リンはカルシウムとバランスをとるために摂りすぎに気をつける

リンは骨に多く存在するミネラルです。その他、DNA、RNAや生きるエネルギーであるATPの中にも含まれています。リンは普通の食事では不足することはなく、食品添加物にも使われているので、摂りすぎるかもしれません。摂りすぎると、副甲状腺ホルモン(PTH)が多く分泌されます。副甲状腺ホルモンが分泌されると骨からカルシウムが溶け出すので、骨密度に影響する可能性があります。

リンはとても重要なミネラル

日本人の食事摂取基準(2020年版)にはこのように書かれています。

骨に多く存在する

成人の生体内には最大 850 g のリンが存在し、その 85% が骨組織に、14% が軟組織や細胞膜に、1% が細胞外液に存在する。

リンは骨をつくるだけではありません。細胞膜を構成するのはリン脂質であり、また、DNAやRNAにもあり、また、生物が生きるエネルギーであるATPにもリンが入っています。つまり、リンなしでは生きていけません。

リン(P)がとても重要な元素だと思うようになったをご覧下さい。

リン(P)がとても重要な元素だと思うようになった
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リン1日の摂取量

リンは目安量と耐容上限量が設定されています。摂りすぎの影響があると考えられています。

リンの食事摂取基準(mg/日)
性 別男 性女 性
年齢等目安量耐容
上限量
目安量耐容
上限量
0~5(月)120120
6~11(月)260260
1~2(歳)500500
3~5(歳)700700
6~7(歳)900800
8~9(歳)10001000
10~11(歳)11001000
12~14(歳)12001000
15~17(歳)1200900
18~29(歳)100030008003000
30~49(歳)100030008003000
50~64(歳)100030008003000
65~74(歳)100030008003000
75以上(歳)100030008003000
妊婦(付加量)800
授乳婦(付加量)800

リンは欠乏することを考えなくてよい

日本人の食事摂取基準(2020年版)にはこのように書かれています。

リンは多くの食品に含まれており、通常の食事では不足や欠乏することはない。一方、食品添加物として多くのリンが用いられており、国民健康・栄養調査などの報告値よりも多くのリンを摂取していることも考えられる。

食品添加物のリン酸塩

リンの添加物ですぐに思い出せるのは、リン酸塩です。京都生活協同組合のリン酸塩を食品に入れる目的とその安全性について教えてください。に説明がありました。

ハム・ソーセージや、ちくわやかまぼこなどの練り製品、そしてプロセスチーズに使われています。

リン酸塩は、食品の乳化(油と水をうまく混ぜ合わせる)、結着(原料と原料をうまく引っ付ける)、pH調整(食品中のpHを調整することで、保存性、品質維持に役立つ)として練り製品や食肉製品・プロセスチ-ズなどに用いられる食品添加物です。

リン酸塩の使用量の表示義務がないので、どのくらい摂っているのかわからないそうです。

リンを摂りすぎると副甲状腺ホルモン(PTH)が多く分泌され骨からカルシウムが出ていってしまうおそれがある

リンを摂り過ぎていると、副甲状腺機能を亢進させる。つまり、副甲状腺ホルモン(PTH)が多く分泌されることになるのです。

リン摂取量と PTH との関係は、古くより研究されてきている。食品添加物としてリンを多量に摂取した場合、総摂取量が 2,100 mg/日を超えると副甲状腺機能の亢進を来すという報告がある。また、1,500〜2,500 mg/日の無機リン(リン酸)あるいは 400〜800mg/食の無機リンを食事に添加することにより、食後の PTH レベルが上昇することも知られている。

副甲状腺ホルモン(PTH)が多く分泌されると骨からカルシウムが溶け出すことになります。カルシウムの1日の必要量と多く含まれる食品に書きました。

ただ、この文書では、かなり慎重な書き方をしています。

これらの反応が骨密度の低下につながるか否かについては、否定的な報告もある。

一方、カルシウムの摂取量が少ない場合には、リンの摂取は用量依存的に成人女性
の血中の PTH 濃度を上昇させ、骨吸収マーカーを上昇、骨形成マーカーを低下させるという報告から、リンとカルシウムの摂取量の比も考慮する必要があると考えられる。

私は、リンを摂り過ぎるとカルシウムが出ていってしまうと覚えておくことにします。

リンが多く含まれている食品

ベーキングパウダーは別として、いわし、とびうお、きびなご、いかなご、ごまさば、いか・・・などの魚に多いことがわかります。

また、米ぬかに多いです。

リン : 食品100gあたりの含有量
順位食品名成分量
1ベーキングパウダー3700mg
2かたくちいわし/田作り2300mg
2とびうお/焼き干し2300mg
4米ぬか2000mg
5かたくちいわし/煮干し1500mg
6たたみいわし1400mg
7とびうお/煮干し1300mg
8きびなご/調味干し1200mg
8さくらえび/素干し1200mg
8いかなご/煮干し1200mg
8ごまさば/さば節1200mg
12するめ1100mg
12かぼちゃ/いり味付け1100mg
12小麦はいが1100mg
12あさ/乾1100mg
16脱脂粉乳1000mg
16鶏卵/乾燥卵黄1000mg
16からし/粉1000mg
19干しえび990mg
20うるめいわし/丸干し910mg
21ごま/むき870mg
22しらす干し/半乾燥品860mg
22さくらえび/煮干し860mg
24ナチュラルチーズ/パルメザン850mg
25大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分無調整タイプ840mg
25まだら/干しだら840mg
25大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分調整タイプ840mg
25酵母/パン酵母乾燥840mg
29ひまわり/フライ味付け830mg
30いかなご/つくだ煮820mg
30はぜ/つくだ煮820mg
30けし/乾820mg
30凍り豆腐/乾820mg
30チアシード/乾820mg
35むろあじ/くさや810mg
36かつお節790mg
37わかさぎ/つくだ煮780mg
38大豆たんぱく/濃縮大豆たんぱく750mg
38どじょう/水煮750mg
40わかさぎ/あめ煮740mg
41プロセスチーズ730mg
41いかなご/あめ煮730mg
41大豆たんぱく/粒状大豆たんぱく730mg
41かわのり/素干し730mg
41全粉乳730mg
46大豆はいが720mg
46ナチュラルチーズ/エメンタール720mg
48ふな/甘露煮710mg
48いり大豆/黄大豆710mg
48あまのり/味付けのり710mg
48あまに/いり710mg

玄米を食べている人はリンをとり過ぎているかもしれないと思っておく

私がそうなのですが、玄米を長く食べています。上の表にあるように、米ぬかにはリンがとても多いです。水に長く浸けて発芽玄米のようにしても関係ありません。

玄米食をしている方は、リンを多く摂ることになるので、カルシウムのバランスを取る必要があります。カルシウムを多く摂るようにしなければいけません。

詳しくは、玄米にはリンが多いをお読み下さい。

玄米にはリンが多い
玄米は白米に比べて3倍のリンが含まれています。リンはカルシウムとバランスさせる必要があり、リン:カルシウム比は2:1が理想とされています。玄米を食べるなら小松菜や海草を一緒にとり、そしてすりごまをかけて食べるとよいです。 玄米を食べ始...

NOTE

少し前、最初にリンを調べた時は、リンって骨にあるんだよなあ程度のことしか知りませんでした。その後、生化学の本を読むようになると、リン、いやリン酸がやたら出てくるのです。反応に関わったりするのです。

重要な役割を果たしているのですが、多分、高校生の生物までほとんど詳しい話がでてこないので、知られていないのです。

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