果糖がよくない理由を調べてみた

この記事では、砂糖(ショ糖)を食べるとコレステロールが上がりやすくなること。それは、果糖が原因になっていること。さらに、果糖がからだの中でブドウ糖とは別に代謝されることと、大量の果糖は体に負担になることを調べました。

果糖(フルクトース)は、名前は知っていました。ジュースの甘味料を見ると、果糖ぶどう糖液糖なんて書いてます。単糖類だから、ブドウ糖と似ていて、からだのエネルギー源として燃やされるのだと思っていました。

砂糖

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砂糖を使うとコレステロール値が上がるがその原因は果糖だった

ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)には、砂糖とブドウ糖の違いについてこんな実験が書かれていました。まずはじっくり読んでみてください。

体内でショ糖の代謝が行われると、第一段階として等量のブドウ糖と果糖が生じる。ブドウ糖は、すぐ次の代謝段階に進み、体脂肪の生化学機構にエネルギーを与える。

果糖は、一部異なった代謝経路をへて酢酸(アセチルCoA)を生じるが、これはコレステロールの前駆体で、肝臓の細胞でコレステロールに合成される。

信頼できる臨床研究によって、ショ糖の摂取がコレステロールの血中濃度を高めることが明らかになっている。この重要な研究は、ミルトン・ウィニッツらによって、一九六四年と一九七〇年に報告された。

一八人の研究対象者は、いずれも六ヵ月の実験期間中ずっと部屋に閉じ込められて、他の食物を手に入れる機会はなかった。

そして、ふつうの食事をとる準備期間を経た後、化学的成分の明らかな特別食(一七種のアミノ酸、少量の脂肪、各種のビタミンと必須ミネラル、および唯一の炭水化物としてブドウ糖)を与えられた。

すると生理学的に意味のある変化がみられ、一八人の血清中のコレステロール濃度が急速に低下したのである。

コレステロールの平均濃度は、ふつうの食事をしていた最初の期間、一〇〇ミリリットルあたり二二七ミリグラムだったのが、二週間のブドウ糖食で一七三に低下し、その次の二週間で一六〇になった。

次に、ブドウ糖の四分の一をショ糖に置き換えた特別食が与えられた。すると、一週間たらずで平均コレステロール濃度は一六〇から一七〇に上がり、さらに二週間後には二〇八になった。

次いで、ショ糖がブドウ糖に置き換えられた。一週間以内に平均コレステロール濃度は一七五に低下し、その後も低下しつづけて一五〇になった。最初の数値からすると七七も下がったのである。(中略)

ショ糖は二糖類で、体の中で分解されると、ブドウ糖と果糖になります。この実験で、全てブドウ糖になるとコレステロールが下がることがわかります。

念入りな実験ですね。与えるブドウ糖の1/4をショ糖に替えて、コレステロールが上がることを確認し、またすべてブドウ糖に戻してコレステロールが下がることを確認しています。

ショ糖を食べているとコレステロールを上げる原因は、分解されてできる果糖にあります。

糖からもコレステロールができる

甘いものを飲んだり食べたりしていると、コレステロールが増える・・・。数ヶ月前まで、私はそんなことがあるとはまったく知りませんでした。

コレステロールは肉や卵にたくさん含まれています。いわゆる動物性たんぱくや脂肪をとり過ぎ、もっというなら、焼肉や牛丼を食べ過ぎている人に関係があることだと思っていました。

コレステロールは、肉や卵を食べると、もちろん体の中に入ってきます。しかし、体の中では常時、もっとたくさんのコレステロールが作られています。

アセチルCoA

体の中でコレステロールが作られるとき、アセチルCoAという物質から作られます。

アセチルCoA

アセチルCoA

赤文字のS-CoAは、補酵素Aと呼ばれるもので、実際はもっと複雑な構造の物質なのですが、体の中の反応では、「運び屋」になるだけで何の反応も受けません。

実質、コレステロールの材料になるのは、CH3CO-の部分です。アセチル基と呼ばれます。ちなみにこれに水酸基-OHを足すと、CH3COOH、家庭で使っているお酢の主成分、酢酸になります。

体の中の反応は、水H2Oが関与することが多く、水素Hや水酸基OHがついたり外れたりすることがよくあります。

つまり、アセチルCoAは、体の中での酢酸のことなのです。アセチルCoAは果糖ばかりでなく、ブドウ糖からも作られます。さらに脂肪からも作られます。調味料のお酢は、酸味を足すだけの脇役ですが、体の中ではなかなか重要な物質なのです。

