伊藤明子先生の「医師がすすめる抗酸化ごま生活」

ごまに、それぞれ、アーモンドパウダー、かつおぶしパウダー、桜えびパウダー、きなこ、みそ、しそから1品加えて、「抗酸化ごま」として食べる方法を提案する本です。ごまは昔から体によいことはみんなが知っていますが、ごまだけを毎日振りかけていると飽きてしまうのも事実です。味のバリエーションが増えて、体にもよいと思えるアイディアだと思います。

ごま

医師がすすめる抗酸化ごま生活を読みました。著者の伊藤明子(みつこ)先生は有名な方なのですね。後でご紹介します。

ごまに興味を持っているので、ごまについての新しい本はいつもチェックしています。ところが、あまり出版されないのですね。ごまが体によいのはたいていの人が知っていること。テレビでセサミンのCMも時々見ます。昔からよいといわれているせいか、ごまを食べるだけでは新しさがないからでしょうか?

「抗酸化力」「抗糖化力」がテーマ

この本は、(多分)高齢者と高齢者に近づいた人を対象に書かれていると思いました。何しろ、老化に対抗する「抗酸化力」「抗糖化力」がテーマです。

抗酸化力はよく聞きますが、抗糖化力は何年も前からいわれていますが、まだあまりポピュラーではありません。糖化とはすごく単純にいうとパンをトーストした時の色、ご飯のおこげの色、料理でメイラード反応といわれるいわれるものです。以前、私もこんな記事を書きました。

AGE終末糖化産物を増やさないようにする
AGE(終末糖化産物)って2ヶ月前まで全く知りませんでした。本を読んでみたら、料理本によく出てくるメイラード反応によってできるとか。 メイラード反応について。AGEが発見されたきっかけ。AGEがあるとどんな影響があるのか。食べ物からAGE...

糖化に関して本の中でこんなことを書かれています。

糖化は「たんぱく質と糖が加熱されたとき」に起こる現象であり、パンケーキなど、たんぱく質と糖を高温で加熱したときにキツネ色に焼き上がるのも糖化のひとつです。

この糖化が体の中で起きると、「AGEs(終末糖化産物)」という悪玉物質が生み出されます。AGEsは体のあらゆる場所に蓄積され、血管にたまると動脈硬化、皮膚にたまるとたるみやシミ、脳にたまると認知症・・・・・というように、全身をじわじわとむしばんでいきます。

そして、一度たまると、汗や尿などのように排出されることがありません。つまり、永久にたまっていく一方。だから恐ろしいのです。

すりごまにもう1品を組み合わせて食べる

この本の特徴は、すりごまのかけて食べるだけの手軽さに、さらに抗酸化力を高めるもう1品を加えて「抗酸化ごま」にしたところです。

  1. アーモンドパウダー
  2. かつおぶしパウダー
  3. 桜えびパウダー
  4. きなこ
  5. みそ
  6. しそ

を組み合わせます。本の後半ではこれら抗酸化ごまを使ったレシピが公開されています。

もう一つの目的は、ごまに他のものを混ぜて味の変化をつけることだと思います。炒りたてのごま、香りがよくておいしいのですが、毎日ご飯にかけて食べていると飽きるのも確かなのです。(もちろん、私のことです)

そもそもごまの栄養成分はどんなもの?

ごまは栄養豊富な食品です。テレビCMのおかげでセサミンの方がよく知られるようになりましたが、たんぱく質、油が絞れるほど豊富な脂質、カルシウムをたくさん含んでいるのが特徴です。以下、本に書かれていたことを簡単にまとめておきます。

ごま自体がとても栄養豊富な食品なのです。

たんぱく質が多い

ごまには100gあたり20gもたんぱく質を含んでいます。含有率は肉より多いです。

骨に有効なカルシウムとマグネシウム、マンガン、亜鉛

カルシウムの他、強調されていたのが、亜鉛を100gあたり5.9mg含んでいることです。亜鉛は免疫機能の活性化と肌や髪の健康に役立つそうです。

カルシウムは、骨の主成分として有名なミネラル。骨量や骨密度は、骨の中のカルシウム濃度で決まりますが、このカルシウムの吸収を助けたり、必要なところへ行き渡らせたりするのがマグネシウムです。骨を丈夫に保つには、マグネシウムも充分にとる必要があります。(中略)

また、骨、軟骨の形成を助けて強くしてくれるマンガンや、古い骨から新しい骨へと生まれ変わる「骨代謝」に必要な酵素の働きを助ける亜鉛も豊富です。

造血に関係がある鉄と銅が含まれている

造血ミネラルとして、まず挙げられるのは鉄。血液細胞のひとつである赤血球をつくる役目を果たします。そして、この鉄から赤血球がつくられるのを助けるのが銅です。(中略)

ごま30gで、鉄は一日必要量の4分の1、銅は一日の必要量に充分な量をとることができます。

ビタミンB群が多い

ごまには、ビタミンB群のうち、チアミン(ビタミンB1)、ナイアシン(ビタミンB3)、ビタミンB6ビオチンが含まれています。

それぞれのリンク先は、以前、私が調べて書いた記事です。ビタミンの働きについてご興味があれば、リンク先を読んでみて下さい。

この本では、「皮膚や粘膜を健やかに保つ」「皮膚や粘膜の新陳代謝を促す」と説明されています。

ごま全般の特徴は、この記事をお読み下さい。

ごまにはカルシウムがとても多かった
ごまはたんぱく質と脂質が多い食品です。ミネラルではカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅が多いですが、カルシウムがずば抜けて多いです。カルシウムは表皮にとても多く、むいてしまうと激減します。そのため、食べるならむきごまでなくすりごまが...

