わかめを毎日たくさん食べてヨウ素摂りすぎにならない?

青野菜の代わりに乾燥わかめを水で戻して毎日食べようと思いました。しかし、ふと、ヨウ素の過剰摂取のことを思い出し、調べてみました。わかめや昆布を当たり前に食べる日本人は、ヨウ素の過剰摂取の障害は起きにくいようです。

しかし、閉経後の女性は、ヨウ素を摂りすぎると、甲状腺がんの原因になるかもしれないというコホート研究の結果がありました。

わかめ

今年(2018年)はとても寒く、八百屋さんに行くとずっと野菜の値段が高いままです。先日、おひたしを食べるのは葉緑素を食べることを書いて、そうだ乾燥わかめを水で戻して食べれば青菜を食べるように葉緑素がとれるなと思いました。

ただ、ふと、ヨウ素(I)のことを思い出しました。海藻を食べることは体によいといわれていますが、ヨウ素を摂りすぎると害があったように思いました。

わかめの栄養成分を調べて、ヨウ素の摂りすぎにならないかどうか調べてみましょう。

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わかめの栄養成分

日本食品標準成分表2015年版(七訂)から調べてみると、ヨウ素の数値が出ているわかめは5種類ありました。

違いは、水分が含まれているかどうかです。水分を見ていただければ、分かります。カットわかめだけが乾燥わかめです。

カルシウム、マグネシウムが多く食物繊維も多い

表を見ると、カルシウムとマグネシウムが多いことが分かります。乾燥わかめ100gは食べられませんが、水で戻したわかめ100gなら食べられます。塩蔵したわかめより、乾燥わかめを水で戻したものの方が、多いことが分かります。

食物繊維も多いです。最近、食物繊維が便秘解消以上に役立つものだと知られてきました。寒天は、ほぼ100%食物繊維である。で書きましたが、食物繊維は腸内細菌のエサになり、分解してできた短鎖脂肪酸は、大腸の粘膜上皮細胞が直接エネルギー源にします。

寒天のことを知りたいと思いました。食物繊維が気になっているのです。しかし、似たような「ツルン」とした食感のものでゼラチン、葛(くず)があるこ...
100gあたりの栄養成分
わかめ原藻生 乾燥わかめ/素干し水戻し カットわかめ 湯通し塩蔵わかめ/塩抜き めかぶわかめ/生
エネルギー 16kcal 17kcal 138kcal 11kcal 11kcal
水分 89g 90.2g 8.6g 93.3g 94.2g
たんぱく質 1.9g 2g 18g 1.7g 0.9g
脂質 0.2g 0.3g 4g 0.4g 0.6g
炭水化物 5.6g 5.9g 41.8g 3.1g 3.4g
灰分 3.3g 1.6g 27.6g 1.5g 0.9g
ナトリウム 610mg 290mg 9500mg 540mg 170mg
カリウム 730mg 260mg 440mg 12mg 88mg
カルシウム 100mg 130mg 820mg 42mg 77mg
マグネシウム 110mg 130mg 410mg 19mg 61mg
リン 36mg 47mg 290mg 31mg 26mg
0.7mg 0.5mg 6.1mg 0.5mg 0.3mg
亜鉛 0.3mg 0.1mg 2.8mg 0.2mg 0.2mg
0.02mg 0.02mg 0.16mg 0.01mg 0.02mg
ヨウ素 1600μg 1900μg 8500μg 780μg 390μg
β-カロテン当量 940μg 1200μg 1800μg 250μg 240μg
レチノール活性当量 79μg 100μg 150μg 21μg 20μg
ビタミンD

0

0

0 0 0
α-トコフェロール 0.1mg 0.2mg 0.3mg 0.1mg 0.1mg
ビタミンK 140μg 120μg 1600μg 100μg 40μg
ビタミンB1 0.07mg 0.05mg 0.05mg 0.01mg 0.02mg
ビタミンB2 0.18mg 0.08mg 0.07mg 0.01mg 0.03mg
葉酸 29μg 46μg 18μg 11μg 36μg
ビタミンC 15mg 3mg 0 0 2mg
食物繊維総量 3.6g 5.8g 35.6g 3g 3.4g

ヨウ素の1日の必要量

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、ヨウ素について次のように摂取基準が定められていました。

下の表では耐容上限量が気になるところです。耐容上限量の基本的な定義は次のように書かれています。

健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限を与える量として「耐容上限量」を定義する。これを超えて摂取すると、過剰摂取によって生じる潜在的な健康障害のリスクが高まると考える。

理論的には、「耐容上限量」は、「健康障害が発現しないことが知られている習慣的な摂取量」の最大値(健康障害非発現量、no observed adverse effect level:NOAEL)と「健康障害が発現したことが知られている習慣的な摂取量」の最小値(最低健康障害発現量、lowest observed adverse effect level:LOAEL)との間に存在する。

