ところが麦飯は、米のご飯のように粘着性がなく、パラパラしていますので、胃袋にもくっつかず、一粒一粒がバラバラですから、粒の中にも浸透しやすいわけです。
胃の中にある食物に充分に胃液がまざりますと、やがて幽門が開いて、食物は十二指腸に送り出されます。
結局、同じ分量でも麦飯はさっさと胃から出ていきますし、お米のご飯は長く胃袋の中に居残るわけで、胃にもたれることになるのです。
押麦の値段
調べていると一度炊いてみたくなります。押麦、いや七分づき押麦がよいですね。
アマゾンで検索してみると西田精麦 押麦(つるむぎ) 5kgがありました。つるむぎと書かれていますが、二条大麦といってビールの原材料になる大麦の種類でした。産地は九州です。レビューが180以上ついていました。人気商品ですね。
ただし、2000円以上買うか、定期便にしないと送料がかかります。こういうのは最初にお米屋さんに行って聞くのがよい方法です。大量に買うなら通販が安いかもです。私は玄米を30キロずつ買いますが、アマゾンを使っています。
麦飯の炊き方
最後に、麦飯の炊き方を調べてみました。株式会社はくばくさんの麦ごはんの炊き方というページに出ていました。
ポイントは簡単です。
- 水加減は麦の2倍。
- 麦は洗う必要がない。
例にでていたのは、このような分量です。
3~4人分
米2合(300g)
大麦 50g
水(米2合分)300cc
水(大麦50g分)1/2カップ(100cc)
ここから、米七麦三の比率で麦飯を炊くための目安を単純に出しましょう。
- 米 70g
- 大麦 30g
- 水(米70g分)70cc
- 水(大麦30g分)60cc
この比率で炊けばよさそうです。ただし季節によって米、大麦が含んでいる水分量が変わりますから何度か炊いてちょうどよい水加減を見つけて下さい。
私は実家でしばらく食べていたので知っていますが、麦飯は保温ジャーに入れておくとすぐにまずくなってきます。やや不経済ですが、都度炊いた方がおいしく食べられます。
玄米に押麦を混ぜて玄米麦飯にすれば一番よいではないか
ここまで、白米に押麦を混ぜて炊くことを書いて来ましたが、玄米を炊くときに押麦を混ぜても一向に構わないのです。
玄米を圧力鍋で炊くと、かなりモチモチした仕上がりになるので、押麦と混ぜると案外バランスが取れるかもしれません。玄米は必ずしも白米より食物繊維が多いわけではないので、押麦と混ぜた方がお腹のためによいですね。
私は玄米麦飯を食べることにします。
まとめ
中学生から高校2年まで麦飯を食べていました。ぼそぼそしていて弁当に詰められるとあんまりおいしいとは思わなかったですが、腹が減って食べられればなんでもいい年代ですから、特に不満は感じなかったです。
しかし、一番最近麦飯を食べたのを思い出すと、何年か前に食べたとろろご飯でした。玄米のことを調べたときに、川島四郎先生が本の中で麦飯をすすめていたので、調べてみようと思いました。
ご飯に興味をもつ方は、玄米を食べることをまず考えられると思います。玄米にはリンが多いに書きましたが、リンとバランスをとるためにカルシウムを摂る必要があります。
発芽玄米でも同じです。
麦飯とは、お米と大麦を炊いたものです。大麦は煮えるのに時間がかかるので、蒸してローラーで扁平につぶした押麦をお米と一緒に炊きます。
押麦は食物繊維がとても多く、パラパラしているので消化が早いことが魅力です。
今は玄米だけを食べていますが、押麦を買って来て混ぜて炊こうと思います。自分で調べてよかったです。