銅は体内で働く酵素に存在するミネラル

銅は体内で酵素の活性中心に存在し、活性酸素種を消去し、コラーゲンを強固にし、メラニン色素をつくり、神経伝達物質をつくり、鉄の酸化に関係します。成人男女には、ざっくり0.6~0.9mg/日必要ですが、日本人に銅が不足する心配はほとんどないみたいです。手軽に食べるものでは、さくらえび、ピュアココア、いりごまに多く含まれています。

銅は体内に100mgあり、酵素の活性中心に存在する

日本人の食事摂取基準(2020年版)の微量ミネラルに銅の説明がありました。

銅は、成人の体内に約 100 mg 存在し、約 65% は筋肉や骨、約 10% は肝臓中に分布する 。銅は、約10種類の酵素の活性中心に存在し、エネルギー生成や鉄代謝、細胞外マトリクスの成熟、神経伝達物質の産生、活性酸素除去などに関与している 。

もう少し、酵素の名前を知りたいので調べて行くと、哺乳類細胞における銅の恒常性維持の分子機構に書かれていました。

銅が含まれる酵素には、活性酸素種を消去し、コラーゲンを強固にし、メラニン色素をつくり、神経伝達物質をつくり、鉄の酸化に作用する

出てきた酵素の名前にはラインマーカーを引いておきました。必要があったら調べてみてください。

代表的な銅酵素として,生体に有害な活性酸素種を消去するスーパーオキシドジスムターゼ(SOD1),コラーゲンの架橋に必要なリジルオキシダーゼ,メラニン色素の生合成に関与するチロシナーゼ,神経伝達物質の生合成に関与するドーパミン β ヒドロキシラーゼおよび血漿中の鉄の酸化に関与するセルロプラスミンなどがある。

銅がこれらの酵素の活性中心にあるということは、銅がなくなると、酵素が働かなくなるので上に書いたような働きが止まってしまうことになります。

次に、銅の1日の摂取量を調べます。どのくらい必要なのか?知りたいです。

銅の1日の摂取量

日本人の食事摂取基準(2020年版)にあった銅の1日の摂取量は以下です。成人男女には、ざっくり0.6~0.9mg/日と考えておくとよいでしょう。

銅の食事摂取基準(mg/日)
性 別男 性女 性
年齢等推定平均
必要量
推奨量目安量耐容
上限量
推定平均
必要量
推奨量目安量耐容
上限量
0~5(月)0.30.3
6~11(月)0.30.3
1~2(歳)0.30.30.20.3
3~5(歳)0.30.40.30.3
6~7(歳)0.40.40.40.4
8~9(歳)0.40.50.40.5
10~11(歳)0.50.60.50.6
12~14(歳)0.70.80.60.8
15~17(歳)0.80.90.60.7
18~29(歳)0.70.970.60.77
30~49(歳)0.70.970.60.77
50~64(歳)0.70.970.60.77
65~74(歳)0.70.970.60.77
75以上(歳)0.70.870.60.77
妊婦(付加量)+0.1+0.1
授乳婦(付加量)+0.5+0.6

日本人に銅が不足する心配はほとんどないみたい

銅の1日の必要量なんて読むと、「きちんと摂らなければ」なんて思うものですが、同じく日本人の食事摂取基準(2020年版)にはこのように書いてあります。どうやら、日本人には普通に食事をしていれば銅不足の心配はないみたいですよ。

平成 28 年国民健康・栄養調査における日本人成人(18 歳以上)の銅摂取量(平均値±標準偏差)は、1.2±0.4 mg/日(男性)、1.1±0.3 mg/日(女性)であり、通常の食生活において過剰摂取が生じることはないが、サプリメントの不適切な利用に伴って過剰摂取が生じる可能性がある。

