アーモンドは抗酸化力のあるビタミンEが断トツに多く、食物繊維が多く、便秘を解消して肌がきれいになる効果があります。また、老化物質AGEを減らすことがわかり、抗老化(アンチエイジング)の効果が期待できます。
アーモンドに関する本を探していたのですが、実はあまり出ていないのです。やっと見つけた本、食べても痩せるアーモンドのダイエット力 (小学館101新書)を読みました。
タイトルが、新書の健康本によくあるつけ方なので、パラパラと中を斜め読みするまであまり魅力を感じなかったのですが、この本は、特に、第2章から第5章までとても面白く、興味深い内容です。
著者の井上浩義先生が、アーモンドの魅力を教えてくれる本です。井上先生はアメリカで訪ねたアーモンド農家の人々の肌がきれいなことから興味をもったそうです。
1日どのくらい食べるのか
一番初めに1日どのくらい食べたらよいのか書いておきます。井上先生は、1日50粒ほど食べているそうです。おすすめは1日25粒だそうです。そして素焼きでローストしたものがよいと書かれていました。
アーモンドの種類を5種類に
アーモンドにはいくつか種類がありますが、この本でアーモンドといわれているのは、日本でよく食べられている5種類のことだと書かれていました。
つまり、普通にお店で売っているアーモンドを買ってきて食べればよいということです。先生のおすすめは、無塩のもの。
- ノンパレル
- カリフォルニア産マルコナ
- ピュート&パドレ
- カーメル
- フリッツ
ちなみに、ウイキペディアでアーモンドを調べてみると、こんなことが書かれていました。
原産はアジア西南部。現在では南ヨーロッパ、アメリカ合衆国、オーストラリアなどで栽培されており、アメリカ合衆国のカリフォルニア州が最大の産地である。日本では小豆島や鹿児島県湧水町などで栽培されている。(出典)
原産地のアジア西南部とは、一般にアフガニスタンからトルコ、エジプトに至る地域を指すそうです。
もちろん歴史的にヨーロッパでの栽培の方が古いのですが、カリフォルニア産とは種類が違い、苦みが強いそうです。
まずは食品分析表をつくりましたので見てみましょう。
アーモンドの栄養成分
ざっくり見ると、たんぱく質が20%、脂質が50%、炭水化物が20%あります。
脂質は脂肪の他、コレステロールもこの中に入りますが、アーモンドは植物なので、コレステロールは、0(ゼロ)です。脂質が多くても植物にはコレステロールはありませんのでご安心を。
また、炭水化物の半分は、消化できない食物繊維です。これはとても多いです。
食品成分 | アーモンド乾 | アーモンド/いり無塩 |
エネルギー | 587kcal | 608kcal |
水分 | 4.7g | 1.8g |
たんぱく質 | 19.6g | 20.3g |
脂質 | 51.8g | 54.1g |
炭水化物 | 20.9g | 20.7g |
灰分 | 3g | 3.1g |
ナトリウム | 1mg | Tr |
カリウム | 760mg | 740mg |
カルシウム | 250mg | 260mg |
マグネシウム | 290mg | 310mg |
リン | 460mg | 480mg |
鉄 | 3.6mg | 3.7mg |
亜鉛 | 3.6mg | 3.7mg |
銅 | 1.17mg | 1.19mg |
マンガン | 2.45mg | 2.46mg |
β-カロテン | 10μg | 7μg |
レチノール活性当量 | 1μg | 1μg |
α-トコフェロール | 30.3mg | 28.8mg |
ビタミンB1 | 0.2mg | 0.03mg |
ビタミンB2 | 1.06mg | 1.04mg |
ナイアシン当量 | 7.1mg | 7.5mg |
ビタミンB6 | 0.09mg | 0.08mg |
葉酸 | 65μg | 48μg |
パントテン酸 | 0.49mg | 0.26 |
ビタミンC | 0 | 0 |
脂肪酸総量 | 49.68g | 51.86g |
飽和脂肪酸 | 3.95g | 4.13g |
一価不飽和脂肪酸 | 33.61g | 35.09g |
多価不飽和脂肪酸 | 12.12g | 12.65g |
食物繊維総量 | 10.1g | 11g |
n-3系多価不飽和脂肪酸 | 0.01g | 0.01g |
