食料自給率は二つある

食糧自給率の低さはいつも問題になります。しかし、食料自給率には、カロリーベースと生産額ベースをもとにした計算方法があります。出てくる数字はかなり違います。いつも低くて問題になっているのはカロリーベースの方です。どのように計算するかご存知ですか?

食料

日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率を読みました。

とても話題になっていた2010年に私も買っていましたが、パラパラ読んでそのままになっていました。

普段、食料問題を考えるとき何気なく使う食料自給率。

小学校から始まり、中学校、高校と社会科や政経で習ってきたので、詳しい中身までは知らなくても、食料自給率が低いことだけはよく知っています。

このブログでよく読んでいただいている記事に、大豆の自給率はなぜ低いのか?があります。

この記事では、日本人にとって大切なたんぱく源である大豆の自給率がなぜ低いのか理由を探しました。 大豆は味噌、しょう油、豆腐、納豆、など...

この記事を書いていた時に、食料自給率のことを思い出していました。

もちろん、あまりに自給率が低いので、将来大丈夫なのかなと思っているのです。忘れないうちに記事にしておきます。

食料自給率とは、ものすごくアバウトですが、単純に考えれば、日本人全員が1年間に実際に食べる食品に対して、日本国内で生産される食品の割合だと思います。

実際は、どのように計算するのでしょうね。

この本によれば、食料自給率には、カロリーベースと生産額ベースをもとにした計算方法があります。

スポンサーリンク
レクタングル大

カロリーベースの食料自給率

通常、雑誌ネットの記事で目にする食料自給率はカロリーベースです。

農水省によれば、食料自給率とは、「国内で供給される食料のうち、国産でどの程度賄(まかな)えているか」を示す指標だという。

これには重量や品目別、飼料ベースなど様々あるが、「食料・農業・農村基本法」によってその向上が定められている指標は二つ。

「カロリーベース」と「生産額ベース」の自給率である。

毎日のように連呼される「自給率四一パーセント」は、カロリーベースの数字だ。

これは国民一人一日当たりの国産供給カロリーを、一人一日当たりの全供給カロリーで割って算出する。

計算式で表すと<図>のようになる。

このような図が載せられていました。原則的な上の式は、私が考えていた計算方法と同じようなのですが、下の式を見ると分かりにくくなります。

「我々が実際に摂取している農産物のカロリーではない」ってなんでしょう?

食料自給率カロリーベース

しばらく考えましたが、実際に人の口に入ったものは計算できません。

分母は、年間に日本国内で食品として供給されたカロリーです。これを1年間に消費された食品のカロリーとみなしているのです。このように書いているだけで無理があるのがわかります。

分子は輸出も含めた国内生産されたカロリーのことを指しています。これは1年間に国内生産された食品のカロリーとみなしています。こちらは分かりやすい。

分母には廃棄した食品のカロリーも加えられる

供給された食品が、全て人の口に入ると問題がないのですが、廃棄されたり、腐ったり、余ったり、食べ残されて捨てられたものもあります。

また、輸入された食品は分母に加えられると図にあります。輸入されたものが全て消費されるとよいですが、無理がありますね。

著者はこのように書かれています。

最新の二〇〇八年を見ると、分子が一〇一二キロカロリー、分母が二四七三キロカロリーで、自給率は四一パーセントとなる。

ここで注意すべきは、分母となる供給カロリーは、我々が実際に摂取しているカロリーではないという点だ。

厚生労働書の調査(二〇〇五年)による摂取カロリーは、一九〇四キロカロリー。これに対して、流通に出回った食品の供給カロリーは二五七三キロカロリーもある。

それでは、その差七〇〇キロカロリー弱、供給カロリー全体の四分の一以上はどこに消えたのか。

それは毎日大量に処分されるコンビニ食品工場での廃棄分や、ファストフード店、ファミリーレストラン、一般家庭での食べ残しなどである。

誰の胃袋にも納まらなかった食料、つまり誰にも供給されなかったカロリー分も、分母に入れて計算されているのだ。

その量はといえば一九〇〇万トン。日本の農産物輸入量五四五〇万トンの三分の一近く、世界の食料援助量約六〇〇万トンの三倍以上に及ぶ。

食料供給は、需要と供給のバランスが取れているわけではありません。

食料を生産する農業も食品製造業も小売業も商売ですから、たくさん供給してお客さんにたくさん買ってもらいたい。たくさん買ってもらえれば儲かります。

経済状況がよければ、供給過剰になりやすい、いや、なるのが普通です。スーパーやコンビニで働いたことがある方は、食品のロスをよくご存知だと思います。

つまり、社会が豊かであると、余分に生産し、余分に輸入し、余分に取引し、余分に売り場に並べるので、分母が大きくなるのです。

当然、ロスは多くなります。当たり前です。

輸入した食品のカロリーは全て分母へ

また、輸入食品についても、上で書いたことと同じ理由ですが供給過剰になりやすいです。特に国内生産品の価格と差があれば、ロスが出てもたくさん量を売れば儲かるわけです。

