ビタミンCの1日の摂取量は?

ビタミンCの摂取量について調べました。厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2020年版)からビタミンCの1日の必要量、推奨量、目安量を知ることができます。

ビタミンCについて、20年以上前に出た文庫本ですが、有名なポーリング博士のビタミンC健康法(平凡社ライブラリー) を読みました。

ポーリング博士のビタミンC健康法
ポーリング博士のビタミンC健康法は、お気楽なタイトルとは反対に大真面目に読まないとなかなか理解できない内容の深い本でした。古本屋でもあまり見かけないので図書館で探すとよいでしょう。

とても面白く、かつ役に立つ本だと思いました。早速、自分でもビタミンCをたくさん飲んでみようと思いましたが、まずは厚生労働省がどのような見解を持っているのか調べてみました。

ビタミンCは1日にどのくらい必要か

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書に表が掲載されていました。

少年から老人まで男女の区別なく1日100mgとっていれば十分に間に合うというのが厚生労働省の見解です。2015年版より男女とも少しずつ増えています。

ビタミン C の食事摂取基準(mg/日)
性別男性女性
年齢等推定平均
必要量
推奨量目安量推定平均
必要量
推奨量目安量
0~5(月)4040
6~11(月)4040
1~2(歳)35403540
3~5(歳)40504050
6~7(歳)50605060
8~9(歳)60706070
10~11(歳)70857085
12~14(歳)8510085100
15~17(歳)851008095
18~29(歳)8510085100
30~49(歳)8510085100
50~64(歳)8510085100
65~74(歳)8010080100
75 以上(歳)8010080100
妊婦(付加量)+10+10
授乳婦(付加量)+40+45
特記事項:推定平均必要量は、壊血病の回避ではなく、心臓血管系の疾病予防効果並
びに抗酸化作用効果から算定。

ビタミンCが不足すると壊血病になることが知られています。

かつては50~60 mg/日の値が壊血病予防として設定されていましたが、成人では、ビタミン Cを1日6~12mg摂取していれば壊血病は発症しないことが分かっています。かなり少ないですね。

推定平均必要量

そこで、推定平均必要量は、心臓血管系の疾病予防効果や有効な抗酸化作用を得るために、血しょうのビタミン C 濃度が 50μmol/L 程度であれば期待できることが分かっていて、そこから出された数字です。

μ(マイクロ)は10-6、つまり100万分の1です。血しょう1リットル中に100万分の50モルのビタミンCがあればよいという意味です。

血しょうのビタミン C 濃度が 50μmol/Lを維持するためには、成人のビタミンC摂取量は 83.4 mg/日であることが分かりました。

この83.4 mg/日を成人(18~29 歳)の推定平均必要量とし、その他の数字を出しています。ビタミンCでは男女の区別はありません。

推定平均必要量は、次のように定義されています。

推定平均必要量(estimated average requirement: EAR)

特定の集団を対象として測定された必要量から、性・年齢階級別に日本人の必要量の平均値を推定した。当該性・年齢階級に属する人々の50%が必要量を満たすと推定される1日の摂取量である。(出典

推奨量

推奨量は次のように定義されています。

推奨量(recommended dietary allowance: RDA)

ある性・年齢階級に属する人々のほとんど(97~98%)が1日の必要量を満たすと推定される1日の摂取量である。(出典

目安量

目安量は次のように定義されています。生まれたばかりの子ども以外数値が設定されていないのは、実験で推定平均必要量が出されているからです。

目安量(adequate intake: AI)

推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量である。(出典

ビタミンCは1日400mgとると血しょうでは飽和する

ビタミンCはすぐに吸収される性質をもつようです。吸収率はとても高いですが、1日1g以上とると、半分以下の吸収率となり、1日400mgとると血しょうでのビタミンCの濃度は、飽和状態になり、それ以上増えないそうです。

ビタミン C は、消化管から吸収されて速やかに血中に送られる。(中略)

食事から摂取したビタミン C もいわゆるサプリメントから摂取したビタミン C も、その相対生体利用率に差異はなく、吸収率は 200 mg/日程度までは 90% と高く、1 g/日以上になると 50% 以下となる。

体内のビタミン C レベルは、消化管からの吸収率、体内における再利用、腎臓
からの未変化体の排泄により調節されており、血漿濃度はおよそ 400 mg/日で飽和する。(出典

ビタミンCをとりすぎるとどうなるか?

