きのこを料理するときは、水から煮る、凍らす、干す

きのこを料理する時、沸騰したお湯に入れていませんか?きのこにはキノコキトサンという有効成分があり、うまみも一緒に利用するなら、水から煮る、凍らす、干してから使うのがよい方法です。

水から煮るだけなら今日からでもできます。是非やってみてください。

えのき

きのこの有効成分キノコキトサン

2013年に日本きのこ学会誌に掲載された肥満モデル動物におけるキノコキトサンの抗肥満効果を読むと、きのこにはキノコキトサンという成分が含まれています。

なかなか効果があるようです。

キトサンは,きのこの細胞壁や甲殻類の外殻成分に含まれるキチンを脱アセチル化して得られる多糖類である,本研究では,エノキタケ由来のキトサン(キノコキトサン)の脂質異常症の改善効果および肥満抑制効果について肥満モデル動物であるZucker−fattyRatを用いて検討した.

キノコキトサンを与えた群では,体重の顕著な減少,肝臓への脂肪沈着の減少,糞便中の脂質含有率の増加を確認した.

さらに血液生化学検査では,中性脂肪,総コレステロール,LDL一コレステロールの明らかな低下が認められた,

キノコキトサンは,腸管からの脂肪吸収の抑制,脂肪細胞での脂肪分解を介した血中脂質の改善および肝臓組織への脂肪蓄積を顕著に抑制する作用を示し,肥満ならびにメタボリックシンドロームの改善に寄与することが示唆された.

脂肪の代謝を進めて、いわゆるメタボの解消に役に立つようです。

きのこ

きのこ料理のコツ

八百屋さんでエノキやシメジ、マイタケをよく買って来ますが、料理するときのコツは次の3つです。

水から煮る

きのこにはうまみを「作る」酵素と「壊す」酵素があります。
沸騰したお湯にきのこを入れると、酵素が働かずにうまみが少なくなります。

うまみを壊す酵素は約60℃。
うまみを作る酵素は約70℃が活動できる上限温度。この性質を利用するなら、60~70℃になる温度帯で長く加熱できるとうまみがよく出ることになります。

私はいつも沸騰したお湯にきのこを入れていました。

冷凍しておく

普段、野菜室に入れられていることが多いきのこですが、保存するときは、冷凍しておくとよいです。

冷凍すると、細胞が壊れてきのこのうまみがつくられやすくなり、おいしくなります。
きのこによっては酸味や苦味など雑味が出てくる場合がありますが、エリンギやエノキタケなどは雑味がすくなく、例としておいしく食べられるようになります。

干してから使う

干しシイタケをつかうことと同じです。干すことで長期保存が可能になるだけでなく、うまみが増します。冷凍した場合と同じように細胞が壊れてうま味がつくられやすくなります。

干したエノキタケのうまみ成分(グアニル酸)は、生に比較して約13倍にもなります。

さらに、生のエノキタケは煮るとすぐに歯ごたえがなくなってしまいますが、干すことで歯ごたえは煮ても失われなくなります。

えのき氷

えのき氷の誕生

JA中野市きのこ研究所で開発されたきのこ調理法は、きのこをミキサーで粉砕し、ドロドロになるまで煮込むという方法です。
この方法では細胞壁に含まれるキノコキトサンが取り込まれやすくなり、うまみ成分を増やすこともできます。

これは、えのき氷というアイディアからスタートしたようです。季刊「きのこ」2015春号から引用します。

平成17(2005)年、夏場の価格低迷対策としてエノキの効果効能に科学的根拠を得ようと血流改善効果実験を実施したところ、1週間100gの摂取で効果が現れるという結果が出た。

試験に参加し、効果を実感した阿藤組合長は、「こんなによい効果があるエノキタケをなんとか毎日食べ続けられる方法はないものだろうか」と日々思いを巡らせる。

そして、ある日、「薬草と同じように考えればよいのではないか」とひらめいた。
成分を抽出しやすくするため表面積を広く細かくするとバラバラして扱いにくいので、大雑把に切ったものをミキサーにかけた。

それを漢方にならって1時間煮出し、保存性を高めるために冷凍庫へ。
ミキサーにかけ、煮出し、凍らせることで、偶然にも生のエノキタケよりも成分を吸収しやすい状態に仕上がった。

飲物や料理に加えて毎日手軽に美味しくエノキタケを摂取できる元祖「えのき氷」の誕生である。

えのき氷を食べ続けた阿藤組合長は、「足がほてって眠れない」ほどの血流改善効果を感じたそうです。

えのき氷の作り方

これは、えのき氷と名前がついていました。元祖えのき氷の作り方というのが出ています。

用意するもの

  • えのき・・・300g
  • 水・・・400g

作り方

  1. えのきの石づきを取り除きざく切りします。
  2. 切ったえのきと水をジューサーにかけ、ペースト状にします。
  3. 鍋に移し弱火で約60分間、焦がさないようにかき混ぜながら煮詰めます。
  4. あら熱をとります。
  5. 製氷皿にとりわけ、冷凍庫で凍らせればできあがりです。

1日1人3~6個を目安に、みそ汁、鍋物、煮物、カレーなどに、凍ったままポンと入れるだけでよいそうです。いい「だし」も詰まっているので、調味料として料理のおいしさもアップします。

まとめ

きのこを干すとおいしくなるのは、干しシイタケがあるので何となく理解できます。
しかし、私にとって水から煮ることと、凍らすとよいというのは発見でした。

野菜をうっかり凍らしてしまうと融けた時にぐちゃぐちゃになってしまうので、歯ごたえも味も台無しになります。きのこの場合は有効でした。

えのき氷なんてよく考えたものです。

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