n-6系多価不飽和脂肪酸 | 12.11g | 12.64g |
16:0パルミチン酸 | 3200mg | 3300mg |
18:0ステアリン酸 | 670mg | 700mg |
18:2n-6リノール酸 | 12000mg | 13000mg |
18:3n-3α-リノレン酸 | 9mg | 10mg |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂) |
不飽和脂肪酸が豊富
ナッツの多くは、不飽和脂肪酸、特にオレイン酸とリノール酸を含んでいるものが多いのが特徴です。
上の表で、「一価不飽和脂肪酸」と書かれているのが(ほぼ)オレイン酸です。オレイン酸はオリーブ油の主成分です。
リノール酸はオメガ6の必ず摂らなければいけない必須脂肪酸です。しかし、今のわたしたちの生活では不足するより過剰になりやすいです。今は炎症と関係があるのではないかといわれ、ちょっと人気がありません。
次はちょっと興味深いです。
リパーゼを阻害する物質がある
リパーゼは、脂肪を、脂肪酸とグリセリンに分解する消化酵素です。
アーモンドを食べると、このリパーゼの働きがブロックされることが明らかになりました。これがリパーゼ阻害です。
リパーゼ阻害が起こると、食べた脂肪が分解されませんから、体に吸収されないまま、便として体外に排出されてしまうのです。(中略)
アーモンド中の成分の何がそうさせるのかは残念ながらまだわかっていませんが、いろいろな食物で実験してみると、確実にリパーゼ阻害をしていることがわかりました。
半分以上が脂肪のアーモンドを食べると、体の中で脂肪が分解されにくくなるというのが何とも面白いです。
もったいないようにも思えますが、ダイエットをしたい人には役に立つでしょう。
血糖値の急激な上昇を抑制する
もう一つアーモンドには、ブドウ糖の吸収を邪魔する作用があります。
アーモンドには、ブドウ糖の吸収を邪魔する作用があることがわかりました。それが、「α-グルコシターゼ阻害」です。
「α-グルコシターゼ」は人間の小腸上皮にある酵素で、糖の消化や吸収を助けるものです。しかし、砂糖や炭水化物と一緒にアーモンドを摂ると、このα-グルコシターゼが働かず、ブドウ糖にまで分解しないので、糖が吸収されずに便として流れていきます。
血中に糖が吸収されないから、血糖値が上がらないわけです。
最近は、血糖値の乱高下が糖尿病の原因になるといわれ、血糖値を極端に上げないように注意しましょうといわれるようになってきました。
これは、私はとても興味があります。
アーモンドには、脂肪の分解を阻害する、ブドウ糖の吸収を邪魔する物質が含まれていることは覚えておきたいと思いました。
ビタミンEが断トツに多い
ビタミンEは、上の表では、α-トコフェロールとして記してあります。そのまま食べられる食品としてアーモンドは断トツに多いです。ビタミンEは抗酸化ビタミンとしてよーく知られています。
ビタミンEについては、ビタミンEには抗酸化作用があるという記事を書いて、働きや1日の必要量など調べました。
成人男子の1日の目安量は、6.5mg。成人女子の1日の目安量は、6.0mgですから、多いことがお分かりになるでしょう。
ビタミンEが多い食品
ビタミンEがどのくらい多いのか詳しく知りたい方もいらっしゃるでしょう。日本食品標準成分表2015年版(七訂)で調べてみました。全食品からのランキングです。
食用油と小麦はいがは加工品です。乾燥させただけの食品で、しかも、100g食べることが現実的なものは、この中でアーモンドしかありません。
アメリカのアーモンド農家の人々の肌がきれいだったことと関係がありそうです。
食品名 | 成分量 |
せん茶/茶 | 64.9 |
ひまわり油/ハイオレイック | 38.7 |
ひまわり油/ハイリノール | 38.7 |
ひまわり油//ミッドオレイック | 38.7 |
アーモンド/乾 | 30.3 |
とうがらし/果実乾 | 29.8 |
アーモンド/いり無塩 | 28.8 |
綿実油 | 28.3 |
小麦はいが | 28.3 |
抹茶 | 28.1 |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂) |
ビタミンEは老化に関係がありますが、AGEってご存知ですか?