アーモンドを加えてビタミンEとたんぱく質をさらに補給

アーモンドは、ビタミンEが豊富でたんぱく質が多い食品です。混ぜる比率はこれがおすすめだそうです。

アーモンドパウダー1:すりごま1

抗酸化力の高いビタミンEを豊富に含むアーモンドとの組み合わせでダブルの抗酸化力。食物繊維やたんぱく質もたっぷりとれます!

日本食品標準成分表2015年版(七訂)から詳しく成分を調べてみましょう。それぞれ100gあたりの栄養成分です。ビタミンEは、α-トコフェロールをご覧下さい。

アーモンドはたんぱく質が豊富で100gあたり20gもあります。ビタミンEは、30mg近くあります。

100gあたりアーモンドいり・無塩
エネルギー608kcal
水分1.8g
たんぱく質20.3g
脂質54.1g
炭水化物20.7g
灰分3.1g
αートコフェロール28.8mg
βートコフェロール0.3mg
γートコフェロール0.7mg
δートコフェロール0mg
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)

アーモンドの栄養成分についてもっと詳しく知りたい方は、アーモンドの効果は肌がきれいになることと抗老化への期待かなをお読み下さい。そちらにもっと詳しい食品分析表を載せてあります。

アーモンドの効果は肌がきれいになることと抗老化への期待かな
アーモンドは抗酸化力のあるビタミンEが断トツに多く、食物繊維が多く、便秘を解消して肌がきれいになるそうです。また、老化物質AGEを減らすことがわかり、抗老化(アンチエイジング)の効果が期待できます。

桜えびを加えてうま味とカルシウムを補給

桜えびを加えるとうま味が増えます。カルシウムは下の食品分析表をご覧下さい。とても多いです。100gあたり1500~2000mgあります。混ぜる比率はこれがおすすめだそうです。

桜えびパウダー1:すりごま2

独特のうまみ成分を含んでいて風味のよい桜えびとミックス。殻ごと食べられるので、不足しがちなカルシウムをとれるのもメリット。

また、干物なので水分が抜けて、100gあたりのたんぱく質がとても多いです。その他のミネラルも、カルシウムとともに骨に関係があるマグネシウムも多く、そしてリンも多いです。また、亜鉛と、鉄の吸収に関係がある銅も多いです。銅は成人男女で1日0.6~0.9mgあれば足りるので、十二分にありますね。

100gあたりさくらえび/素干しさくらえび/煮干し
エネルギー312kcal273kcal
水分19.4g23.2g
たんぱく質64.9g59.1g
脂質4g2.5g
炭水化物0.1g0.1g
灰分11.6g15.1g
食塩相当量3g8.6g
カルシウム2000mg1500mg
マグネシウム310mg260mg
リン1200mg860mg
3.2mg3mg
亜鉛4.9mg4.1mg
3.34mg2.61mg
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)

桜えびについては、こちらに詳しくまとめてあります。

桜えびは静岡だけで獲れる
桜えびは静岡だけで獲ることが許可された貴重なえびです。栄養成分は、干したものではたんぱく質がとても多く、100g中60g以上を占めます。ミネラルはカルシウムが抜群に多く、マグネシウム、リン、亜鉛と銅が多いのが特徴です。 桜えびは自分で...

かつおぶしを加えてたんぱく質を補給

かつおぶしは、もともと脂の少ない原材料を選び、さらに脂を抜いて乾燥させていますからたんぱく質(うま味のアミノ酸)のかたまりです。混ぜる比率はこれがおすすめだそうです。

かつおぶしパウダー1:すりごま1

かつおを乾燥させたかぶおぶしは、たんぱく質がぎゅっと凝縮された優秀食材。リン、カリウム、ビタミンDも豊富に含まれています。

カリウム、リン、ビタミンDにはラインマーカーを引いてあります。

100gあたりかつお節
エネルギー356kcal
水分15.2g
たんぱく質77.1g
脂質2.9g
炭水化物0.8g
灰分4g
食塩相当量0.3g
カリウム940mg
リン790mg
ビタミンD6μg
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)

かつお節についてはこちらの記事に詳しく書きました。

かつお節の作り方と栄養成分について
かつお節は、かつおをおろして煮て乾燥させかびをつけます。かびが自分で生きるために水分を身から吸い上げるのでカチカチに乾燥します。かつお節は70%以上がたんぱく質です。原料のかつおは脂の少ないものを使います。袋入りの花かつおはかつお節ではなく

ビタミンDについてはこちらの記事をお読み下さい。

ビタミンDの過剰摂取はいけないが高摂取は望ましいとか
この記事では、ビタミンDについて、ビタミンDの種類、ビタミンDの作用、欠乏するとどうなるか。またビタミンDの効果や、過剰摂取するとどうなるか。1日の摂取量、ビタミンDが多い食品について調べました。 あん肝にはビタミンDがたくさん入って...

