水野仁輔さんのカレー本、「まぼろしカレー」はとてもよかった。

水野仁輔さんのいまはなき名店に学ぶ! まぼろしカレーを読むと、本当にカレーがお好きなんだなとわかります。カレーが好きな私にはレシピはもちろんのことですが、、玉ねぎを炒める時に塩を足すこと。ジャムをかくし味に使う。肉の表面を焼いてもあまり意味がないこと。スパイスカレーにちょっとだけルウを入れること。カレールウをお湯で溶いておいて炒めた具材に混ぜればすぐにカレーができることが実に参考になりました。

いまはなき名店に学ぶ! まぼろしカレーを読みました。

書店でパラパラしただけで、面白い本だとわかりました。

この本は、「いまはなき名店にまなぶ」とあるように、過去の名店のカレーの魅力を語りながら、水野仁輔さんがその店の代表的なカレーを、オマージュカレーとして考えられたレシピを教えてくれる本です。横文字が多いですが、ウイキペディアによるとオマージュとはこんな意味です。

オマージュ(英語: hommage)は、芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる。

読んでいると、水野さんは本当にカレーが好きなんだなということが伝わってきます。

レシピはともかくとして、カレーを食べるのも作るのも好きな私にとって、実に参考になることがいくつも書かれていたので、メモ代わりに書いておきます。

塩はどうして重要なのか

章末に水野流おいしさの秘訣がありますが、これが本当に興味深いことが書かれています。

たとえば、「塩はどうして重要なのか」にはこんなことが書かれています。玉ねぎを炒めるときこれから塩を振ることにします。玉ねぎには結構水分があるので、すごくわかる話です。

インド人シェフが料理をするときに何度も目撃し、疑問を持ったのが、鍋に塩を投入するタイミングについてだった。みじん切りやスライスにした玉ねぎを加え、さあ炒めようというときにパッと塩を振る。

玉ねぎが炒め終わり、パウダースパイスを加えるときにまたパッと塩が入る。いったい何をしているんだろう?(中略)

玉ねぎと同時に加える塩は、脱水効果を狙っている。玉ねぎの中に含まれる水分を抜くことで火の通りやすい状態を作る。さらに水分が外に出るということは、一緒に玉ねぎの味わいが抽出されるということになる。

パウダースパイスと同時に加える塩は、香りや辛味の引き立て役である。スパイスの個性が塩によって引き出されるなんて、これまで教えてくれる人はいなかった。

香りと塩の関係を考えたことはないのですが、辛味と塩は関係が大いにあります。辛味が強い時、塩を加えていくとバランスが取れるのです。逆に塩っぱいなと思った時は、カイエンペパーを少し入れるとバランスが取れることはよく経験します。

ジャム、バター、唐辛子、にんにく4種の神器でうまくなる

ジャムはいままで一度も使ったことがありません。べつなところに「フルーツの香りは時にカレーの風味の邪魔をすることも知った」と書かれているので、ごく微量なんだろうと思います。

ジャムの甘味、バターのコク、唐辛子の風味と辛味、にんにくの香味。この4点セットは、カレーをおいしくする要素がバランスよくそろい、かつメインの味を邪魔しない万能のかくし味だ。「かくし味はかくして使え」が鉄則。”過ぎたるは猶及ばざるが如し”。食べた人に「ジャム入れたね?」と指摘されたら失敗だということを肝に銘じて。

肉の煮込みは、弱火で、優しく、ていねいに。単純だが基本中の基本

実は、一昨日カレーを作った時、肉だけ別にフライパンで表面を焼いてからカレーに入れたのですが、効果は?でした。なるほどなあ。煮込みの温度だけが重要なんだな。

火を弱めれば肉はやわらかくなり、火を強めれば肉は硬くなる。これが鉄則。多くの人が誤解していることだが、肉の表面を焼いてもうま味は閉じ込められない。長時間煮込みすぎれば肉の味はソースに出ていく一方になる。じっくりていねいに煮込む。でも煮込みすぎない。一度冷めたカレーを温めるときも強火は禁物と考えよう。

スパイスは個性ルウはバランス役割分担を明確に

スパイスカレーとカレールウを使ったカレーは、まったく別のおいしさがあります。今までは、それぞれ全く別なものを作ると考えていました。スパイスカレーにルウを少し足してみるなんて考えたことがなかったです。しかし、面白そうです。

カレールウはうま味の宝庫だが、一方でスパイスには、「味付け」という作用はない。この違いをしっかり把握することが肝心だ。ルウを加える直前に味見をしておき、ルウを溶かし混ぜたあと、前後の味の違いを確認しよう。カレールウのうま味は非常に強いため、少量でもカレー全体の味わいを支配してしまう。適量を加えることが、イメージする味わいにまとめるための秘訣。

具を炒め、ソースを合わせればあっという間!

カレールウーを使ってカレーを作る時は、じゃがいもがレギュラーメンバーです。4つに切ったじゃがいもを入れないとカレーができないと思っていました・・・。

しかし、生でも食べられる野菜を使うか、下ゆでしてある野菜を用意して、にんにくを炒めた後、肉を焼いて、そこに野菜を加えて、カレーソースを加えたら・・・。長時間煮込まなくてもあっという間にカレーができますね。

市販のカレールウをあらかじめ湯で溶いておくというのは、やったことのないない人には違和感のあるプロセスかもしれない。でも、味見をしてみるとわかる。カレールウは溶いただけでもおいしく味わえるのだ。ソースができたら、あとは食べたい具を炒めて合わせればいい。僕が炒(チャー)カレーと呼んでいるこのスタイルは理にかなっていると思う。

NOTE

一番最後の、カレールウをお湯で溶いておいて、具材を炒めた後に、それを加えるという方法。すごくいいなと思いました。カレーは大量に作る楽しさもあるのですが、当然、だんだん味が落ちてきます。これはよいことを知りました。

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