鶏胸肉をおいしく食べよう

安く買える鶏胸肉をどのように料理していますか?鶏もも肉なら100gあたり100円くらい。鶏胸肉なら100gあたり70円くらいでしょうか?

鶏もも肉に比べて胸肉はパサパサする印象があります。その分、脂肪が少ないのである程度の年齢以上の人にはよい食材です。

鶏胸肉

鶏胸肉のカロリーと栄養成分

鶏肉のむね、もも、ささみについて比較してみました。鶏の皮には脂質が多く含まれているので、皮をとって料理するとさらにカロリーが減ります。
ささみは、鶏むねの奥にある部位で、皮はついていません。

炊いたご飯が100gあたり168kcalくらいです。
また、豚肉ロース脂身つきで100gあたり263kcalなので、比較するとカロリーはかなり低いです。

100gあたりの栄養成分(出典
エネルギー水分たんぱく質脂質炭水化物グルタミン酸
若鶏肉むね皮つき生145kcal72.6g21.3g5.9g0.1g2900mg
若鶏肉むね皮なし生116kcal74.6g23.3g1.9g0.1g3400mg
若鶏肉もも皮つき生204kcal68.5g16.6g14.2g03000mg
若鶏肉もも皮なし生127kcal76.1g19.0g5.0g02900mg
若鶏肉ささ身生105kcal75.0g23.0g0.8g0

鶏もも肉と鶏胸肉を比べると、胸肉の方が白っぽくておいしくないように見えます。

おいしくする方法

ネットを歩き回ると、鶏胸肉に下味をつける方法がいろいろ紹介されています。確かに料理するとパサパサするので、油に漬けておくなんて方法もありました。

しかし、もともと脂肪が少ない鶏胸肉を買っているのですから、それでは本末転倒です。

胸肉には実はうま味成分が多い

鶏胸肉と鶏もも肉を焼いて食べると、もも肉の方が脂が多いせいか、うま味が多い感じがします。胸肉はパサパサした食感があるせいか、うま味が抜けたような肉を食べている気がします。

しかし、上の表にあるグルタミン酸を見比べてください。おいしく感じるもも肉と差がないのです。グルタミン酸はコンブにたくさん含まれています。

もう一つのうま味成分、イノシン酸(5′-イノシン酸)の成分量は日本食肉消費総合センターのサイトから調べました。肉の熟成期間は違っていますが、それぞれの一番よい数値を出しています。イノシン酸はかつお節のうま味主成分として知られています。

比べてみれば、鶏胸肉のイノシン酸量がとても多いことがわかります。コンブとかつお節でダシをとればとてもよいダシがとれます。

100gあたりのうま味成分5′-イノシン酸含有量
鶏胸肉120mg
鶏もも肉88mg
豚もも肉78mg
和牛もも肉37mg

薬膳レシピ鶏むね肉によるとこのように書かれています。

鶏むね肉は、うま味成分であるグルタミン酸とイノシン酸(IMP)を多く含んでおり、強いうま味を持っていますが、もも肉と違って、調理するとパサパサして美味しくないと言われています。

しかし、調理方法を工夫すれば、うま味の強い、ジューシーな鶏むね肉になるのです。

うま味は水溶性

うま味成分のグルタミン酸とイノシン酸は水溶性(水に溶ける)です。何となく脂に溶けるのではないかと思うのですが、味噌汁を作る時のことをよく考えてみてください。

コンブもかつお節のうま味はお湯に溶けています。

もも肉も胸肉も調理すると肉汁が同程度出るそうです。しかし、もも肉を焼くとお分かりになると思いますが、結構脂が出ます。ところが、胸肉はもともと脂が少ないこともありますが、水分が多く出てきます。そして、その中にうま味が溶けて一緒に出て行ってしまうのです。

薬膳レシピ鶏むね肉によるとこのように説明されています。

鶏むね肉は、一つの大きな筋肉でできており、それを構成する筋線維がもも肉のものよりも長いので、60℃以上の温度で加熱すると、筋細胞に含まれる繊維である筋原線維が縮み、鶏むね肉に含まれる水分が失われ、肉がパサパサになります。

肉を茹でても焼いても、加熱すると縮みます。筋原線維が縮むと水分が失われるというのは、タオルをしぼると水が出るようなものなのでしょうか?

ではどうしたらよいのか?こんなことが書かれていました。

鶏むね肉を美味しくするために、①加熱前に、むね肉を包丁で叩いて筋線維を短くする処理、②加熱前に、むね肉にフォークで穴をあけ低濃度の食塩水溶液に漬ける前処理、(後略)

では一つずつ書いていきましょう。

調理前に胸肉を包丁でたたく

調理前に胸肉を切る必要がありますが、よい切り方があります。

鶏胸肉をよく見てみましょう。

鶏胸肉は線維が画像に書いた線の向きに走っています。胸肉を切るときは、この線に対して直角の向きに包丁を入れると、確実に筋線維を短く切ることができます。

 

鶏胸肉

肉を切ったら、両面を包丁の峰で格子状に叩きます。縦に叩いたら横方向にも叩くことです。そうすると、筋線維が短く断ち切られます。

私はこのことを知るまで、線維に沿って切っていました。見た目でなんとなくそうした方がよいかなと思っていたのです。知ってよかったです。

水分をプラスする

鶏胸肉は水分が出ていきやすいので、最初に足しておこうという作戦です。

材料

  • 鶏むね肉(皮なし)・・・1枚
  • 砂糖・・・肉の重さの1%
  • 塩・・・肉の重さの1%
  • 水・・・肉の重さの10%

むね肉にフォークで穴をあけ、この溶液に浸けてビニール袋の中でよく揉んで1分。さらに、冷蔵庫で1時間寝かせて調理するとよく。一晩おけばもっとよいそうです。

肉の重さに対して1%の塩と1%の砂糖を10%の水に溶かした液というのは、たとえば、肉の重さが300gだったら、3gの塩と3gの砂糖を30gの水、30mlに溶かします。塩も砂糖もそれぞれ10%の濃度になるのでわりと濃いかもしれません。海水の濃度は3.5%くらいです。

ブライン液

あさいちでは、「鶏むね肉 新活用法」でブライン液を紹介していました。ブラインとはbrineとつづり、塩水のことです。

  • 砂糖・・・5g
  • 塩・・・5g
  • 水・・・100ml

この中にむね肉を浸し、4時間から一晩おくとよいそうです。

もし蒸すならその前に冷蔵庫で干す

魚柄仁之助さんのおいしいごはんはこう作るというなかなか楽しい本に出ていたむね肉の下ごしらえです。

もし、鶏胸肉を蒸して鶏ハムを作るなら、厚みを開いて全体の厚さを均等にして、塩を全体にまぶして12時間冷蔵庫の中で「干し」ます。こうすると味が凝縮されます。

まとめ

胸肉を浸けるブライン液になぜ砂糖と塩を入れるのか調べてみましたが、今のところわかりません。私は子供みたいに「なぜなんだろう?」と思ってしまうのです。わかったら記事を更新します。

この記事を書いて、私は胸肉の切り方がとても参考になりました。知らなければずっと線維に沿って切っていたと思います。

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