ビタミンCの過剰摂取と結石について

ビタミンCの過剰摂取について調べてみました。少し前からビタミンCを毎日飲むようになりましたが、一度に4gくらい飲むと、確かにおならがたくさん出たり、下痢しました。しかし、1g程度を1日に何度か飲んでも何ともありません。

特に、気になっていたのは結石の原因になるという話です。しかし、それほど心配しなくてもよさそうです。

ビタミンC

厚生労働省の見解

以前、ビタミンCの1日の摂取量は?という記事で、厚生労働省の見解をまとめておきました。

1日100mgが推奨量でした。また、腎機能障害を有する者が数 g のビタミンC を摂取した条件では腎シュウ酸結石のリスクが高まるので、いわゆるサプリメント類から 1 g/日以上の量を摂取することは推奨できないという内容です。

ビタミンCの1日の摂取量は?
ビタミンCの摂取量について調べました。厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)からビタミンCの1日の必要量、推奨量、目安量を知ることができます。

きわめて安全で過剰症はない

一方、新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア(村田 晃著 共立出版 1999)にはこのように書かれています。この本はまだ普通に入手可能です。

動物を用いて調べたビタミンCの急性毒性(LD50、二四時間以内に五〇%が死ぬ量)は、人の体重六〇㎏あたりに換算すると、数百g以上です。

ビタミンCはすっぱい酸ですが、酸を中和したナトリウム塩では、さらに毒性が低く、急性毒性は、一〇〇〇g前後という値になります。

実際、人に、一〇〇g以上のビタミンCを与えたことがありますが、急性の中毒症状は、みられませんでした。ビタミンCは、きわめて安全であることが示されています。

慢性毒性については、世界中で、一〇年、二〇年にわたって、一〇g以上のビタミンCを摂取している人が何千、何万人といますし、一、二gであれば何千万人にのぼります。

しかしながら、慢性中毒に相当する異常は、報告されていません。(中略)

とにかく、ビタミンCは、一日に一〇〇g以下の摂取であれば、安全性について何の問題もありません。

ビタミンCが安全なのは、水溶性で、体に過剰に貯蔵されないからです。大量に摂っても腸管からの吸収に限度があり、一定量以上は吸収されません。

体の組織がいっぱいになると、それ以上は貯蔵されず、尿中に排泄されます。体には、二重、三重に、安全機構が備わっているのです。

ダムが満水になると、余分な水は、オーバーフローして流れ出るのと同じです。

結石ができやすくなるのか?

さて、気になるのは、腎シュウ酸結石のリスクが高まるという厚生労働省の見解です。友人に一人結石の経験者がいますが、「死ぬほど痛かった」といっていました。

ちなみに、友人はビタミンCを飲んでいて結石ができたわけではないです。

私はビタミンCをこれから長く飲んでいこうと決めているので、ビタミンCと結石について調べてみました。

ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)にかなりていねいに説明されていました。

ポーリング博士のビタミンC健康法
ポーリング博士のビタミンC健康法は、お気楽なタイトルとは反対に大真面目に読まないとなかなか理解できない内容の深い本でした。古本屋でもあまり見かけないので図書館で探すとよいでしょう。

腎結石には2種類のタイプがあり、それぞれビタミンCの摂り方が変わる

腎結石は、アルカリ性の尿、酸性の尿が原因でできるそうです。それぞれのタイプによってビタミンCを摂る方法が違っています。

アルカリ性の尿の人は、アスコルビン酸(ビタミンC)をとる

腎結石には二種類あって、結石を生じる素因は、二通りのまったく違った方法で抑制しなければならない。

腎結石の一つは、全結石の半分近くを占めるものであり、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム、炭酸カルシウム、あるいはこれらの混合物からできている。

これらの結石は、アルカリ性の尿で形成されやすいので、この素因のある人は、尿を酸性に保つように勧告される。

尿を酸性にする適当な方法(おそらく最良の方法)は、毎日一グラムあるいはそれ以上のアスコルビン酸をとることである。

多数の医師が、この目的のためにアスコルビン酸を用いているし、さらに、尿管の感染、特に尿素を分解してアンモニア(尿をアルカリ性にして、結石の形成を促す)を生じる微生物の感染を防ぐために、アスコルビン酸を用いている。

ここまでは、アルカリ性の尿なので、ビタミンCを摂っている方がよいという話でした。シュウ酸は(HOOC–COOH)で表される酸です。問題は、こちらです。

酸性の尿の人は、アスコルビン酸ナトリウムか、アスコルビン酸(ビタミンC)と重曹をとる

もう一つの腎結石は、酸性尿で形成されやすいもので、シュウ酸カルシウム、尿酸、あるいはシスチンからできている。この素因を持つ人は、尿をアルカリ性に保つように勧告される。

このためには、アスコルビン酸ナトリウムの形でビタミンCをとるか、アスコルビン酸を適量の炭酸水素ナトリウム(重曹)、あるいは酸を中和するアルカリ化剤とともにとればよい。(中略)

ビタミンCは、体内で酸化されてその一部がシュウ酸になる。

ラムデンとクリストウスキー(一九五四年)は、食物からビタミンCをとっている五一人の健康な男性を対象として研究し、尿中に排泄されるシュウ酸の量は、平均三八ミリグラム(変動範囲は、一六~六四ミリグラム)であることを見いだした。

この平均値は、一日に二グラムのアスコルビン酸を与えてもわずかに三ミリグラムしか増加せず、四グラムでもわずか一二ミリグラムの増加にとどまった。

一日八グラムでは、シュウ酸の排泄量は四五ミリグラム増加し、九グラムでは六八ミリグラム(平均値、一五〇ミリグラム排泄者が一例)増加した。

たいていの人は、ビタミンCの大量をとっても、シュウ酸について心配しなくてよい。(中略)

細胞のシュウ酸(主にグリシンというアミノ酸からつくられる)量が増大するような遺伝病をもつ人がまれにいる。

また、摂取したビタミンCの約一五パーセント(ふつうの人より五〇倍多い)をシュウ酸に変えてしまう若い男が報告されている(ブリッグスら 一九七三年)。

その男およびそれと同じ遺伝的欠陥をもつ人は、ビタミンCの摂取を制限しなければならない。

結石が心配な人は、まず、アスコルビン酸そのものでなく、アスコルビン酸ナトリウムやアスコルビン酸に重曹を混ぜたものを摂るとよいようです。

重曹を混ぜると発泡します。二酸化炭素が出るのです。その後に残るのは、アスコルビン酸ナトリウムです。

まれに遺伝的に心配な人もいますが、ほとんど心配しなくてよいと思いました。

ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)は1985年発行です。その14年後に新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケアが発行されていますが、ビタミンCが原因となる腎結石については否定されています。

ビタミンCのせいで結石ができたという報告はありません

世界中でビタミンCを摂っている人は何千万人といますが、ビタミンCのせいで結石ができた、という報告はありません。ビタミンCで結石ができるということは、あり得ないこととして否定されています。

まとめ

ビタミンCを毎日飲んでいて結石ができたら嫌だなと思っていましたが、ほとんど心配がないことが分かってよかったです。

老化による視力の低下が少しでも遅くなるとよいなと思っています。

ビタミンCについての他の記事は、ビタミンCの記事についてをご覧下さい。

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