きなこ

きなこは大豆を炒って粉末にした食品のことです。(出典:きな粉混ぜる比率はこれがおすすめだそうです。

きなこ1:すりごま1

女性ホルモンに似た働きをするイソフラボンをはじめ、大豆の栄養を丸ごといただけるのがメリット。アンチエイジングにぴったり。

イソフラボンがどのくらい含まれているのか調べてみました。厚労省の大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&Aに表があり、きなこと同じ、乾燥大豆らしきデータは次の通りです。

食品名(検体数)含有量(mg/100g)平均含有量(mg/100g)
大豆(11検体)88.3~207.7140.4
黄粉(2検体)211.1~321.4266.2

イソフラボンについては、エクオールは大豆イソフラボンよりすごいらしいという記事にまとめてあります。

エクオールは大豆イソフラボンよりすごいらしい
以前、大豆イソフラボンが女性ホルモンに似ていて代わりになるといわれてちょっとしたブームになった時代がありました。 その後、ブームは去りましたが、大豆が体によいのは昔からよく知られていることです。 その後、大豆イソフラボンを腸内細菌が分解して

きな粉の栄養の特徴は大豆そのままです。たんぱく質と脂質が多く、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などミネラルが多いことが特徴です。詳しくは、こちらの記事をどうぞ。

きな粉は大豆を炒って粉砕したもの
きな粉の作り方は、大豆を炒って粉砕すればできあがりです。きな粉の栄養成分は乾燥大豆とほとんど変わりません。水分が抜けた分、多少栄養成分が増えています。意外と食べる機会がないのがもったいないと思いました。 きな粉は大豆を炒って粉砕したもの...

みそ

伊藤先生おすすめのみそは、八丁味噌です。味噌は色が濃いほどメラノイジンが多いです。混ぜる比率はこれがおすすめだそうです。

八丁みそ1:みりん1:すりごま2

みその製造工程で生まれる「メラノイジン」は、すぐれた抗酸化物質。ごまの抗酸化力を増強するほか、善玉菌を増やすなどの効果も!

豆みそは、たんぱく質が多く、脂質も10%程度残っていて、食品としてなかなか優れていることが分かります。豆みその特徴は、米みそ、麦みそと比較した米味噌、麦味噌、豆味噌の栄養成分の比較を読んでいただくとよく分かると思います。

米味噌、麦味噌、豆味噌の栄養成分の比較
米味噌、麦味噌、豆味噌の栄養成分を比較すると、豆味噌はたんぱく質、脂質が多く、ミネラルも他の味噌に比べて多くて、食品として栄養豊富です。米味噌は色が赤くなるほど、豆味噌に似てきます。大豆が多くなるので当然です。麦みそは、仕込み方を調べて、大

塩分が多いかなと思いましたが、豆みそ100gあたり10gですから思ったほど多くないです。

しそ

しそは、ふりかけの「ゆかり」のことです。ポリフェノールがよいそうです。混ぜる比率はこれがおすすめだそうです。

しそ1:すりごま2

赤じそに多く含まれるロズマリン酸はポリフェノールの一種で抗酸化力抜群。ごまと合わせることで、肝保護効果がさらに上がります。

著者伊藤明子(みつこ)先生について

伊藤先生は、もともと同時通訳者として活躍されていた方です。それが40歳の時に一念発起して帝京大学医学部に入学して医師になった方でした。いや~すごい。一番よくわかる記事がNHKのサイトにありました。

おんなの選択 心に”壁”はない!パワフル人生伊藤明子さん

エラー - NHK

少し前の本ですが、こんな本も出されていたのですね。

NOTE

私の周りの高齢者(女性)は、転んで背骨を圧迫骨折をする人が増えています。基本的に治療はできません。自分でカルシウムを摂り、ビタミンDを摂り、日に当たりながら歩くことで、運動機能を維持していくことになります。

カルシウム源としてごまはとても有望です。

ご参考まで、ですが、もう一つ有望なのは卵の殻です。毎日のように卵を食べるので殻はいつも出ます。ゆで卵の殻を、念のためトースターで1分程度焼いてから電動ミルで挽いて、ただいま私が人体実験中です。

卵の殻からカルシウムを摂る
卵の殻は捨ててしまっていましたが、カルシウム源として見ると、過剰摂取が心配になるほどなかなか優秀であることが分かりました。しかも味もほとんどありません。ただし、病原菌がついているので、自分でためすときは注意が必要ですよ。 続々 食べ物...
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