AGE終末糖化産物を増やさないようにする

AGE(終末糖化産物)って2ヶ月前まで全く知りませんでした。本を読んでみたら、料理本によく出てくるメイラード反応によってできるとか。

メイラード反応について。AGEが発見されたきっかけ。AGEがあるとどんな影響があるのか。食べ物からAGEを減らす方法などについて調べました。

パン

老けたくなければファーストフードを食べるな 老化物質AGEの正体を読みました。

実は、私、2ヶ月前までAGEについてまったく知りませんでした。

たまたま、昔の同僚と酒を飲んだとき、AGEの話題が出て初めて知りました。いつもならすぐに忘れてそのままになるのですが、印象に残ったのが、食品の話題でよく出てくるメイラード反応と関係があるという話でした。

そのことを覚えていて、やっと本を読みましたが、実に興味深い内容でした。

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終末糖化産物AGEとは

人は誰でも老化しますが、老化の進行に個人差があるのは、ある年齢を超えると感じるようになるものです。私は現在50代半ばですが、落ちていく視力と記憶力を少しでも維持したい気持ちがあります。

AGE(Advanced glycation endproducts:AGEs 正確には単一の物質ではないので複数形になっています)は、終末糖化産物の頭文字をとったもので、タンパク質が結合したものです。これが老化を促進させます。

そして、タンパク質と糖が結合するのは、酵素によってではなく、加熱によります。

これだけだと何だかよく分かりませんが、もう少し読んでいただくと私と同じように「へえーっ」と思っていただけると思います。

AGEの意外な一例を書く前に、メイラード反応について先に書いておきます。

メイラード反応

私は子供の頃、パンの耳が好きでした。もっとも最近は、食パンを家庭で切る機会がなくなりました。パンの耳はキツネ色になっていますが、これはメイラード反応によるものです。

メイラード反応、料理本でもよく出てきますが、タンパク質と糖を加熱したときなどに褐色物質を生み出す反応のことです。

たとえば、肉を焼くと色が変わります。コーヒー豆を焙煎すると褐色になり、カレーを作るときに玉ねぎを色がつくまで炒めますが、あの色もそうです。ご飯を炊いた時、鍋の底にできるおこげ。そして、味噌や醤油の色もメイラード反応です。

味噌について、以前、味噌の効能が分かる味噌力という記事を書いたのですが、味噌の効果は、色が濃くなるほど強くなることを知りました。

味噌力を読みました。味噌汁はお好きですか?私はよく飲みます。自転車が趣味なのですが、長距離を走って疲労してきたときは、コンビニで味噌汁を買って飲みます。疲労したときは糖分をとるのがよいなんて信じていたときはジュースを買って飲んでいました。し

メイラード反応って、料理をおいしくする好ましい反応だと思っていたのですが、どうもそうばかりではないようです。

ヘモグロビンA1cもメイラード反応

健康診断を受けると、血液検査をしますが、血糖値のほか、かならずHbA1c(ヘモグロビンA1c)も調べられています。過去1ヶ月から2ヶ月の血糖値の指標となると聞かされていて、それ以上のことを考えたこともなかったですが、今回よく分かりました。

HbA1cは、サムエル・ラーバーというイラン人医師によって1969年に発見されたそうです。ラーバー先生は、ヘモグロビンの研究を専門にしていた方です。

少し長いですが、抜き書きします。

あるとき、糖尿病の患者さんのヘモグロビンを調べていたら、とても変な性質をもつヘモグロビンを発見したのです。

実はこの奇妙なヘモグロビンは、老化物質AGEに変化する一歩手前の「ヘモグロビンA1c」(HbA1c/ヘモグロビン・エーワンシーという表記もある)という中間物質でした。

でも、当時ラーバー先生はそんなことを知るよしもありませんでした。ただ、糖尿病の患者さんの血液には、奇妙な性質のヘモグロビンがたくさんあって、ふつうの人の血液にもあることはあるが、糖尿病の患者さんではこれが二~三倍と多く存在することがわかった。(中略)

ラーバー先生自身も研究しているうちに、「ヘモグロビンA1c」は正常なヘモグロビンに糖がたんこぶのようにくっついて変質した「糖化物質」だということが分かってきました。(中略)

なぜ「ヘモグロビンA1c」ができたのか?なぜヘモグロビンに糖がくっつき、へんてこりんなものに変化したのか?(中略)

長く食品化学の領域で糖とタンパク質の化学反応として研究されてきたあの「メイラード反応」と、人間の体の中で起こっている生化学反応とが初めて結びついたのです。

「メイラード反応」とは、食品を構成する糖とタンパク質が加熱によって変質する化学反応のことでした。

人間の体の中にも、ブドウ糖という糖と体内組織を主につくっているタンパク質が多数存在しています。すなわち、それらが三七度の体温で常時、長い時間をかけて温められているわけです。

