クミンの効果:カレーに使うスパイス

クミンの効果は、下痢やお腹の張り消化不良によいといわれています。また解毒作用があり、腎臓にもよい働きをしてくれるのだとか。クミン自体、香りがとても強いものですが、熱した油に移る香りは、とてもよいです。

クミンシード

クミンを噛むと、ああ、カレー粉に入っているにおいだと分かります。かなり香りが強いです。

クミンの歴史はかなり古い

スパイスの人類史にはこのように書かれていました。かなり古くからあるスパイスみたいです。

クミンは、コリアンダーと同様に、線文字Bで書かれた銘板の香料リストに載っている。つまり、紀元前十四世紀当時、ミュケナイの宮殿の貯蔵庫でもかなり重要な品目の一つと見なされていた。

また、メソポタミアの楔形文字で書かれた銘板に、アッカド語の「カムヌ」として記されており、紀元前二〇〇〇年頃の古代エジプトでは重要なスパイスだった。

もう少し後のギリシャ人には「キュミノン」、ローマ人には「クミヌム」としてよく知られていた。

ローマ帝国後期の料理本『アピキウス』でも、先に引用した貝料理用のソースをはじめ、数多くのレシピに登場している。

クミンは、地中海地方東部および中東原産のクミヌム・キュミヌム(Cuminum cyminum)の種子である。

コリアンダーと同様に、この植物は徐々に東へ広まっていった。今でも地中海地方南部と東部の代表的な調味料であるクミンは、紀元前の数世紀の間にインドに到達したに違いない。

線文字Bってなんだろうと思って調べました。

線文字B(せんもじB、Linear B)は、紀元前1550年から紀元前1200年頃まで、ギリシア本土およびクレタ島で使われていた文字である。古いギリシア語の方言を表記するのに用いられた。(出典

つまり、かなり古い文字だということです。

下痢やお腹の張り消化不良に

まず、ハーブ&スパイス事典: 世界で使われる256種ではこのように紹介されていました。

世界でも代表的なスパイスの一つ。インドでは使う前に煎って味を引き立ててから使用する場合も。

コリアンダーと相性がよく、深煎りするほど香ばしさが増す。ミックススパイスには欠かせない材料で、サラダやピクルス、薬味としても使われている。

香りの主成分はクミンアルデヒド。アーユルヴェーダでは下痢やお腹の張り、消化不良などによいとされる。

抗菌作用がある

丁宗鐵先生編著のスパイス百科 ~起源から効能、利用法まで~にはこのように書かれていました。

スパイスの生物活性で必ずヒットするのは,抗菌作用であるが,クミンも例外ではなく,幅広い抗菌活性を示す.

このほかにも,抗腫瘍作用,脂質過酸化抑制(抗酸化作用),糖尿病抑制作用,T細胞免疫応答の調整作用などがある.

中枢神経に対して,クミンを投与したマウスではモルヒネ作用が抑制されるといい,モルヒネ依存性が軽減できる可能性が示されている.

このほかにもクミンには鎮痛作用の報告がある.さらには女性ホルモン様作用もあるとされ,クミンの植物ステロールが骨粗しょう症の改善に役立つ作用があるという.

このほかにも,消化管の蠕動(ぜんどう)運動を高めたり,血小板の凝集を阻害する作用などの有益な報告が多数ある.いずれも脂質代謝異常や生活習慣病の改善に役立つと考えられるエビデンスであり,スパイスが薬用として用いられてきたことがうなずける。

腎臓をケアする

インドごはんではこのように紹介されています。料理を職業とする人の紹介文は面白いです。こちらの説明が一番わかりやすいと思います。

「身体のフィルター、腎臓をケアする」

駆風作用、これをどう説明するかをいつも考えているのですが、こう言ってみてはどうでしょう。病を起こす原因が身体に滞らないように、身体の中を駆け巡る風を吹かせる働き・・・。

クミンは日本名は「馬芹(ばきん)」。せり科の植物です。健胃剤としても優れていて下痢や腹痛の薬にもなります。

私はどうも胃の具合が良くないなと感じたらクミンを炒ってから薫り高く粉に挽き、ライタ(ヨーグルトに野菜を和えたもの)やサラダを作ります。

また、豆の料理はお腹にガスがたまりやすいものです。ですから、そんな料理には必ずこのクミンを油に抽出して身体の風通しを良くするわけです。

料理に使うときには焦がさないで最大限に香りを引き出して下さいね。

そしてもう一つ大切なのはこのクミンが腎臓をケアするということです。腎臓の働きとは、簡単に考えて身体をキレイにするフィルターのようなものと私は考えています。

排泄されていく前のこの機能は人にとってとても大切なものですね。クミンが泌尿器系疾患や糖尿病の薬としても効果があると言われているのもうなずけます。

この方の書かれた通り、豆カレーにはクミンシードを使います。

恋人の心変わりを防ぐ(?)

スパイス入門 (食品知識ミニブックスシリーズ)にはクミンについて面白いことが書かれていました。

中世期のヨーロッパでは、クミンは男女間の貞節を象徴するものと考えられ、恋人の心変わりを防ぐものと信じられた。

このため、恋人同士が結婚式をあげる時、ポケットにクミンを忍ばせて臨む風習も生まれた。

この風習は、神秘的な芳香を持つクミンを上手に使って料理のできるような花嫁は、夫を確実に身近に引き止め、浮気をさせない腕前を持っているということを意味し、花婿の方は妻の貞節を信司、自らも浮気をしないで、充分な量のクミンと料理の材料を家に持ち帰るくらいに妻に忠実でなくてはならないという意味が含まれていたという。

いまどきのいい方に変えると「胃袋をつかむ」ということなのでしょうか。

まとめ

私は渡辺玲さんのカレーな薬膳を10年以上教科書にしています。その中でもムングダルカレーをよく作ります。

カレーな薬膳はレシピ本としても読み物としても楽しいという記事に詳しく書きました。

最後の仕上げに、フライパンにバターひとかけを入れて、そこにクミンシードを加えてパチパチいいはじめたら、焦がさないようにして、それをカレー本体に移す作業があります。

バターに溶けたクミンシードの香りは何ともいえないよいものです。そして、クミンシードが入ったバターを加えると、ムングダルカレーにはコクが加わってとてもおいしくなります。

ムングダルカレーを作るたびに、クミンシードが重宝されてきたスパイスだったんだろうなあと思います。

スパイスカレーについては、スパイスカレーを自分でつくって食べようを読んでみて下さい。

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