玄米にはリンが多い

玄米は白米に比べて3倍のリンが含まれています。リンはカルシウムとバランスさせる必要があり、リン:カルシウム比は2:1が理想とされています。玄米を食べるなら小松菜や海草を一緒にとり、そしてすりごまをかけて食べるとよいです。

玄米

玄米を食べ始めて10年以上になります。最初は普通に圧力鍋で炊いていましたが、3年くらいまえから発芽するまで水に浸けて発芽玄米にして食べています。

玄米を食べている人は、発芽玄米にして食べたり、小豆と一緒に炊いて数日ジャーで保存して酵素玄米にして食べている方が多いです。

玄米は青野菜と食べる

玄米は確かに栄養的に優れているのだけれど、日本人の食生活が変化しているので、それを理解して食べないと逆効果になるそうなのです。リンが多いのだそうです。文中、燐はリンです。元素記号はPです。

川島四郎先生のたべもの心得帖にはこのように書かれていました。

たべもの心得帖
川島四郎先生のたべもの心得帖は、もともと昭和57年(1982)に発行され、その後、1990年に新潮文庫になりました。連載記事を60本おさめた本です。個々の記事は短いですが、川島四郎ファンにはやはり面白い本です。

玄米は酸性食品ですから、必ず青野菜と一緒に食べなくてはいけないということです。米糠の中には燐(P)の成分が大変多く、この燐の成分が体内で燐酸になるので、米糠は相当高度の酸性食品です。

玄米はこの糠を自分の身の回りにつけていますので、玄米もまた、酸性食品です。

人間が正常な健康を保つためには、血液を絶えず微アルカリ性(PHの七・三五ぐらい)にしておくことが大切です。そのためには、アルカリ性の青い野菜や海藻をたくさん食べてバランスをとる必要があるのです。

ところが、昔の日本人の食性では野菜をたくさん食べ、昆布、ワカメ、ひじきなど、格別にアルカリ性のミネラルの多い海藻も食べていましたからバランスも多いのです。

現在では、肉や乳製品、卵を食べることが多くなり、これらは酸性食品なので、玄米と合わせてこのような食生活をしていると、いわゆる生活習慣病になりやすくなってしまうよというお話なのです。

玄米の栄養成分

玄米について栄養成分を調べてみました。「こめ」は炊いていない状態、「めし」は炊いたものです。当たり前ですが、炊いて「めし」にすると栄養成分が薄くなります。

リンにはマーカーで色をつけておきました。確かに精白米に比べるとリンの量は3倍くらいあります。

100gあたりの栄養成分
こめ玄米こめ精白米めし玄米めし精白米
エネルギー353kcal358kcal165kcal168kcal
水分14.9g14.9g60.0g60.0g
たんぱく質6.8g6.1g2.8g2.5g
脂質2.7g0.9g1.0g0.3g
炭水化物74.3g77.6g35.6g37.1g
カリウム230mg89mg95mg29mg
カルシウム9mg5mg7mg3mg
マグネシウム110mg23mg49mg7mg
リン290mg95mg130mg34mg
2.1mg0.8mg0.6mg0.1mg
亜鉛1.8mg1.4mg0.8mg0.6mg
0.27mg0.22mg0.12mg0.1mg
βカロテン1μg000
レチノール活性当量Tr000
ビタミンD0000
ビタミンE1.2mg0.1mg0.5mgTr
ビタミンB10.41mg0.08mg0.16mg0.02mg
ビタミンB20.04mg0.02mg0.02mg0.01mg
葉酸27μg12μg10μg3μg
ビタミンC0000
食物繊維総量3.0g0.5g1.4g0.3g
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

玄米と白米を比較すると確かに玄米の方がリンが多いです。しかし、これだけでは、どのくらいリンが多いのか実際のところがわかりません。他の食品と比較してどの程度多いのか見てみましょう。

リンの多い食品

リンの多い食品を調べてみました。リンは骨や細胞膜に含まれています。パッと見て、魚や穀物、乳製品に多いことがわかります。お米はぬかにとても多く含まれていることがわかります。

田作りは、カタクチイワシの幼魚の乾燥品のことをいいます。

リンの多い食品
食品名成分量
100gあたりmg
かたくちいわし田作り2300
米ぬか2000
まさば/さば節1200
小麦はいが1100
脱脂粉乳1000
ごま/むき870
ナチュラルチーズ/パルメザン850
かわのり/素干し730
きな粉/黄大豆680
ピュアココア660

リンを過剰摂取するとどうなるか

リンは体の中で、カルシウムと結合し、生体内のリンは約80%がカルシウム塩として存在し、骨や歯の成分となっています。

リンの過剰摂取にはこんな問題があります。

リンは食品添加物として、加工食品に広く用いられているため、過剰摂取に注意する必要があります 。

長期にわたってリンを過剰摂取すると、腎機能の低下、副甲状腺機能の亢進、カルシウムの吸収抑制などが起こることが知られています。

リンはカルシウム代謝と関係が深く、カルシウムとリンの摂取比は1~2が理想的とされますが、加工食品の利用が多くなった今日の日本では、摂取比が3になることが多いとされています。(出典

カルシウムをとってバランスを取る

これをたべもの心得帖に出てきた話とあわせて考えると、玄米のリンに見合ったカルシウムをとらなければならないということなのだと思います。

リンの1日の食事摂取基準は、男性の成人(20歳以上)では、目安量が1000mgで耐用上限量は3000mgです。女性の成人(20歳以上)では、目安量が800~900mgで、耐用上限量は、3000mgです。(出典