老化物質AGEを減らす
AGEは終末糖化産物の略称です。簡単にいうと料理でよく出てくるメイラード反応が体の中で起きているのです。パンを焼いたり、ガスで炊いたご飯の底にできているきつね色の部分のことです。
タンパク質と糖が熱によって結合したものです。
AGEは、Advanced glycation endproducts:AGEsと綴ります。(正確には単一の物質ではないので複数形になっています)
以前、AGE終末糖化産物を増やさないようにするという記事を書きました。
これからAGEについてたくさん本が出てくるのではないかと思っていますが、アーモンドを食べると、AGEが減少するそうです。これは、井上先生の実験の結果です。
2011年、8人の被検者を集め、アーモンドを5か月間、毎日25粒摂取してもらい、体内のAGE値の変化を測定しました。
「何ですか? これは!?」
その結果に、私自身が驚いてしまいました。わずか8名の治験ですが、AGE値が平均で半減していました。
私自身、AGE値が下がることは予測していましたが、あくまでも試験管とラットでの実験結果からの予想です。(中略)
AGE値というのは、基本的には年齢とともに上がっていくものです。それが世界の共通認識です。抗酸化という意味では、アーモンドが時間を巻き戻していることになります。
食物繊維が多い
上の表でお分かりになると思いますが、アーモンドには、食物繊維が10g程度あります。食物繊維は、炭水化物に含まれますが、半分が食物繊維です。
食物繊維は腸内で便を運んでいきますから便秘解消に役に立つでしょう。
また、食物繊維は腸内細菌が分解して、短鎖脂肪酸になります。短鎖脂肪酸は、大腸上皮細胞のエネルギー源になります。このあたりのことは、短鎖脂肪酸は、大腸上皮細胞のエネルギー源になります。という記事に詳しく書きました。
また、ビフィズス菌を増やすなら食物繊維は必要です。
おすすめは富澤商店かな
高島屋、東急、京王、西武などデパートに出店していて信頼できるブランド、富澤商店の素焼きアーモンドのリンクを貼っておきます。もちろん、デパートで買えます。また、カルディでも大きなサイズのアーモンドがあります。
私はピュアココア(500g)も東横のれん街にある富澤商店で買っています。
エドガー・ケイシーとアーモンド
新版 エドガー・ケイシーの人生を変える健康法にもアーモンドが出てきます。
エドガー・ケイシーについてご存知ない方は、ウイキペディアのエドガー・ケイシーをお読みください。福田先生はこのように書かれています。
アーモンドを食べるのは、ケイシー・リーディングを暮らしに活かす人たちの楽しい義務である。
- 「日に二、三個のアーモンドを食べる人は、決してガンを恐れる必要はない」(一一五八-三一)
- 「もし毎日一個のアーモンドを食べつづけるならば、決して身体のどこにも腫瘍やそのたぐいのものを築きあげない。日に一個のアーモンドは、りんごよりももっとはるかに医者知らずにする。特にある科の医者には用事がなくなる」(三一八〇-三)
生のアーモンドを食べることによって、胃や腸の障害のなくなった報告もたくさんある。私は日本でアーモンドが栽培されて供給される日を待っている。
アーモンドはそのまま食べてもよいし、おろしてふりかけにしたりして料理にも使える。
新鮮なものであれば炒ったものでもよいが、フライにしたものはさけること。変質していない生きたものという点で、生のアーモンドを手に入れるのがもっともよい。
エドガー・ケイシーの生アーモンドの話は有名です。ちなみにこの本は、1993年に新版が出版されて以来、絶版にならず今でも書店で買えます。
古代からアーモンドの効果が語られていた
ナッツの歴史 (「食」の図書館)を読むと、アーモンドと健康について書かれていました。
古代の学者もアーモンドに興味を持ち、いろいろな効果について書き残していたようです。
アーモンドも同じくらい、医薬としての使い道に関心をもたれていた。ヒポクラテスは、「アーモンドは油分が多いので胸やけがするが、肉厚なので栄養分を豊富に含む」と書いている。(中略)
ディオクレスも同じように簡潔な表現を使っている。