毎日摂っていても健康障害が発現しない上限だと考えておきましょう。3000μgは3mgのことです。

ヨウ素の食事摂取基準(μg/日)
性 別 男 性 女 性
年齢等 推定平均
必要量
推奨量 目安量 耐容
上限量
推定平均
必要量
推奨量 目安量  耐容
上限量
0~5(月) 100 250 100 250
6~11(月) 130 250 130 250
1~2(歳) 35 50 250 35 50 250
3~5(歳) 45 60 350 45 60 350
6~7(歳) 55 75 500 55 75 500
8~9(歳) 65 90 500 65 90 500
10~11(歳) 80 110 500 80 110 500
12~14(歳) 100 140 1,200 100 140 1,200
15~17(歳) 100 140 2,000 100 140 2,000
18~29(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
30~49(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
50~69(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
70 以上(歳) 95 130 3,000 95 130 3,000
妊婦(付加量) +75 +110 1
授乳婦(付加量) +100 +140
1 妊婦の耐容上限量は、2,000μg/日とする。

乾燥わかめ10gを水で戻して絞ると重さは100gくらい

乾燥わかめはどのくらい水を吸うのかやってみました。乾燥わかめ10gを水で戻して絞ると、107gでした。もっと強く絞れば100gになるでしょう。

表を見て、乾燥わかめ/素干し水戻し100gの水分量が90.2gだったので、乾燥わかめ10gを戻せばよいのかなと見当をつけました。やってみると分かりますが、大した量ではありません。

しかし、このぐらい食べると、カルシウムもマグネシウムもそこそこ摂れ、食物繊維もかなり摂れます。

そして、ヨウ素の量も耐容上限量まで行きません。

私は業務用スーパーや乾物屋さんでなるべくサイズの大きいものを買っています。その方が割安だからです。お店で買う時は、ほぼ中国産ですが、目安は200g入りで400~500円です。

ヨウ素が欠乏するとどうなるか

ヨウ素欠乏の影響はこのように説明されていました。

慢性的なヨウ素欠乏は、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の分泌亢進、甲状腺の異常肥大、又は過形成(いわゆる甲状腺腫)を起こし、甲状腺機能を低下させる。

妊娠中のヨウ素欠乏は、死産、流産、胎児の先天異常及び胎児甲状腺機能低下(先天性甲状腺機能低下症)を招く。。

ヨウ素を過剰摂取するとどうなるか

日本人の食事摂取基準(2015年版)では、日本人のヨウ素摂取についてこのように書かれていました。

まず、昔から海藻を食べてきた日本人は、ヨウ素をたくさん摂っている集団だと認識しておきましょう。

日本人は世界でもまれな高ヨウ素摂取の集団

ヨウ素は海藻類、特に昆布に高濃度で含まれるため、日本人は世界でもまれな高ヨウ素摂取の集団である。日本人のヨウ素摂取量は、献立の分析、尿中ヨウ素濃度、海藻消費量の三方向から検討されてきた。

献立の分析、及び尿中ヨウ素濃度の測定からは、500μg/日未満の摂取の中に間欠的に 2 mg/日以上、場合によっては 10 mg/日に近い高ヨウ素摂取が出現すること、海藻消費量の検討からは 1.2 mg/日という平均摂取量が推定される。

また、日本人のヨウ素摂取量に関するレビューは、平均で 1~3 mg/日という値を提示している。

以上から、日本人のヨウ素摂取量は、昆布製品などの海藻類をあまり含まない食事からの 500μg/日未満を基本として、間欠的に摂取される海藻類を多く含む食事分が加わり、平均で 1~3 mg/日になると推定できる。

なお、食事調査と食品成分表を用いて日本人のヨウ素摂取を検討した最近の報告も、この推定を支持している。

過剰摂取は、甲状腺機能低下から甲状腺腫

日本人は、高ヨウ素摂取が当たり前なので、甲状腺へのヨウ素輸送が低下する脱出現象がおきるようです。

日常的にヨウ素を過剰摂取すると、甲状腺でのヨウ素の有機化反応が阻害されるが、甲状腺へのヨウ素輸送が低下する“脱出(escape)”現象が起こり、甲状腺ホルモンの生成量は正常範囲に維持される。

日本人の場合は、ヨウ素摂取の形態が極めて特異的であり、恐らく脱出現象が成立し、ヨウ素過剰摂取の影響を受けにくいと考えられる。

しかし、脱出現象が成立していても、大量にヨウ素を摂取すれば、甲状腺ホルモン合成量は低下し、軽度の場合には甲状腺機能低下、重度の場合には甲状腺腫が発生する。

連日 1.7 mg/日のヨウ素を摂取した人に甲状腺機能低下が生じることから、アメリカ・カナダの食事摂取基準は成人のヨウ素の耐容上限量を 1.1 mg/日としている。