目安量とは、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量のことをいいます。

耐用上限量とは、ある性・年齢階級に属するほとんどすべての人々が、過剰摂取による健康障害を起こすことのない栄養素摂取量の最大限の量のことをいいます。

昆布やわかめ、青菜にはきっとカルシウムがたくさん含まれているのでしょう。早速、それらの栄養成分を見ていきましょう。

海藻と青菜のカルシウム

こんぶ2種類、わかめと青菜の代表として小松菜を調べてみました。小松菜は生です。その他は乾燥物です。下の表をご覧ください。

乾燥こんぶやわかめを100gも使う人はいません。わかめなら1グラム。ダシこんぶでもせいぜい5グラムとかそんなものでしょう。

それに比べると小松菜のカルシウムは多いですね。

100gあたりの栄養成分
がごめこんぶ
素干し
まこんぶ
素干し
乾燥わかめ
素干し
こまつな
葉生
エネルギー142kcal145kcal117kcal14kcal
水分8.3g9.5g12.7g94.1g
たんぱく質7.9g8.2g13.6g1.5g
脂質0.5g1.2g1.6g0.2g
炭水化物62.1g61.5g41.3g2.4g
カリウム5700mg6100mg5200mg500mg
カルシウム750mg710mg780mg170mg
マグネシウム660mg510mg1100mg12mg
リン320mg200mg350mg45mg
0.1mg3.9mg2.6mg2.8mg
亜鉛0.8mg0.8mg0.9mg0.2mg
0.01mg0.13mg0.08mg0.06mg
βカロテン1200μg1100μg7800μg3100μg
レチノール活性当量98μg95μg650μg260μg
ビタミンD0000
ビタミンE0.6mg0.9mg1.0mg0.9mg
ビタミンB10.21mg0.48mg0.39mg0.09mg
ビタミンB20.32mg0.37mg0.83mg0.13mg
葉酸42μg260μg440μg110μg
ビタミンC025mg27mg39mg
食物繊維総量34.2g27.1g32.7g1.9g
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

炊いた玄米200gに対して

めし玄米100gにはリンが130mg含まれています。200g食べると260mgです。それに対して、カルシウムをバランスさせると、カルシウム:リンは1:1もしくは1:2が理想的なので、200gの炊いた玄米には、130mg~260mgのカルシウムを含んだ海藻や青菜が必要です。

どうでしょう?

小松菜のおひたしなんかを毎日食べていたら十分ですね。ワカメの味噌汁は1g使ってもカルシウムは7.8mgなので付け足し程度にしかなりません。

乾燥わかめ10gを水で戻して食べる

しかし、あらためて試していたのですが、乾燥わかめ10gを水で戻して毎日食べることは可能です。スーパーでは大きなサイズが置いていないので、乾物屋さんで200g入りの乾燥わかめを400円くらいで買っています。ただし、中国産です。

乾燥わかめ10gだと、カルシウムは78mgになります。

そして、青菜を毎日食べていればほとんど心配はいりません。

ごまもカルシウムが多い

さらに、ごまにはカルシウムがとても多かったという記事で、ごまの成分を調べました。

ごまにはカルシウムがとても多かった
ごまはたんぱく質と脂質が多い食品です。ミネラルではカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅が多いですが、カルシウムがずば抜けて多いです。カルシウムは表皮にとても多く、むいてしまうと激減します。そのため、食べるならむきごまでなくすりごまが...

いりごま100gにはカルシウムが1200mg含まれています。ただし、ごまのカルシウムは吸収されにくく、半分が有効です。

つまり、100gなら600mg、10gでも60mgあります。なかなか有効です。

玄米は30キロずつ買っても大丈夫

私は玄米を食べるようになってから、毎回30キロずつ買っています。きっと玄米を食べている方は同じようにしていると思います。私はアマゾンで探します。

食べる人が少ないせいか、お店では玄米は買いにくく割高ですが、普通に考えて、精米しなくてよいし、ぬかがついたままですから、白米より安くて当たり前だと思います。

玄米は保存性がよい

発芽玄米が人気ですが、玄米は発芽する生き物です。皿に水を浸した脱脂綿を置いて玄米を載せておくとちゃんと発芽します。少し育てると青い葉っぱも出ます。

玄米は種であり、生き物なので、たまに虫が発生することがありますがいたみにくく、保存性がよいのです。

発芽玄米にするために、水に漬けておくと水が汚れたりにおいがしてきますが、手を入れるとほのかに温かい。発芽するときは、熱を出します。発芽のために自己消化を始めているので、水が汚れ、においもしてくるのです。腐っているわけではありません。

発芽玄米の作り方自分で簡単に作れますに詳しく書きました。

玄米と白米はちがう

白米は精白しているのでもう生き物ではありません。夏に向かって30キロ買うと味が落ちてしまいます。玄米も味が落ちないわけではないですが、私は毎回発芽玄米にしているので、気にしません。うちは妻と二人暮らしです。

まとめ

リンについてこんな記事も書きました。リン(P)がとても重要な元素だと思うようになったではリンが生命に根源的に関わる元素だという話を書いています。リンがないと生命もないのです。

リン(P)がとても重要な元素だと思うようになった
この記事では、なんとなく地味に感じられる元素、リン(P)が、実は生命活動にとても重要な働きをしていることを書きます。リン(P)って何となく地味な元素だと思っていたのでしたが、とんでもない。 リンは地味な存在 リン(P)について、正直なと...

余談ですが、川島四郎先生は、生前、小松菜を二把ゆでて毎日食べていたそうです。それを食べてからデンプンのご飯を食べたりしていたそうです。そのぐらい食べていたら、リンが多少多くても問題にならないでしょうね。

今の栄養の本を読むより、昔の本を読んだ方がずっと参考になると思うのは私だけではないでしょう。とても面白いです。

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