アーモンドは・・・栄養が豊富で腸の調子を整える。さらに、キビと似た性質を含むのでカロリーが高い。
乾燥させたものより緑色のもののほうが体への害が少なく、水に浸さないものより浸したもの、生より焼いたもののがいい。(中略)
ディオクレスより少しあとに、シフノスのディフィルスはこう主張した。
アーモンドには利尿作用があり、体を弱らせ、下痢を引き起こし、栄養はほとんどない。乾燥させたアーモンドはガスを発生させやすく、緑色のものより胃がもたれやすい。
未熟なものは間違いなく風味が乏しく、栄養が少ない。しかし、まだやわらかいが完全に育った状態のときに湯で煮ると、ミルク状になって風味がよくなる。(中略)
古代世界のもっとも有名な医学の権威といえばベルガモンのガレノスで、彼はローマ皇帝マルクス・アウレリウスと、その後のローマの支配者たちのお抱え医師でもあった。
食べ物の性質についての著書に、ガレノスはこう書いている。
これらのナッツは、渋味はあまり強くない。洗浄効果、解毒効果が高く、体内の不純物を排除し、肺や胸にできた水分を含んだ膿に作用する。
一部の種類はどれだけ水に浸しても抜けないほど苦みが強いので、食べることができない。(中略)
ローマの著述家たちもアーモンドに言及し、異なる意見を述べている。
プリニウスはビターアーモンドの薬としての用法をさらに多く紹介している。たとえば、アーモンドは眠気を誘い、食欲を増し、利尿剤や月経促進剤としても効果がある。また頭痛や熱を緩和するのにも役立つ。
おそらくアーモンドの体内を浄化する効力から、熱と戦ったり冷やしたりするというよりも、熱を追い払うと考えたのだろう。
生アーモンドには少しご注意を
ちなみに、ナッツの歴史 (「食」の図書館)の最後にはこんなことが書かれていました。
サルモネラ菌による汚染
みなさんはカリフォルニアで栽培されるアーモンドが、加熱するか酸化プロピレンで燻蒸(くんじょう)消毒するかして、必ず殺菌しなければならないことを知っていただろうか?
そして、酸化プロピレンがポリウレタンを作るために使われ、アメリカ環境保護庁によって発がん性が疑われる物質のリストに含まれていることは?
これはささいなことではない。世界で生産されるアーモンドの80パーセントはカリフォルニア産だ。
生のアーモンドがサルモネラ菌で汚染される事例が何度か続き、2007年にその危険性が重大視されて、加熱するか燻蒸消毒するのが安全だろうということになった。
厚生労働省の古い記事が出て来ました。2004年5月の記事です。
平成16年5月22日、米国内において発生したサルモネラ・エンテリティデス食中毒に関連するとされた生アーモンド(Raw, Natural Almonds)の一部が我が国へ輸出された旨をFDA(米国医薬品食品局)が公表したため、在京米国大使館に対し、当該品の我が国への輸出状況を照会するとともに、輸入者を管轄する関係都道府県等に、国内の流通状況の調査を依頼しました。(元記事)
なぜサルモネラ菌に感染したのかなどは書かれていませんでした。加熱、つまりローストされれば燻蒸される必要はありませんが、生の場合は燻蒸されていると考えた方がよいと思います。
酸化プロピレンをウイキペディアで調べてみると、沸点が34℃(出典)なので燻蒸処理が終われば室温を沸点以上にして完全に飛ばしてしまうと思いますが、あまり気分のよいものではありません。
アーモンドがほとんどカリフォルニアで生産されていると考えて、生で食べられる方は少し考えた方がよいかもしれません。
まとめ
私はずいぶん前にエドガー・ケイシーの本を読んで生アーモンドを何年か食べていたのですが、この記事を書くまで、カリフォルニア産アーモンドがあまり楽しくない燻蒸をしていたのは知りませんでした。
アーモンドはおいしくて好きですが、素焼きの無塩のものがいいかなと思いました。
また、食べても痩せるアーモンドのダイエット力 (小学館101新書)によると、ナッツ類は、まれにアレルギー症状が出ることがあるそうです。
アレルギーの方は、少量でも重篤なアナフィラキシーショックを発症することがありますので、食用を控えたほうがいいでしょう。また、アレルギーの恐れのある場合は、食べる前に必ず病院で検査を受けて下さい。
このように書かれていました。