実際、中国やアフリカでは、飲料水からの 1.5 mg/日を超えるヨウ素摂取が甲状腺腫のリスクを高めている。

一方、日本人のヨウ素摂取量は、前述のように、平均 1~3 mg/日だと推定できるが、甲状腺機能低下や甲状腺腫の発症は極めてまれである。これより、日本の一般成人に限定すれば、3 mg/日をヨウ素摂取の最大許容量、すなわち健康障害非発現量とみなせると判断した。

これを読んでいる限り、ヨウ素過剰摂取は日本人の場合、あまり心配がないのかもしれません。極端なヨウ素過剰摂取の場合が書かれていました。

ところで、日本の報告では、主に昆布だし汁からのヨウ素 28 mg/日の約 1 年間の摂取事例、昆布チップ 1 袋を約 1 か月食べ続けた事例など、明らかに特殊な昆布摂取が行われた場合に甲状腺機能低下や甲状腺腫が認められている。

日本の健康な人を対象にした実験では、昆布から 35~70 mg/日のヨウ素(乾燥昆布 15~30 g)を 10 人が 7~10 日間摂取した場合に血清 TSH の可逆
的な上昇、27 mg/日のヨウ素製剤を 28 日間摂取した場合に甲状腺機能低下と甲状腺容積の可逆的な増加が生じている。

TSHは甲状腺刺激ホルモンのことです。28mg=28000μgです。耐容上限量の10倍程度のヨウ素を1年間毎日摂っていたのですから、数字だけ見るとすごいです。

ヨウ素が多い食品

日本食品標準成分表2015年版(七訂)に出ている全食品からヨウ素が多い食品を調べました。昆布がダントツに多いです。

1000μg=1mgとして換算すると、刻み昆布は100gあたり、230mgもヨウ素があります。それに比べればカットわかめは1/30程度のヨウ素量になりますが、それでも食品全体から見ると、ヨウ素がとても多い食品です。

特に、昆布はヨウ素がとても多いと覚えておきましょう。

食品100gあたりのヨウ素量(μg)
食品名 成分量
刻み昆布 230000
ながこんぶ/素干し 210000
まこんぶ/素干し 200000
ほしひじき/鉄釜乾 45000
ほしひじき/ステンレス釜乾 45000
カットわかめ 8500
あおのり/素干し 2700
あおさ/素干し 2200
乾燥わかめ/素干し水戻し 1900
わかめ/原藻生 1600
あまのり/ほしのり 1400

閉経後の女性はヨウ素の過剰摂取に少しご注意を

どうやら日本人にはヨウ素の過剰摂取はあまり関係がないので、乾燥わかめを水で戻して毎日食べようと思いました・・・が、こんな記事を発見してしまいました。

国立がん研究センター社会と健康研究センター予防研究グループの海藻摂取と甲状腺がん発生との関連についてを読むと、閉経後の女性は海藻を毎日食べない方がよいかもしれません。

このような調査が行われました。

平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼称は2011年現在)管内にお住まいの方々に、アンケート調査の回答をお願いしました。

そのうち、40~69歳の女性約5万人について、その後平成19年(2007年)まで追跡した調査結果に基づいて、海藻摂取と甲状腺がん発生との関係について調べた結果を、専門誌で論文発表しましたので、ご紹介します。

結果については、直接記事をお読みください。

海藻を食べるのが、週2日以下、週3~4日、ほとんど毎日という3つのグループに分けて、その後の甲状腺がんの発生率が比較されました。

すると、海藻食べる頻度が多い人ほど甲状腺がんになりやすい傾向がありました。甲状腺がんの中でも、乳頭がんに絞って解析したところ、週2日以下しか海藻を食べない女性と比べて、ほとんど毎日海藻を食べる女性で、統計学的に有意に甲状腺がんリスクが高くなっていたということです。

ただ、どの海藻をどのくらいの量食べていたのかなどは分かりません。

まとめ

青野菜の代わりに乾燥わかめを水で戻して毎日食べようと思いました。しかし、ふと、ヨウ素の過剰摂取のことを思い出し、調べてみました。

すると、わかめや昆布を当たり前に食べる日本人は、特別ヨウ素をたくさんとる集団であり、他国人と比較して、ヨウ素の過剰摂取の障害は起きにくいようです。

乾燥わかめ10gを水で戻して絞ると100g程度になり、そのくらいの量を毎日食べるのは現実的でした。しかもカルシウム、マグネシウム、食物繊維も豊富でとてもよさそうです。

しかし、閉経後の女性は、ヨウ素を摂りすぎると、甲状腺がんの原因になるかもしれないというコホート研究の結果がありました。閉経後の女性には海藻を毎日食べましょうとすすめられない可能性があります。

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