とはいうものの、どんな食品に銅がたくさん含まれているのかは知りたいです。

銅が多く含まれている食品一覧

TOP100を調べました。えび、中でも特にさくらえびがよさそうですね。ピュアココアを飲んだり、いりごまを食べていると不足する心配はなさそうです。

銅 : 含有量Top 100100g
あたり
mg
順位食品名成分量
1ほたるいか/くん製12
2ほたるいか/つくだ煮6.22
3うし/肝臓/生5.3
4干しえび5.17
5ココア/ピュアココア3.8
6しゃこ/ゆで3.46
7ほたるいか/生3.42
8さくらえび/素干し3.34
9湯葉/干し/乾3.27
10魚介類/エスカルゴ/水煮缶詰3.07
11ほたるいか/ゆで2.97
12いいだこ/生2.96
13かき/くん製油漬缶詰2.81
14さくらえび/煮干し2.61
15おきあみ/生2.3
16紅茶/茶2.1
17さくらえび/ゆで2.05
18バジル/粉1.99
19ブラジルナッツ/フライ味付け1.95
20えごま/乾1.93
21いか塩辛1.91
22たにし/生1.9
23カシューナッツ/フライ味付け1.89
24がちょう/フォアグラ/ゆで1.85
25おきあみ/ゆで1.83
26ひまわり/フライ味付け1.81
27やつめうなぎ/干しやつめ1.8
28チアシード/乾1.79
29まいたけ/乾1.78
30ごま/いり1.68
31ごま/乾1.66
32ヘーゼルナッツ/フライ味付け1.64
33えび類/つくだ煮1.56
34ごま/むき1.53
35大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分調整タイプ1.51
35大豆たんぱく/分離大豆たんぱく/塩分無調整タイプ1.51
37ごま/ねり1.5
38すいか/いり味付け1.49
39けし/乾1.48
40魚醤油/いしる(いしり)1.45
41かき/養殖水煮1.44
41まつ/生1.44
43大豆たんぱく/粒状大豆たんぱく1.41
44かに類/がん漬1.36
45あさ/乾1.32
45きな粉/全粒大豆/青大豆1.32
47いり大豆/黄大豆1.31
48せん茶/茶1.3
48まつ/いり1.3
50いり大豆/青大豆1.29
51かぼちゃ/いり味付け1.26
51あまに/いり1.26
53きな粉/脱皮大豆/黄大豆1.23
54くるみ/いり1.21
55そらまめ/全粒乾1.2
55とうがらし/粉1.2
55わらび/干しわらび乾1.2
55こしょう/黒粉1.2
55干しぜんまい/干し若芽乾1.2
55ナツメグ/粉1.2
61アーモンド/いり無塩1.19
61きな粉/脱皮大豆/青大豆1.19
63アーモンド/乾1.17
64ピスタチオ/いり味付け1.15
65大豆たんぱく/繊維状大豆たんぱく1.13
65大豆はいが1.13
67はす/成熟乾1.12
67いか類/味付け缶詰1.12
67きな粉/全粒大豆/黄大豆1.12
70全粒/ブラジル産/黄大豆/乾1.11
71がざみ/生1.1
71こしょう/混合粉1.1
73うなぎ/きも生1.08
73パプリカ/粉1.08
75全粒/国産/黄大豆/乾1.07
76いり大豆/黒大豆1.06
77かき/養殖生1.04
78全粒/中国産/黄大豆/乾1.01
79こしょう/白粉1
79あんこう/きも生1
79チリパウダー1
82大豆たんぱく/濃縮大豆たんぱく0.99
82するめ0.99
82ぶた/肝臓/生0.99
85パセリ/乾0.97
85全粒/米国産/黄大豆/乾0.97
85あみ/つくだ煮0.97
88全粒/国産/黒大豆/乾0.96
88全粒/国産/青大豆/乾0.96
90レンズまめ/全粒/乾0.95
91ココア/ミルクココア0.93
92アマランサス/玄穀0.92
92ぶた/スモークレバー0.92
92かや/いり0.92
95りょくとう/全粒/乾0.91
95そば粉/表層粉0.91
97さくらえび/生0.9
98小麦はいが0.89
99アーモンド/フライ味付け0.87
99かき/養殖/フライ0.87

急性銅中毒にご注意

銅は、おかしなサプリメントを飲まなければ過剰摂取する心配はないようですが、内部に傷がある水筒に酸性のスポーツドリンクなどを入れたことで溶けだし、急性中毒を起こしたことがあるそうです。

平成 22 年度 収集情報 – 東京都福祉保健局に書かれています。

平成20年2月に都内保健所管轄で起きた有症苦情で、内部が破損した水筒に長時間保存したスポーツ飲料を飲んだところ、6名が頭痛、めまい、吐き気の症状を呈したという事例があった。これは、酸性のスポーツ飲料が破損部分から染み込んで、水筒の保温構造に使われていた銅と接触し、銅が溶出したことが原因と考えられた。

こういうことがあると日本のメーカーは対応が早いですから、今の水筒は改良されているのではないかと思います。でも、念のため買う時は調べて、また、果汁やビタミンCも含めた酸性の飲料は入れない方がよいかもしれません。

NOTE

銅で思い出すのは、銅線です。昔、電気少年だったのでハンダごてを使って電気工作をしていた時期があったのですが、リード線から銅をむき出しにしておくと、鉄ほど早くはないですが割とすぐに色が黒っぽくなり錆びました。

化学Ⅰが受験科目だったので、昔覚えたイオン化傾向では銅はわりと後ろの方なのですが、しっかり酸化します。また、小学生の頃、銅に発生する緑青は猛毒だと習ったのですが、今は毒ではないといわれているそうです。(最近知りました)

しかし、高価な銅鍋を調理に使っている方は、傷がついていると急性銅中毒の心配があるので、料理を作ったらすぐに別容器に移すなどした方がよいですね。

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