ビタミンAは過剰摂取に注意する

この記事では、ビタミンAの種類と、ビタミンAの作用と欠乏した場合に期待できる効果、1日の摂取量、ビタミンAが多い食品、過剰摂取には害があることについてお知らせします。

レバー刺しは衛生上食べられなくなりましたが、ビタミンAがとても多かったのですね。

レバー

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ビタミンAには種類がある

ビタミンAには、レチノイドとカルテノイドの2つのグループがあります。

レチノイド

レチノイドには、レチノールレチナールアルデヒドレチノイン酸の3種類あります。これらは動物性食品に含まれています。

  • レチノールはアルコール型で-OHがつく
  • レチナールはアルデヒド型で-CHOがつく
  • レチノイン酸はカルボン酸型で-COOHがつく
レチノイド

レチノイド

カロテノイド

一方、カロテノイドは植物に存在するカロテンとその誘導体で、その多くはビタミンAの前駆体です。動物に代謝されてレチナールアルデヒドとなり、それからレチノールやレチノイン酸がつくられます。

α-カロテン、β-カロテン、γ-カロテン、クリプトキサンチンなどが量的に最も重要なプロビタミンカロテノイドです。

一番分かりやすいのは、β-カロテンです。左右対称になっていて、真ん中で切ると、レチノイドが2分子できます。

β-カロテンは、ビタミンAに変わるとよくいわれていますが、切られて小さくなると、ビタミンAになると覚えておきましょう。

カロテン

カロテン

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ビタミンAの効果

ビタミンAの効果は、肌がきれいになる、眼によい、抗酸化作用があるとよくいわれます。

ただ、これはビタミンAが欠乏している場合に得られる効果であって、ビタミンAを毎日余分に摂れば効果が得られわけではないと思います。

ずっと読んでいるポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)では、ビタミンCとナイアシン(ビタミンB3)は、大量に摂ると特有の効果が得られると書かれています。

ポーリング博士のビタミンC健康法
ポーリング博士のビタミンC健康法は、お気楽なタイトルとは反対に大真面目に読まないとなかなか理解できない内容の深い本でした。古本屋でもあまり見かけないので図書館で探すとよいでしょう。

しかし、ビタミンAの過剰摂取については注意するように書かれていました。

ここでは、ビタミンAの作用(働き)をまず知って、ビタミンAが欠乏した場合には作用が損なわれるので、その分を摂取すると、本来の作用が行われるようになるとお考えください。

ビタミンAの作用について図解入門よくわかる栄養学の基本としくみに分かりやすく解説されていました。3つあります。

核内受容体に作用しタンパク質の発現を調整する作用と、眼の機能に関わる作用、酸化ストレスに対する防御作用です。

図解入門よくわかる栄養学の基本としくみ
ビタミンについて簡単にまとめて話してくれといわれた時に使った『図解入門よくわかる栄養学の基本としくみ』をご紹介します。むずかし過ぎず、かんたん過ぎない。やたらと構造式が出てこない本です。

核内受容体に作用し、タンパク質の発現を調整する作用

ビタミンAの作用で一番重要な働きだと思います。

通常、受容体は細胞表面にあるというイメージですが、実は核内にも存在しています。ビタミンAの受容体は、ステロイドホルモンやビタミンDなどと同様に核内にあります。

ビタミンAは細胞質から核内に入り、受容体に結合して、遺伝子の発現を調整します。こうして多くのタンパク質の合成を調整するので、ビタミンAの作用は全身に及びます。

ビタミンAの核内受容体としては、レチノイン酸受容体(RAR)レチノイドX受容体(RXR)が見つかっています。

これらはビタミンD、ステロイドホルモン、甲状腺ホルモンなどの受容体とよく似た構造をしていて、同じように遺伝子の発現を調整しています。

核内受容体を介したビタミンAの作用は、主に皮膚や粘膜などの上皮組織を健康な状態に保つことです。

皮膚や粘膜などの上皮組織を健康な状態に保つとは、具体的にどのようなことでしょう。ちょっと分かりにくいですね。

皮膚や粘膜などの上皮組織の細胞を新しく作る

イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版で改めて調べてみると、細胞の増殖、発達と分化を引き起こすと書かれていました。

細胞の増殖とは新しい細胞を作るということです。つまり、皮膚や粘膜などの上皮組織の細胞を新しく作るという意味です。

図解入門よくわかる栄養学の基本としくみには図がありましたので、書き写しました。これを見ていただければ分かりやすくなります。

  • ビタミンAが細胞核内部へ入る。
  • 核内受容体と結合する。
  • ビタミンAと結合した核内受容体がDNAの調整部位に結合する。
  • DNAの情報がメッセンジャーRNA(mRNA)に転写される。
  • mRNAは核外に出てタンパク質生合成をするためにリボソームに行く。
  • タンパク質合成。
ビタミンAと核内受容体

