忙しい朝、朝食がわりに健康のために野菜ジュースを飲んだり、果物ジュースを飲んだりしていませんか?少し注意した方がよいみたいです。朝、甘い缶コーヒーを飲む人は要注意です。血糖値を大きく動かさないことが健康管理に必要です。
医者が教える食事術 最強の教科書を読みました。
「血糖値」が健康管理の最大のカギ
著者の牧田善二先生は、「血糖値」が健康管理の最大のカギであると書かれています。
ごはんを食べても甘い物を食べても食後血糖値が上がります。上がり下がりがゆっくりしていればよいのですが、朝、気合いを入れるために甘い缶コーヒーを飲むと、こんなことが起こります。
血糖値スパイク
液体の場合、あっというまに胃をすり抜けて小腸へ届き吸収されるために、一気に血糖値が上がるのです。健康な人の血糖値は、空腹時で80~90mg/dl前後です。(中略)
液体の糖質は口にしてすぐに血糖値が上がり始め、30分後にはピークに達してしまいます。缶コーヒーを1本飲めば、糖尿病のない健康な人でも30分後には血糖値が140くらいまで急上昇します。
これを「血糖値スパイク」と呼びます。血糖値スパイクが起きると、今度はジェットコースターのように一気に下降して、血糖値が低すぎる状態に陥ります。
これは私も経験があります。
私は自転車が趣味なのですが、気をつけているのは、休憩した時に甘い物を食べたり飲まないようにすることです。特にジュースがだめです。100キロ以上走る時は特に気をつけます。
一定の速度で走っていると体もそれに合わせて一定の状態になるのですが、甘い物を食べたり飲んだりすると、それが崩れて急激に空腹を感じるようになります。血糖値が急に上がって急に下がるからです。
体のリズムが変わってしまうと、それ以降すごく疲れを感じるようになります。もちろん、甘い物を摂らなければ、そんなことにはなりません。
甘い飲料を毎朝の習慣にしている人は、毎朝、血糖値を急に上げて下げる訓練をしているようなものです。習慣は意識しないと改められません。
長寿の秘訣
さらに、1972年に刊行された「日本の長寿村短命村」から引用されていましたが、これは、1つ前に書いた記事、食でたどるニッポンの記憶を読んだを思い起こさせるような内容です。
著者の近藤正二医学博士は、1935(昭和10)年から36年間にわたり、長寿者が多い村、短命者が多い村を探して訪ね、その生活様式を調査したとあります。
私なりに、博士の研究結果をまとめてみると、以下のようなことが言えます。
- 健康・長寿の決め手は食生活である
- 酒飲みは短命ではない
- 重労働をしている人のほうが長寿
- ごはんの食べすぎは短命
- 魚ばかりで野菜が少ない村は短命
- 大豆製品を多く食べている村は長寿
- 大量の野菜を食べている村は長寿
- 果物を多くとる村は短命
- 海藻を多くとっている村は長寿
- 肉の食べすぎは短命
- 塩分をとりすぎている村は短命
- ゆっくり楽しんで食べることが大事
時代的には昔ながらの食生活をしていた時代から、日本人の食生活が大きく変わる時代も含まれています。
「ごはんの食べすぎは短命」は今の時代にはあてはまらないです。しかし、ごはんは糖分に変わっています。デンプンはブドウ糖がたくさんつながったものです。
先生は、この中で特徴的なことは「野菜を多くとっていれば長命であること」「ごはんをたくさん食べていると短命であること」「肉や魚などの動物性タンパク質はほどほどにして、大豆の植物性タンパク質は積極的にとったほうがいいこと」を挙げています。
また、甘い物に関係がありますが、果物を多くとる村は短命という話は意外に感じませんか?
果物は太る
朝、野菜ジュースを飲む方は多いと思いますが、果物をたくさん入れたり、市販の濃縮還元100%ジュースを混ぜている方は、注意をした方がよいと思います。
たしかに、果物にはビタミンやミネラルが豊富に含まれています。しかし一方で、糖質の塊とも言えます。とくに日本の果物は糖度が高く改良されています。
果物に含まれるのはブドウ糖ではなく果糖です。このことを取り上げて、「果糖だから太らない」というわけのわからない理屈を展開する栄養士がいるのは困りものです。
はっきり言っておきましょう。果糖だからこそ、果物は太りやすいのです。
果糖とブドウ糖を比べると、果糖の方が太りやすいです。私も果糖について、記事を書いています。果糖がよくない理由を調べてみた
ブドウ糖は、解糖系で反応にブレーキがかかるようになっているのですが、果糖は、解糖系に途中から入って来るので、反応にブレーキがかかりません。解糖系の最終物質アセチルCoAまで進んでしまいます。
これは燃料になりますが、また、脂肪酸やコレステロールの材料でもあります。脂肪酸は、脂肪を構成する部品のようなものです。
果物と果物ジュースを比較すると、ジュースの方が余分なものが取り除かれているので、果糖が多いです。また、砂糖(ショ糖)はブドウ糖と果糖が結合したものなので、半分は果糖になります。
肥満は寿命を縮める
血糖値の上下動の幅が大きくなると、肥満の一番の原因になるそうです。
しかし、昔から小太りの方が健康で元気に生きられると聞いていたような気がするのですが、どうもそうでもないようです。
医学誌「ランセット」のオンライン版に、アメリカのハーバード公衆衛生大学院とイギリスのケンブリッジ大学の研究チームによる「肥満が寿命に与える影響」についての研究結果が発表されました。
1970年から2015年に行われた239件の大規模な疫学調査から、32か国1060万人のデータを解析したところ、肥満はさまざまな病気のもととなり、寿命を縮めることがわかったというのです。(中略)
ちなみに、WHOでは、BMI25以上を「過体重」、30以上を「肥満」と定義していますが、日本人の場合、BMIが25を超えると糖尿病や循環器疾患の発症リスクが高くなることがわかっているため、25以上を肥満と扱います。
この研究では、女性に比べ男性のほうが肥満による寿命への影響を強く受けることも分かっています。
血糖値の上下動を少なくしたいものです。そのために簡単にできることがありました。
水を1日2リットル飲む
水分ではありません。ただの水ですから。
1日に2リットルは飲んでいいでしょう。水をたくさん飲むと、それによって単純に血中の糖の濃度が薄まり、それだけで血糖値が下がります。
糖尿病の患者さんが「すぐに喉が渇いて水が飲みたくなる」というのは、上がった血糖値を下げようとする体の自然な欲求でもあるのです。
血糖値が上がりすぎないようにすることが肥満防止の第一歩であることを考えれば、水はたくさん飲んだ方がいいということがわかるでしょう。
水を飲むことは、朝起きた時は習慣になっています。しかし、日中は気分転換にお茶やコーヒーを飲んでしまうので、その合間に水を飲む習慣をつくらなければいけません。
まとめ
年齢が上がってくると、うんと長生きしたいとはあまり思わないのですが、生きている間、病気をしないで元気にいたいと思います。
血糖値を大きく動かさないこと。具体的には、空腹の時、血糖値が下がっている時にいきなり甘い飲料を飲まないこと。これは気をつけたいと思います。この本を読んで一番参考になったことかもしれません。
そして、意識して水を飲むこと。
野菜をたくさん食べて、海藻も食べて大豆をつとめて食べるようにしましょう。
ずっと、少し太っているくらいがちょうどよいと思っていたのですが、どうやらそうでもなさそうです。