糖尿病の患者さんは、血糖値が高いです。つまり血液中にブドウ糖がいつもたくさんあります。それとタンパク質であるヘモグロビンが温められてメイラード反応を起こし、くっついたものが、ヘモグロビンA1cです。

体の中でもメイラード反応が起きていたのです。

普通の人でも血液中にブドウ糖がいつも一定割合でありますから、ヘモグロビンA1cはあります。しかし、糖尿病の患者さんは、その値が高くなります。それでヘモグロビンA1cは糖尿病の診断基準につかわれているのです。

糖尿病になると老化が早くなる

ヘモグロビンA1cが発見され、それが糖尿病の患者さんに多いことが分かりました。

また一方で、糖尿病の患者さんは老化が早く進むので、その原因となる物質があるのではないかと考えられていました。

それらが、あるとき一つになり、老化を進める原因物質は、タンパク質の糖化による物質ではないかという仮説が生まれました。1990年頃の話だそうです。

きっかけになったのはもちろんヘモグロビンA1cですが、ヘモグロビン自体が4ヶ月に1回入れ替わることと、治療によって血糖値を下げると、ヘモグロビンA1cの数が減るので、原因物質ではないことが分かりました。

ヘモグロビンA1cを減らしてもこんなことがあるのです。

たとえば六~七年間、高血糖にさらされた患者さんは、その後一〇年間、一生懸命治療して血糖をコントロールしても、病気の進行は思ったほどには止まらない。

血糖をコントロールしても、病気の進行は止まらないというのは、血管合併症のことを指しています。血管がつまったり破けたりする病気のことです。

AGEの発見

ヘモグロビンA1cは、糖が少なくなると糖を切り離してもとに戻ることができますが、ずっと長い時間、高い血糖値の下に置かれると、糖のたんこぶがどんどん増えていきます。

すると、糖まみれになって、もう、元のヘモグロビンに戻れない異常な物質に変わってしまいます。

これが、AGEの正体でした。しかも、ヘモグロビンだけでなく、体の中にはタンパク質があちこちにあります。血糖値が高い状態で、タンパク質が体温で加温され続けると、同じようにメイラード反応が起こり、AGEが増えていってしまうのです。

AGEのさらによくないところは、体の中に長期間、居すわるのです。

AGEはどんなことをするのか?