ビタミンAと核内受容体

皮膚や粘膜、消化器系の上皮などの上皮組織は、常に基底部で新しい細胞が作られ、表面の細胞は死んで脱落を繰り返しています。

美容の話題で「お肌のターンオーバー」とよく聞きます。ターンオーバーは、入れ替わりという意味です。古い皮膚が垢として落ちて、新しくなる肌の生まれ変わりを意味しています。

切ったりして傷ができて組織が再生するのとは違います。上皮組織では常に新しい細胞が作られ続けています。図に示した通り、ビタミンAは、この仕組みに関わっています。

また、全ての組織で常に新しい細胞が作られ続けているわけではないことも知っておいて下さい。

皮膚は常に新しく生まれ変わっていますが、ビタミンAが不足すると、新しいものが作られなくなってカサカサになってしまいます。

皮膚が弱ると、肌荒れやシワの原因になるだけでなく、細菌やウイルスが入りやすくなって感染症が起こります。

そのため以前は、ビタミンAを多く含む肝油が、学校給食などの栄養補助に使われていました。

また、ビタミンAは成長や胎生期の臓器の分化にも深く関わっています。ビタミンAが欠乏すると、成長障害が起こることが知られています。

そのほか、ビタミンAは未分化の細胞を成熟させるため、ガンの抑制作用があることも知られています。

がんは完全に分化すると増殖が止まることから、ビタミンAはある種の悪性腫瘍の治療に用いられていると書かれていました。

眼の機能に関わる作用

ビタミンAと眼の関係についてはよく知られています。

ビタミンAには、核内受容体とは全く関係のない作用もあります。ビタミンAは、網膜の色に反応する成分であるロドプシンの原料となります。

そのため、ビタミンAが不足すると目が見えにくくなり、ときには失明してしまうこともあります。

ビタミンAの欠乏症は、とくに夜に暗いところで見えにくくなるため夜盲症(やもうしょう)と呼ばれます。

酸化ストレスに対する防御作用

ビタミンAの元になるβ-カロテン抗酸化作用を持っており、動脈硬化、老化、がんの発生を予防する作用があります。

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1日の摂取量

日本人の食事摂取基準(2015年版) ビタミン(脂溶性ビタミン)に載せられていました。

  • 成人男性、成人女性とも1日あたりビタミンAを1mg(1000μg)摂ればお釣りがきます。

数字を見る前に、レチノール活性当量について説明しましょう。

レチノール活性当量

文科省の食品データベースでは、ビタミンAについて、レチノール、α-カロテン、β-カロテン、β−クリプトキサンチン、β−カロテン当量、レチノール活性当量を表示させることができます。

β-カロテン当量は、ビタミンAの作用をするカロテノイド、(この場合、レチノールとレチノール活性当量以外)をβ-カロテンで代表して表したものを指します。(出典

構造式を見ると、1分子のβ-カロテンは2分子のレチノールになるはずですが、実際にはそうなりません。それらを考慮して、レチノール活性当量が決められました。

β-カロテンは1/12になり、その他のカロテノイドは1/24になります。

  • 1μgRAE(レチノール活性当量)=1μg レチノール=12μg β-カロテン=24μg α-カロテン=24μg β-クリプトキサンチン

実際の食事では、肉と野菜を同時に食べています。肉のレチノールと野菜のカロテンを合計したものが、摂ったビタミンAのレチノール活性当量になります。

※1μg(マイクログラム)は1gの1/100万です。ちなみによく見かける1mg(ミリグラム)は、1gの1/1000です。

ビタミン A の食事摂取基準(μg RAE/日)1
性 別男 性女 性
年齢等推定平均
必要量 2
推奨量 2目安量 3耐容
上限量 3
推定平均
必要量 2
推奨量 2目安量 3耐容
上限量 3
0~5(月)300600300600
6~11(月)400600400600
1~2(歳)300400600250350600
3~5(歳)350500700300400700
6~7(歳)300450900300400900
8~9(歳)35050012003505001200
10~11(歳)45060015004006001500
12~14(歳)55080021005007002100
15~17(歳)65090026005006502600
18~29(歳)60085027004506502700
30~49(歳)65090027005007002700
50~69(歳)60085027005007002700
70以上(歳)55080027004506502700
妊婦(付加量)初期+0+0
中期+0+0
後期+60+80
授乳婦(付加量)+300+450
1 レチノール活性当量(μgRAE)
=レチノール(μg)+β-カロテン(μg)×1/12+α-カロテン(μg)×1/24
+β-クリプトキサンチン(μg)×1/24+その他のプロビタミン A カロテノイド(μg)×1/24
2 プロビタミン A カロテノイドを含む。
3 プロビタミン A カロテノイドを含まない。

最も数値の小さい推定平均必要量について。

この数字は、体重1kg当たり1日のビタミンA体外排泄量9.3μg/kg 体重/日をもとに考慮され、設定されています。つまり、出ていく量と同じ量を毎日摂っていればビタミンAが欠乏することはないということです。

また、耐容上限量は、 次のように、実際に障害が起きた事例の数字が元になっています。耐用上限量は、健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限です。これを超えないようにしてくださいという意味です。(出典

