プロパンはどのように書いても構造異性体はできません。しかし、水素が1個置換基と変わると、構造異性体を持つようになります。
プロパンは構造異性体を持たない
アルカンのプロパンは、分子式 C3H8、構造式 CH3-CH2-CH3 で表されます。
飽和炭化水素であるアルカンの結合ルールは2つ。
- 炭素には結合する腕が4本ある。
- 水素には結合する腕が1本ある。
このルールしかないので、どんな形に書けるかためしてみました。一番上が直鎖のプロパンですが、形が変われば、構造異性体を持つことになります。
どう書いてもその下の2通りの形にしかならず、それらも延ばしてねじればもとの直鎖のプロパンになるので、構造異性体を持たないことが分かります。
プロパンをアルコールにする
実はおもしろい化学反応には、アルコールついて、このように書かれていました。
アルカンの水素を「-OH」で置き換えたものをアルコールと総称します。
私たちはアルコールと言えば飲用できるエチルアルコールのことを無意識に指しています。
しかし化学的には、炭素1個のメタンの水素を「-OH」で置き換えたメチルアルコールもアルコールですし、炭素10個であってもその水素を「-OH」に置き換えるとアルコールの仲間になります。
つまり、様々な種類のアルカンと「-OH」は結合することができ、その結合したアルカンの種類ごとに異なる性質を持つアルコールを形成できるのです。
プロピルアルコールには構造異性体がある
できるアルコールはこの2つです。プロピルアルコール(プロパノール)とイソプロピルアルコール(イソプロパノール)
プロパンには構造異性体はありませんでしたが、置換基として-OHが1つ結合すると構造異性体ができます。
イソプロピルアルコールのOHから見ると左右にCH3が枝分かれしているように見えます。
まず、端っこの炭素の水素を取り除いた場合には、そのアルキル基はプロピル基といい、ここにたとえばアルコール(-OH)を結合させると「プロピルアルコール」と呼ばれる分子になります。
一方で、真ん中の炭素から水素を取り除くと、アルカンの時にはなり得なかった炭素2個での枝分かれ構造をとることができるようになります。
このアルキル基をイソプロピル基と呼び、ここに「-OH」が結合した分子は「イソプロピルアルコール」と呼びます。
イソプロピルアルコールは、安価で酒税がかからず比較的殺菌作用が強いので、消毒用アルコールとして薬局などで市販されています。
さらに、水に溶けやすいものも油に溶けやすいものも両方除去する性質があるので、レンズクリーニング液などに含まれることが多いようです。
まとめ
プロパンには構造異性体がありません。しかし、置換基が1つ結合すると構造異性体ができるようになります。-OHが結合するとアルコールになります。
しかし、置換基は-OHに限りません。