AGEが老化を進めると聞くと、どのみち老化していくのは間違いないので仕方ないかなと思いますが、血管の話を読むと、あきらめてはいけないと思います。

コラーゲンのAGE化

コラーゲンと聞くと、テレビの影響か、お肌のことしか思い出せませんでしたが、実は、コラーゲン、体内にあるタンパク質の30%を占めます。

皮膚だけでなく、腱や骨、軟骨、血管や脳など体の中に広く存在しています。

コラーゲンがAGE化することは、たとえば、皮膚が老化することを思い出していただければ理解できると思います。

皮膚がたるみ、シワができて、シミ、ソバカスができます。外見から分かることなので、説明の必要はほとんどないと思います。

では、血管の場合はどうでしょう?私も含めてある年齢以上の方は、知っておいた方がよいと思いました。

動脈硬化

血管は一番内側に内皮細胞があり、そのまわりをコラーゲンが囲んでいます。その外側を平滑筋細胞が囲み、そのさらに外側を外膜がおおっています。

このコラーゲンがAGE化するとどうなるか。

まず血管の内側、血管内皮細胞に対しては、血中に流れているLDLコレステロール(悪玉コレステロール)が内皮細胞内にしみこみやすいような環境をつくってしまいます。

LDLコレステロールの侵入を受けた内皮細胞はダメージを負い、炎症反応が起きる。すると、その「SOS」に反応して血液の中から白血球のマクロファージがやってきます。

そして脂まみれのAGE化したLDLコレステロールを次々と食べる、食べる。

マクロファージに食べられたコレステロールの残骸は、じゅくじゅくとした粥(かゆ)のような状態になって盛り上がります。これを「プラーク」といいます。

要は、血管の表面に脂の固まりが乗っかっているような状態を想像してください。

やがてその薄い皮膜がプチッと、膿(うみ)が破れるように破裂する。血管が破れたのかと勘違いした血小板が大あわてでやってきます。

そして血を固めて破れをふせごうとする。結局は、血流がせき止められてそこに血の固まりができてしまいます。これが血栓です。

このことが、心筋や脳に栄養を与えている血管に起こり、その血管の心筋細胞や脳への血液が遮断される結果、細胞が死んでしまう病気、これが心筋梗塞や脳梗塞です。

心筋も脳の細胞も一般的には、ほとんど再生できません。つまり、死んでしまったら、そのまま、元には戻らず、永久に障害を残します。

載せられていた図を真似して描くとこんな風になります。動脈硬化の始まりの図です。他の本でもよく見ることがあります。AGEは出てきませんけれども。

動脈硬化

AGEが内皮細胞を痛めつける

実は、動脈硬化について他にも本を読んだことがあるのですが、「内皮細胞から中にLDLが入って来る」と詳しい説明が省略されて書かれている本もありました。しかし、血管はそんなに弱いものなのかなあと疑問に思ったことがあります。

AGEが「内皮細胞内にしみこみやすいような環境」をつくるのは、仕組みがありました。すべての細胞にはRAGE(receptor for AGE)という受容体があり、AGEと結びついてしまうのです。そして「AGE-RAGE」の複合体ができると、今度はその数を増やします。

さらに、「NADPH酸化酵素」が活性化され、細胞を酸化させるようになります。内皮細胞にあるRAGEと結びついたAGEは、酸化酵素を出して内皮細胞を酸化させてしまいます。

そのため、LDLが内皮細胞を通って中に入ってくるのです。

動脈硬化って、何となくコレステロールをとりすぎるとなるものだと思われていますが、血糖値を高いままにしておいたり、AGEが体の中に多くある状態にしていると、こんな仕組みで動脈硬化が進んでしまいます。

この他に、AGEは、血管の外側にある平滑筋細胞を増やして血管を厚くしてしなやかさを失わせる働きもするのですが、その説明は省略します。(本をお読みください)

内皮細胞が傷みやすいのは動脈の血液の流れが速いから

上で「内皮細胞から中にLDLが入って来る」と書きましたが、その理由の一つが欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」 科学的事実が教える正しいがん・生活習慣病予防 を読むと分かりました。

心臓から送り出された血液が足の爪先まで行って、再び心臓にもどってくるのに、どれくらい時間がかかると思いますか?

答えはたったの20~30秒です。猛烈なスピードで流れる血液は大雨で起きた土石流のようなもの。

動脈はとくに流れが速くて勢いがあるので、壁の内側に無数の小さなキズができ、そこから動脈硬化が始まります。

血液の流れるスピードが速い。いままで考えたことがありませんでした。

どんな物質があるか

食事中 AGE(CML)が食後の血中濃度および炎症・酸化マーカーに与える影響には4つAGEが紹介されていましたが、そのうち3つまで構造式が分かりました。リジンやアルギニンといったアミノ酸がついています。ご参考まで。

カルボキシルメチルリジン

カルボキシルメチル基とアミノ酸リジンが結合したものです。

カルボキシルメチルリジン

カルボキシルメチルリジン

ペントシジン

アルギニンとリジンがついています。

ペントシジン

ペントシジン

ピラリン

リジンがついています。

ピラリン

ピラリン

食べ物からAGEを減らす

AGEは、血糖値が高いと体の中でつくられますが、食べ物からも入って来ます。この本によれば、食べ物に含まれるAGEの7%が体内にとりこまれて、蓄積すると考えればよいそうです。