成人では肝臓へのビタミン A の過剰蓄積による肝臓障害を指標にし、最低健康障害発現量を13,500μgRAE/日とした。不確実性因子を 5 として耐容上限量は 2,700μgRAE/日とした。

乳児ではビタミン A 過剰摂取による頭蓋内圧亢進の症例報告を基に、健康障害非発現量を 6,000μgRAE/日とした。不確実性因子を 10 として乳児の耐容上限量は 600μgRAE/日とした。(出典|耐容上限量の設定方法

不確実性因子は、最低健康障害発現量を割る(割り算です)数字なので、大きくなるほど、安全性を考慮していることになります。

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ビタミンAが多い食品

表を作って驚きました。上から肝臓(レバー)ばかり続きます。

ダントツに多いレバー

なんと、鶏レバーがすべての食品の中で1位でした。焼き鳥屋さんに行ったら必ず頼むようにします。レバニラ炒めなんて食べなくなっていましたが、たまに食べるとよさそうですね。

ビタミンA、β-カロテンと聞くと、条件反射のようににんじんを思い出していましたが、20位以内にかろうじて入っていて、含有量は鶏レバーの1/20程度でした。

μg(マイクログラム)は1gの1/100万です。ちなみにmg(ミリグラム)は、1gの1/1000です。ビタミンAの数字として、レチノール活性当量を使いました。

にんじんには、β-カロテン当量が、8600μgも含まれているのですが、レチノール活性当量に直すと、1/24になります。そのため、順位も数値も下の方になります。

レチノール活性当量 : 含有量(出典
食品名成分量
100gあたりμg
にわとり肝臓生14000
ぶた肝臓生13000
あんこうきも生8300
やつめうなぎ生8200
あゆ養殖内臓生4400
うなぎきも生4400
あまのり/ほしのり3600
うなぎ養殖生2400
抹茶2400
パセリ乾2300
玉露1800
ぎんだら生1500
ほたるいか生1500
とうがらし果実乾1500
せん茶1100
うし肝臓生1100
しそ葉生880
モロヘイヤ茎葉生840
食塩不使用バター790
にんじん根皮つき生720
板わかめ710
にわとり心臓生700
すじこ670
パセリ葉生620
よめな葉生560
バジル葉生520
こい養殖内臓生500
あなご生500
卵黄生480
あしたば茎葉生440
よもぎ葉生440

レチノール活性当量

文科省の食品データベースでは、ビタミンAについて、レチノール、α-カロテン、β-カロテン、β−クリプトキサンチン、β−カロテン当量、レチノール活性当量を表示させることができます。

β-カロテン当量は、ビタミンAの作用をするカロチノイド、(この場合、レチノールとレチノール活性当量以外)をβ-カロテンで代表して表したものを指します。(出典

構造式を見ると、1分子のβ-カロテンは2分子のレチノールになるはずですが、実際にはそうなりません。それらを考慮して、レチノール活性当量が決められました。

  • 1RAE(レチノール活性当量)=1μg レチノール=12μg β-カロテン=24μg α-カロテン=24μg β-クリプトキサンチン
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過剰摂取は害がある

ビタミンAを過剰摂取した場合、害があります。レバーが大好きな人と、サプリメントを飲んでいる方は気をつけましょう。イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版からです。

イラストレイテッド ハーパー・生化学について
2017年の春にイラストレイテッド ハーパー・生化学原書29版を買ってそれ以来使っています。きっかけは、アセチルCoAからコレステロールが合成される図を見たからです。最新版は2016年刊行の30版です。出版社に敬意を表して先に最新版を表示し

脳圧亢進による頭痛や吐き気など

中毒の症状は,中枢神経系(頭痛、嘔気、失調、食欲不振など,いずれも脳圧亢進に随伴して起こる症状),肝臓(組織変化を伴う肝腫大と高脂血症),カルシウム代謝(軟部組織の石灰化),および皮膚(乾燥、落屑、脱毛)などに及ぶ.

中枢神経の失調とは、自律神経失調症の症状が出るという意味ではないかと思います。(正確でなくてごめんなさい)

また、肝腫大は、肝臓が異常なほど大きくなってしまうこと。

軟部組織とは、骨組織を除く、腱、靭帯、筋膜、皮膚、脂肪組織などの結合組織と血管、横紋筋、平滑筋、末梢神経組織(神経節と神経線維)を総称する用語です。(出典

妊婦さんは注意

妊婦さんがビタミンAを摂りすぎると、胎児の発育に影響を及ぼし、奇形を生じることがあります。

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まとめ

先日読んだ、角幡唯介さんの探検家、40歳の事情というとても面白い本の中にビタミンAの過剰摂取の実際の体験が出ていました。

北極で食べた旨い肉ランキング発表!だったと思います。

北極で食べた肉でダントツにうまいのはシロクマなのだそうです。肝臓はうまいけど、ビタミンAが多すぎて、少し食べすぎると頭痛がしたり気持ちが悪くなるのだそうです。

ビタミンAの過剰摂取には気をつけましょう。

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