ペットボトルの水を買い、浄水器を使い、ウォーターサーバーを当たり前に使う時代になりましたが、少し前の時代のことを思い出せば、備長炭ブームというのがありました。水道水をためたバケツに備長炭を沈めて水を浄化するのは、少しだけ手間がかかりますが、お金がほとんどかからない浄化法です。
この記事では、木炭を使って水道水を浄化することについて書きました。1990年代前半、木炭がとても流行ったことがありましたね。またやろうと思います。
魚柄仁之助さんの新しい本、食のリテラシーを読みました。
読み進めていって終わりの方で、「ミネラルウォーターしか飲めなくなった日本人」という記事がありました。読んで1990年代に木炭が流行っていたことを思い出しました。
水道水に塩素が入っているからよくないという話は、1970年代からいわれていたそうです。私は地方に住んでいたので、気にしたことがありませんでした。(いま思うと、水源の上流に人家がない、かなり水質のよい水を飲んでいました)
ところが、1980年代に東京に出てくると、食堂、喫茶店で出てくる水がマズイ。氷が入っていればまだガマンできますがぬるい水は飲みたくなかったです。塩素の話はその頃知りました。
木炭を沈めて水道水を浄化する
魚柄さんは、もっと前、1970年代にこんなことをやっていたとか。
水道水を一度沸騰させれば、塩素は気体となって飛んでしまうと聞き、やかんで沸かしてみましたが、いま一つ塩素特有の臭い(一般にはカルキ臭と呼ばれていた)が残るんですな。
で、次に、塩素の自然蒸発に期待しまして、水道水を二四時間汲み置きしてみましたの。
このときは、塩素に反応する試薬を使って検査してみましたところ、塩素は残留していませんでした。それでもまだちょいと気になる臭いが残ってる。
「こりゃぁ塩素以外のなにか、例えば水道管内部の鉄さびとかではなかろーか?」と考え、「しからば、活性炭による濾過をしてみてはどーぢゃ?」と、汲み置き水の中に洗った木炭を入れて二四時間置いてみました。
やってみるもんですなぁ、無塩素おいしい水道水ができたんですの。
木炭、思い出しました。1990年代になったばかりの頃、まだ、Windows95が登場して世の中にPCが一気に普及する前の数年間は、有機農業や農的生活に関心をもつ人が多かったです。私もその1人でした。
その関係で、木炭にも興味をもっていました。後輩が和歌山県のみなべ市で備長炭の炭焼きさんになったので、遊びにいったこともあります。
備長炭はウバメガシを焼いてつくります。とても固くて叩くとまるで金属のようにカンカン音がしました。そこでは、備長炭で風鈴をつくったりしていましたっけ。
紀州備長炭はブランド品なのでとても高いのですが、その後安い竹炭も登場して、ハンズでもダイエーでも炭が販売されるようになりました。
私もその頃は、15リッターのバケツを買ってきて、水道水を汲み置きして備長炭を沈めて浄化していました。
水道水は沸騰させても刺激がある
私は山小屋の小屋番をやったことがあって、山の湧水で生活した経験があるので、水道水との違いがわかります。水道水を沸かしたお湯はピリピリしていて、お茶をいれてもコーヒーをいれても、その舌にピリピリくる感じが取れないのです。
山がお好きな方はご存知かもしれませんが、八ヶ岳の根石岳山荘は、稜線に建っていますが、地盤に粘土が入っているので、雪解け後は湧水が使えます。冷たくて実にうまいのですよ。
湧水は少し飲み口が少し重い感じがしますが、マイルドで甘みのようなものを感じる時もあります。
備長炭を沈めておいた水は、やはり少し重たい感じになりますが、舌に刺激はなくそのまま飲んでも、お茶やコーヒーをいれてもマイルドな感じになります。
その後しばらくして、飽きてしまったのか木炭を使うのをやめてしまいました。きっと私のことだから、手入れがめんどくさかったのだと思います。
今は東レの浄水器をつけています。交換用カートリッジは3000円くらいですか。
しかし、考えてみれば、木炭を消耗品だと思えば実に安いものです。習慣とはおそろしいもので、ここ数年2ヶ月毎のカートリッジ交換を当たり前に考えていました。
水を買うことが当たり前になった
魚柄さんは続けてこのように書かれていました。
あれから約四〇年、いまじゃお家の中ではミネラルウオーターサーバー、外ではペットボトル入りミネラルウォーターが当たり前になりました。
ヒトに必要なミネラルが豊富で体にいい?ミネラルウォーターしか飲料にしない人、料理にもミネラルウォーターしか使わない人が多くなりましたな。
他の食品に含まれる量でミネラルは十分に摂取できるのに、なんでわざわざミネラル豊富な水をサーバーまで設置して使わにゃならんのだろう。
私はさすがにウオーターサーバーを使いたいとは思ったことはないです。会社ではミネラルウオーターを用意してくれていましたが。
水道水浄化に必要なもの
水道水浄化に必要な物は、汲み置きするバケツと、木炭だけです。あとは、塩素が抜けたかどうか確認したい方には、試薬も販売されています。
バケツ
バケツを100均で買うのはやめた方がよいと思います。タッパーもそうですが、一般に肉薄だからです。バケツは安いものです。1000円出せばお釣りが来ます。
私は15Lのバケツを買ってあります。バケツから水を移すときは、ひしゃくを買うまでもなく、小さい鍋を使えばよいのです。ご近所のスーパーで買えるでしょう。
木炭
木炭は、備長炭でも竹炭でもなんでもよいと思います。木炭は多孔質で、小さなあながたくさん開いていて、そこに不純物が吸着されるのです。
木炭の中には、バーベキュー用に着火しやすく加工されているものもあるようですが、何が添加されているのかわからないので、普通の木炭を買って下さい。2~3キロ買っておけば1年は使えるのではないかと思います。
手入れはたわしで洗って熱湯で煮立てる
最初に水で洗って乾かして使い、2週間毎にたわしで洗って熱湯で煮たてて乾かして使うと長持ちするそうです。
確かに、長く使っていると、表面がぬるぬるした感じになることがありました。しかし、浄水器を使うことを考えれば、炭を取り替えればよいだけです。
もしくは、これはどこでもできる方法ではないですが、一度乾かして、火にくべて真っ赤に焼けば再生できるそうです。ただし、炭の中に入りこんだいろいろなものが焼けるので、かなり「におう」時もあるとか。一度真っ赤にしたら、水に入れて再生完了だそうです。
アマゾンでは本場紀州の備長炭ではないですが、土佐備長炭がありました。
まとめ
ちょっとしたことなんだけど、習慣になると忘れ去られてしまうことがあります。私と同じ年代の方なら、お茶や水がペットボトルに入って売り物になるとは思えなかったと思います。「ただ」だと思っていた水が、500mlで100円。ガソリンよりも高いといわれるわけです。
しかし、慣れると普通の風景になってしまいました。知らず知らず価値観が変わってしまいます。
思い出せば、1990年代に木炭が流行ったときは、ご飯を炊くときにも一緒に入れたりする人もいましたね。
改めて炭を買って来て、自分で水道水を浄化しようと思いました。