ビタミンCについて、過剰摂取による健康障害が発現したという報告は見当たらないと書かれていました。そのためビタミンCの耐用上限量は設定されていません。

昔からよく聞くことですが、ビタミンCは余分にとっても尿から出ていってしまうのです。そのため無駄にはなるけれど、とりすぎによる害はないといわれています。

ただし、このように書かれていました。

腎機能障害を有する者が数 g のビタミン C を摂取した条件では腎シュウ酸結石のリスクが高まることが示されている 。(中略)

通常の食品から摂取することを基本とし、いわゆるサプリメント類から 1 g/日以上の量を摂取することは推奨できない 。

最後の一文が厚生労働省の見解でしょう。1g以上の量を摂取することは推奨できないということです。

ビタミンCの過剰摂取については、改めて調べてビタミンCの過剰摂取についてという記事を書きました。結石ができるリスクについて気になる方は読んでみてください。

ビタミンCの過剰摂取と結石について
ビタミンCの過剰摂取について調べてみました。ビタミンCを毎日飲むようになり、一度に4gくらい飲むと、おならが出たり下痢しました。しかし、1g程度を1日に何度か飲んでも何ともありません。気になっていたのは結石のことですがあまり心配しなくてもよさそうです。

ビタミンCはブドウ糖より小さい

ビタミンCの化学式はC6H8O6です。ブドウ糖はC6H12O6なので、ビタミンCの方が、水素4個分、分子量が小さいです。ご存知でしたか?

私は文系で、昔の化学Ⅰしかやっていませんが、ビタミンは高校化学に(多分)出てこないので知りませんでした。ビタミンは特別な働きをするのだから、もっと複雑で大きな分子を想像していました。

ビタミンCの分子量は176です。上で「血しょう1リットル中に100万分の50モルのビタミンCがあればよい」と書きましたので、この量を計算してみましょう。

ビタミンC1モル=176です。

176×50/100万=176×50/1000000=0.0088g=8.8mgです。血しょう1リットル中に8.8mgのビタミンCが存在しているのがよい状態だということです。

ビタミンCの構造式

ビタミンC(アスコルビン酸)の構造式は図の通りです。日本人の食事摂取基準(2015年版)には一番右の構造式がでていましたが、見やすいように一番省略された書き方です。

ここでの約束事は、炭素(C)には反応する手が4本あり、基本は水素(H)と結合しているということです。そのため、水酸基(OH)や、酸素(O)、ヒドロキシメチル基(CH2OH)は書かなければなりません。

その分、水素が結合する部分は省略され、見やすくなっています。

アスコルビン酸

アスコルビン酸

まとめ

ビタミンCの話にはたいてい登場する大航海時代の壊血病。1日6~12mg摂取していれば壊血病は発症しないというのですから、船上では本当に過酷な食生活だったのでしょう。

心臓血管系の疾病予防効果や有効な抗酸化作用のために、基本的に1日100mgとっていれば十分というのが厚生労働省の見解です。

私は毎日ビタミンCをたくさん飲む実験中

私はビタミンCはたくさん摂っても問題ないと考えて、基本的に毎日4g程度飲む実験をしています。ポーリング博士の本は、少し読みにくいですが実に面白い本です。たくさん飲んでみようと思った話は、なぜ、ポーリング博士はビタミンCがもっとたくさん必要だというのかなに書きました。

なぜ、ポーリング博士はビタミンCがもっとたくさん必要だというのかな
ポーリング博士が、なぜ1日たくさんのビタミンC(アスコルビン酸)を摂った方がよいと考えたのか、ヒトを含めた霊長類以外のたいていの動物はビタミンCを合成できます。その合成量をヒトに当てはめてみたのです。

今回の記事を書いて、個人的には、ビタミンCの構造式の形を知ることができてよかったです。ブドウ糖より小さいと初めて知りました。

ビタミンCについての他の記事は、ビタミンCの記事についてをご覧下さい。

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