分母は大きくなりやすいのです。

分母である供給カロリーの数値が大きくなるほど、国産の比率=自給率は過小評価されてしまう。

こうした大量廃棄量まで含んだカロリーベースの食料自給率で、国民が望む「自給」という概念が語れるのだろうか。

しかも現代は、カロリー過剰でメタボ対策が必要とまでいわれる時代であり、低カロリーの食事を心がけている人も少なくない。

実際の消費カロリーで計算しなければ現実が見えてこないのは明らかだ。

このあたりは、著者の書かれている通りだと思います。私も素人考えながら、食料自給率を知るなら、実際に自分たちが食べた分で計算した結果を知りたいと思いました。

私も含めて、今の時代、平均的に毎日2573キロカロリー食べている人は、それほど多いと思えません。

カロリーベースの食料自給率で分母に国民一人分のカロリーを示されると、多い。違うよなあと思います。

分子に入らない国内生産分がある

さらに、国内生産分にも計算から漏れるものがあると著者は書いています。お金と交換されず経済活動に入らないので、量が分からない分です。

また、過小評価される以前に、分子の国産供給カロリーには、全国に二〇〇万戸以上もある農産物をほどんど販売していない自給的な農家や副業的な農家、土地持ち非農家が生産する、大量のコメや野菜は含まれていない。

総世帯の五パーセントを占める自家消費だけでなく、多くはご近所、知人、親戚など何倍もの世帯へのおすそ分けに回っている。

それに、最近急増している家庭菜園の農産物がカウントされていないのはいうまでもない。

プロの農家が作る農産物でも、価格下落や規格外を理由に畑で廃棄されているものが二、三割はある。

当然、それも分子には含まれていない。つまり、実際の生産量、生産力は農水省発表の数字よりずっと高いのである。

田舎に行くと野菜はあげたりもらったりするものになります。もちろん、200万戸以上にもなれば、数字が大きくなることだけは分かります。

さらに、国内で飼育した家畜でも、エサが海外から輸入したものだと、国内で生産された食品のカロリーには入れられないのだそうです。

とても分かりにくい。

ただ、カロリーベースの食料自給率だけを「食料自給率」として説明されると、そういうものなのかなあと思ってしまうかもしれません。

こういう時は、他に比較できるものがあるとよいのです。

もう一つの食料自給率は、生産額ベース総合食料自給率です。

生産額ベース総合食料自給率

こちらの生産額ベース総合食料自給率は、金額だけで出しているのでかなり分かりやすいです。

分母が、「国内で消費するために生産・輸入された農産物の金額」になり、分子が、「国内で生産された農産物の金額」になっています。

もう一つの国策指標である生産額(金額)ベースの自給率は、あまりマスコミに登場することがない。計算式は<図>のようになっている。

生産額ベース総合食料自給率

もちろん、カロリーベースの食料自給率で、「どうかな?」と思った食品のロスも含まれていますが、この場合は、金額だけを考えているので、関係ありません。

海外のエサを使った畜産物も入っています。あまり余計なことを考えずに計算できます。

生産額ベース総合食料自給率は高い

二〇〇七年で見ると、分子が一〇兆三七億円、分母が一五兆九四一億円で、自給率は六六パーセントとなる。

減少傾向にあるものの、カロリーベースに比べてずいぶんと高い。さらに「食料・農業・農村基本計画」では、二〇一五年度には七六パーセントを達成する目標が閣議決定されている。

それでは、日本の六六パーセントは他国と比較してどうなのかと農水省ホームページで調べてみたが、いくら探しても出てこなかった。

農水省に問い合わせをしてみたところ、「海外については正確なデータがないので計算したことがない。今後調べるつもりがあるかどうかも回答できない」との答えが返ってきた。

どうにも解(げ)せない。カロリーベースの場合、各国の自給率を示しては「日本は主要国で最低水準」と強調する。

なのに、なぜ生産額ベースの自給率は、国の政策目標であるにもかかわらず他国と比較しないのだろうか。

膨大な計算を要する主要一〇ヶ国のカロリーベース自給率を五〇年近く公開しておいて、単純に数字が出せる生産額ベースを算出しないのはおかしいではないか。

そこで計算式に数値を当てはめ、独自に数字をはじき出してみた。

すると驚くことなかれ、日本の六六パーセントは主要先進国のなかで三位である。さらには、農業生産額に占める国内販売シェアは一位。これは、日本の輸入依存度がもっとも低いことを表している。

生産額ベース自給率一位の米国、二位のフランスは一〇〇パーセントを上回っているが、その理由は単純だ。

輸入額も多いが、それを輸出額が上回っているからである。反対に四位のドイツと五位の英国は輸出も多いが、輸入がそれを上回っている。

ドイツと英国より日本のパーセンテージが高いのは、国内生産額より輸入額がずっと低いからである。

つまり、ドイツや英国より消費金額に対する国産比率が高いわけだ。

なんだ、ずいぶん高いじゃないかと思いますね。

カロリーベースの食料自給率と生産額ベース総合食料自給率を比べると、数字が全然違っていて、一体どちらが正しいのかと思いますが、どちらも正しいのです。

ただ、計算方法が違っています。

会社でも学校でも、何かの数字を出して報告するときは目的があり、その目的に合った数字を使います。この本を読んで、そのことを思い出しました。

まとめ

ニュースで食料自給率が低いと聞くと、将来食べられなくなるのかと不安になります。

しかし、ネット時代の今は、その気があれば一次情報に簡単にアクセスできます。農水省でもサイトで食料自給率の計算方法を公開しています。日本の食料自給率

また、分からないことを電話で問い合わせるにしても、今は通信費がただに近い安さです。

自分が疑問に思ったことは、できるだけ詳しく調べてみるのがよいですね。カロリーベースの食料自給率は、カロリーベースの食料自給率の計算方法で計算したので低くなることが分かりました。

スポンサーリンク
レクタングル大