下の記事は化学式だらけなので読む必要はないと思いますが、アセチルCoAからコレステロールができる過程を説明してあります。

コレステロールの生合成はアセチルCoAからスタートする

油とコレステロールは脂質ではありますが、別なものだと思っていました。しかし、コレステロールは、アセチルCoAから生合成されるのです。関係がないどころか、関係が大アリです。コレステロールがアセチルCoAからどのような反応をへて合成されるか書い

次は、果糖がどのように体の中で代謝されていくのか調べてみましょう。

ショ糖はブドウ糖と果糖に分解される

ショ糖の構造式は、下図の通りです。2通り書いてあります。上は炭素を省略しないで書いたもの。下は炭素を省略して書いたものです。両方とも同じショ糖の構造式です。

  • 構造式は見やすくするために、分かりきっている元素は省略されます。
  • 炭素(C)に水素(H)が結合しているのが当たり前なので省略されます。
  • 図の下の構造式でも水素(H)が書かれていますが、書かなくてもよいのです。
  • -Oや-OHや-CH2OHはこの規則から外れるので、必ず書かなければなりません。
ショ糖

ショ糖

構造式を見ると嫌な気分になる方も多いでしょう。私も以前は下のような環形の構造式を見ると、特に嫌な気分になりました。

構造式を見れば一発で分かる

しかし、なぜ構造式を載せたのかというと、ショ糖はブドウ糖と果糖からできていて、結合している手が切れると、簡単にブドウ糖と果糖に戻ることを見ていただきたいからです。

覚える必要はありません。

ショ糖は二糖類です。消化されると単糖類のブドウ糖と果糖に分解されます。形を見ただけで、真ん中の酸素(O)から切れそうですね。その通り。

加水分解(文字通り水が加わる)して、ブドウ糖と果糖になります。

この通り。手をつないでいたところにある酸素(O)に水H2Oが加わって分解すると、それぞれ、ブドウ糖と果糖になります。

ショ糖の分解

ショ糖の分解

果糖の代謝経路

ブドウ糖も果糖も上でふれたアセチルCoAまで分解されて行きますが、その経路が少し違っています。

イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書29版にはこのように書かれていました。重要なところは黄色いマーカーを引いてあります。また、別記事で説明することは、緑のラインマーカーを引いてあります。

スクロース(ショ糖)または高果糖(フルクトース)シロップを多く含む加工食品や飲料を摂取すると、肝門脈に大量のフルクトース(およびグルコース)が入っていく.

フルクトースは、ホスホフルクトキナーゼによって触媒される調節段階を通過しないので、肝臓においてはグルコースよりもより早く解糖作用を受ける.

このため、フルクトースは肝臓の代謝経路に大量に流れ込み、脂肪酸合成、脂肪酸のエステル化、超低密度リポタンパク質(VLDL)分泌の増加をもたらす.

その結果、血清のトリアシルグリセロール濃度は上昇し、最終的にはLDLコレステロール濃度が上昇する.

肝臓、腎臓、腸にはフルクトキナーゼ(fructokinase)という特殊なキナーゼが存在し、フルクトースをリン酸化してフルクトース1-リン酸を生成する.

この酵素はグルコースには作用せず、グルコキナーゼとは異なり、その活性は絶食やインスリンによって影響されない.

それゆえ、フルクトースは糖尿病患者の血中から正常な速度で除去される.フルクトース1-リン酸は、肝臓に存在するアルドラーゼB(B aldolase)によって分解され、D-グリセルアルデヒドとジヒドロキシアセトンリン酸となる.

図を見ながら説明しましょう。

果糖の代謝

果糖の代謝

食事→D-フルクトースがスタート地点です。D-フルクトースは果糖です。

果糖はD-ソルビトールを経て左回りに反応が進むと、D-グルコース(ブドウ糖)になり代謝されますが、ここでは触れません。

また、果糖(D-フルクトース)から破線(—-)でフルクトース6-リン酸まで経路がついていますが、これも無視してください。(筋肉の場合の経路です)

果糖の代謝は、下に向かって進むとお考えください。

果糖の他、もう一つ注目すべきは、D-グルコースです。ブドウ糖です。D-グルコースから左回りに降りていってピルビン酸に至る経路は、解糖系です。解糖系は高校生も生物で習います。

ピルビン酸の次にアセチルCoAがつくられます。

また、青い下地に書かれているのは代謝に関係する酵素の名前です。

解糖系の中に、ホスホフルクトキナーゼという酵素があります。この酵素は解糖系の速度調整をするために主要な役割を果たしています。

果糖の代謝にはブレーキがかからない

一方、果糖は、最終的に解糖系に入りますが、見ていただければお分かりの通り、解糖系の速度調整をするホスホフルクトキナーゼが働く段階を飛ばし、その次段階以降の物質から解糖系に入って来ます。