AGEはタンパク質と糖がメイラード反応したものなので、高温で加熱調理したもの、つまり、焦げ目がついたり、キツネ色になっているのが目印になります。

ただ、メイラード反応といっても、コーヒーや味噌、醤油などには抗酸化作用があるので、すべてが悪いというわけではありません。味噌は色が濃い方がよいのです。

基本的に、焼いたり油で揚げたものがあてはまります。

鶏肉を食べる時、茹でる(蒸す)、焼く、揚げるのどれかで調理しますが、この順番にAGEが高くなります。

本に出ていた表の一部を載せます。よくご覧下さい。調理方法によってAGE値がかなり変わるのが分かります。

調理法によるAGE値の違い
食材 調理法 AGE値
(kU/100g)
通常量
(g)
牛肉 707 90
牛肉 ステーキ(超レア) 800 90
牛肉 シチュー 2657 90
牛肉 ステーキ(フライパン) 10,058 90
牛肉 直火焼き 7,497 90
フランクフルト 直火焼き 11,270 90
フランクフルト ゆでる 7,484 90
ミートローフ 1,862 90
ミートボール 2,852 90
ハンバーガー 5,418 90
鶏肉 もも バーベキュー 8,802 90
鶏肉 水炊き 957 90
鶏肉 胸 焼く(フライパン) 4,938 90
鶏肉 唐揚げ 9,732 90
鶏肉 蒸し焼き 769 90
鶏肉 丸焼きバーベキュー
(皮つき)
18,520 90
ベーコン 91,577 13
豚肉 スペアリブ 4,430 90
ソーセージ 1,861 90
ソーセージ 焼く(フライパン) 5,426 90
528 90
(スモークサーモン) 572 90
焼く(フライパン)
(オリーブオイル)
3,084 90
783 90
焼く 25分 2,138 90
エビ 冷凍を電子レンジで調理 4,399 90
エビ フライ 4,328 90
チーズ (スイス・プロセス) 4,470 30
バター (スイートクリーム) 23,340 5
マヨネーズ 9,400 5
豆腐 488 90
豆腐 ソテー(軽く炒める) 3,569 90
豆腐 ゆでる(湯豆腐) 628 90
目玉焼き 2,749 45
スクランブルエッグ1分 173 30
オムレツ低温12分 223 30

以前、肉だけを食べて生活するとどうなるか?という記事を書いたことがあります。

この記事では、肉だけを食べ続けたら健康状態がどのように影響されるのかについて書きます。肉にはご承知の通り、飽和脂肪酸とコレステロールがたくさん入っています。どんな結果になるでしょうね?肉を食べたら野菜を食べなさいとはいわれなくてもわかってい

エスキモーの生活をまねて、1年間、肉だけを食べ続けた実験のことを書きました。1日あたり230gの脂肪と120gのタンパク質を食べるというすさまじい(?)食事です。ただし、炭水化物はわずか5~10gしか含まれていませんでした。炭水化物は糖になりますから、糖の少ない食事です。

1日230gの脂肪って想像がつきますか?スーパーに並んでいる油の普通サイズのビンを毎日1本飲んでいるようなものです。

こんな生活をしても肥満するわけでなく、健康状態は悪くならなかったそうです。このときの調理方法は、煮るかゆでるか生でした。

では、毎日、朝・昼・晩焼肉を食べていたらどうなっていたのでしょう?ご自分が、毎日三食焼肉屋ののれんをくぐって食べ続けることを考えてみてください。1年後果たして無事でいられるかどうか。

調理方法はかなり影響するような気がします。

果糖に気をつける

AGEは、タンパク質の糖化物質でしたが、糖はブドウ糖だけでなく果糖(フルクトース)もあります。砂糖はブドウ糖と果糖が結合した二糖類ですから、砂糖をとると果糖をとることになると思ってください。

ジュースやスポーツドリンクなど、甘味料としてコーン由来の果糖が入っているものが多いです。飲むときに注意して見てください。

果糖は、ブドウ糖の10倍の速さでAGEをつくるそうです。

私たちAGEの研究者の立場からひと言、言わせてもらえれば、フルクトースコーンシロップを多く含んだ飲料水はなるべくさけてほしい。

ブドウ糖の10倍もの速さでAGEをつくっていくので、AGEが10倍たまりやすい。10倍ですよ、10倍!

以前、別の記事で、果糖がよくない理由を調べてみたを書きました。ブドウ糖の代謝に比べてブレーキがかからない仕組みになっています。結果、コレステロールが上がりやすくなるので、あまりよいことはないと思います。

この記事では、砂糖(ショ糖)を食べるとコレステロールが上がりやすくなること。それは、果糖が原因になっていること。さらに、果糖がからだの中でブ...

食事のAGEを減らすと体内のAGEも減る

調理の方法を工夫して、AGEを減らすとどのくらいしてから効果がでてくるのか分かりませんが、AGEの数値は3ヶ月すると下がってくるようです。

たとえば食事に含まれるAGEを減らすとどうなるか。ふつうの食事と、AGEを少なくするように調理した特別の食事で比較検討した研究です。

AGEを少なくした調理法とは、油を使わないで煮物を中心にしたり、ゆでたり蒸したり、また、生の野菜を多くとる献立です。

ふつうの食事とAGEを減らしたものと、カロリーはまったく同じにして、三ヶ月間いろいろなタイプの患者さんに食べてもらいました。

するとAGEを減らす食事をとった集団で、明らかに体の中のAGEが減ってきました。

まとめ

AGEについて最近知ったばかりなので、どのくらい話題になっているのか分かりません。2ヶ月前の私は、メイラード反応は、風味をよくするものだとしか思っていませんでした。

上でも書きましたが、エスキモーの食生活を真似する実験の話を書いたことと、今回読んだ本のおかげで、うちの料理は、煮る蒸すが中心になりそうです。

もちろん、焼き鳥や焼肉も好きなのでたまに食べますが、知っておくのは大事だなと思います。

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