さらに、果糖の代謝は、インスリンの影響を受けません。ブドウ糖はインスリンが欠乏していると細胞内に取り込まれませんが、果糖は関係ありません。

つまり、果糖の代謝はブドウ糖の代謝に比べるとブレーキがかからないのです。

そのため、果糖の場合は、必要な量よりも多くのピルビン酸(とアセチルCoA)がつくられることになります。

肝臓では、余ったアセチルCoAから脂肪酸から中性脂肪(トリアシルグリセロール)、そしてコレステロールの合成が促進されます。

ブドウ糖がアセチルCoAになり、そこから中性脂肪の部品となる脂肪酸ができるまでは、ブドウ糖を脂肪酸に変えるで書きました。

光合成は、植物が二酸化炭素と水からブドウ糖を作る仕組みでした。ブドウ糖はエネルギーとしてTCA回路に入って燃やされるのが原則です。しかし、もし、エネルギーが余っていたらどうなるでしょう?そこから先は植物も動物も変わりません。私がビールを飲ん

超低密度リポタンパク質(VLDL)についてはVLDLからコレステロールを配るLDLへという記事で説明しています。

この記事では、食べ物からではなく、肝臓で作られたコレステロールと中性脂肪(TG)がどのように組織に配られるのか。VLDLができ、LDLに変化し、LDLが肝臓に戻ってくるまでを説明します。この記事は、カイロミクロンは中性脂肪(TG)を配るの続

ヒトの体は大量の果糖代謝に慣れていない

砂糖がヨーロッパで一般市民にも普及したのは19世紀末からだそうです。日本では、昭和に入って砂糖の自給ができるようになり、1939年頃に2010年頃の消費量と変わらない水準に達したそうです。(出典)意外と最近の出来事です。

もちろん、果糖は、果物に含まれる糖ですから体にはなじみがあるものです。しかし、砂糖を食べて体の中でできる果糖の量は、過去に経験していない量で、そこに問題があるようです。

再びポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー)から抜き書きします。

デンプンが唾液や胃液の酵素によって消化されると、小さい分子のブドウ糖に分解される。このブドウ糖は、腸壁を通り抜けて血流の中に入った後、身体中の細胞に運搬される。

そこで燃えてエネルギーを供給し、このエネルギーによって人は生化学的機能を働かせ、仕事をし、体温を保つのである。

食物の中にあるブドウ糖も血流の中に入り、同じような働きをする。人間とその祖先は、何百万年にもわたって毎日三〇〇グラム程度のブドウ糖を代謝させてきたのである。

果糖の場合はブドウ糖とは違う。人類は、果物や蜂蜜から、ある程度の量の果糖をとってきた。約二〇〇年前までは、果物の一日平均摂取量は、ひじょうにすくなく八グラム程度にすぎなかった。

その後、サトウダイコンやサトウキビから製造した砂糖(ショ糖)が一般に使われ始め、果糖の摂取量は、今日では一〇倍に増えて一日七五グラムになっている。

このように果糖の摂取が著しく増えたのは、砂糖が消化されるときに水と反応して等量のブドウ糖と果糖になるからである。

ショ糖一〇〇グラムから、ブドウ糖五三グラムと果糖五三グラムが生じるのであり、これこそ、ショ糖が二糖類といわれる所以(ゆえん)である。

米国人は、年に約一〇〇ポンド(約四五キロ)の砂糖(ショ糖)を食べる。これは、一日一二五グラムにあたり、消化されると一日六六グラムの果糖をとったことになる。

果物や蜂蜜からとる約八グラムを加えると、果糖の一日平均摂取量は七四グラムになるのである。

人の身体は、果糖を一日に八グラムしか代謝しないように慣らされていた。したがって、その一〇倍近い負担がかかれば問題が生じるのは当然だろう。

人類がこのように大量の果糖を摂取するようになったのは、ほんの前世紀初頭からのことであり、この大量摂取が多くの病気の遠因となっていることは間違いない。

日本人はこんなに砂糖は摂ってないと思います。ひどく太った人はほとんど見ませんから。しかし、このような極端な話を読むと、果糖をとり過ぎないようにしようと思います。

まとめ

ずいぶん前、もう10年以上前のことですが、砂糖はよくないがブドウ糖には害がないと聞いたことがありました。しかし、どちらも血糖値を上げることに変わらないのに、なぜ砂糖がよくないのだろうと思いました。

白砂糖はよくないが黒砂糖ならミネラルが入っているからよいという話も時々聞きます。たしかに黒砂糖の方が吸収のスピードが緩やかになるのかもしれません。

しかし、砂糖は白くても黒くても分解されると必ずブドウ糖と果糖になります。

果糖は、代謝にブレーキがかからないので、脂肪やコレステロールに変わりやすいようです。これは初めて知りました。

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