シナモンの効果は、発汗や去痰作用があり、体を温めて、血行促進、鎮静、鎮痙、抗菌、利尿作用などがあります。シナモンにはセイロンシナモンとカシアがあり、カシアの方が安いです。ただ、摂り過ぎると害があるクマリンの含有量はカシアの方がずっと多いので、少しご注意下さい。
シナモンは京都のお菓子八つ橋のにおいです。アップルパイを食べても使われているのがわかります。カレーにもよく使います。
発汗や去痰作用
ハーブ&スパイス事典: 世界で使われる256種を読むと大まかにわかります。
15~16世紀の大航海時代、探検家たちが探し求めた最初のスパイスの一つ。聖書にも古代エジプトで使われていたという記述がある。
インド料理のスパイスミックスにもよく使われる。モロッコのタジンなど羊肉を使う料理にもよく合い、シナモントーストはもちろん、フルーツコンポート、ケーキなどにもおすすめ。
香味果実酒用のスパイスとしても利用。ポプリやお香、香り玉などにも使われている。アーユルヴェーダでは、循環器の流れの強化や調整に効果的なハーブ。
発汗や去痰作用があるので、風邪やインフルエンザのときには特に有効。生薬名は「桂皮」で、精神の不安症状の緩和、婦人科系の代謝不全の改善、鎮痛などに有効とされ、風邪薬や解熱鎮痛剤、強壮薬、婦人薬などに処方される。
血行促進、鎮静、鎮痙、抗菌、利尿作用
世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典にはこんな説明が書かれていました。
クスノキ科の常緑樹の乾燥させた樹皮。特有の芳香と甘味があり、スパイスとして料理やお菓子に幅広く使われています。
薬効成分であるシナモンの精油には、血行促進、鎮静、鎮痙、抗菌、利尿などの作用が報告されています。
さらに効能についてこのように書かれていました。
冷えから起こる腹痛や生理痛に
体を温める効果が非常に強いスパイスです。特に下半身を温め、下肢のだるさや痛みを和らげる効果があります。
冷えからくる腹痛や足腰の痛み、頻尿、下痢などにも有効。発汗作用もあり、風邪で熱が出たときに汗を出して熱を下げます。
また、血行をよくする作用があることから、冷え性や、生理痛、更年期に起こる冷えとのぼせの緩和にも有効です。
古代から万能薬
丁宗鐵先生編著のスパイス百科 ~起源から効能、利用法まで~にはこのように書かれていました。
頻繁に出てくるシンナムアルデヒドとはシナモンの精油に含まれる主要成分のことです。
微生物の増殖を防ぐ作用があるため,肉の保存料として用いられた.芳香性健胃,発汗,解熱の効果を持ち,古代から感染症,関節炎,呼吸器疾患,消化器疾患など幅広く使用され,万能薬と考えられていた.
消化器系・肝臓への作用
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者にシナモンを摂取させたところ,糖代謝,血清脂質濃度,高感度CRP(炎症によって増加するタンパク質を検知する検査)の改善が見られた.
BMI,ウエスト径,HLDコレステロール値には影響が見られなかった.
糖尿病・内分泌への作用
Ⅱ型糖尿病に対する有効性に対しては有効性を認めたとする報告と認めなかったとする報告があり,さらなる検証が必要である.
鎮静作用
シンナムアルデヒドには自発運動およびメタンフェタミンによって亢進された運動の抑制作用,ヘキソバルビタールによる麻酔時間の延長作用が認められた.
発汗解熱作用
水製エキスおよびシンナムアルデヒドにはウサギ,マウスの実験的発熱に対して著明な発汗解熱作用が認められた.
末梢血管拡張作用
シンナムアルデヒドはイヌおよびウサギに対して末梢血流量の増加を示した.
鎮痙作用
シンナムアルデヒドにはマウス,ラット摘出小腸のアセチルコリンとヒスタミンによる収縮に対する鎮痙作用が認められた.
抗潰瘍作用
桂皮エキスには胃液分泌抑制作用,潰瘍形成抑制作用が認められた.
抗腫瘍作用
水溶性多糖体に,サルコーマ180腫瘍細胞の腹腔内移植マウスに対する延命作用が認められ,エールリッヒ腹水がん細胞の移植マウスに対する腫瘍抑制・腫瘍発育遅延作用が認められた.
抗菌作用
精油,シンナムアルデヒドに糸状菌発育抑制殺菌作用,結核菌発育抑制作用,赤痢菌・ブドウ球菌・大腸菌・酵母菌・カンジダに対する発育抑制作用が認められた.
シナモンとカシアの違い
私はカレーを作るのが趣味なので、定期的に、GABANのシナモンスティック100gを乾物屋さんに注文して取り寄せてもらいます。ある時、いつもより高いので、「あれ、なんで?」と聞いたら、セイロンシナモンを取り寄せてくれたのです。
それで、いつもはシナモンカシアを買っていたのだと初めて気がつきました。
香りはカシアの方がやや強いです。そして、とても硬い。短く手で折ることは不可能だったので、料理用はさみで切って使っていました。シナモンセイロンは、やわらかくて手で自由に折れます。そして少し軽い感じがします。
過剰摂取に注意
甘いにおいがするシナモンは、体を温めるので、紅茶に入れて飲むとよいとテレビで紹介されているのを見たことがあります。しかし、シナモンにはクマリンという成分があり、これは過剰摂取するとよくないので注意が必要です。
シナモン含有食品中のクマリンについてという東京都の文書があります。クマリンについてこのように書かれていました。
近年、シナモンの過剰摂取により肝障害を誘発することが指摘され、BfR(ドイツ連邦リスクアセスメント研究所)では、2006 年、シナモンの過剰摂取は健康リスクを否定できないとして、クマリンの耐容一日摂取量(TDI)を 0.1mg/kg/day と設定した。
カシアにはクマリンが多い
同じシナモンでも、カシアの方がクマリンはずっと多く含まれています。
TDI 値と今回の検査結果(クマリン平均濃度)を基に、各シナモンの 1 日許容量を試算すると、セイロンシナモンでは 364.58g であり、カシアは 1.53 g、特にベトナム産カシアは 0.92g であった。
通常の平均的な食事をする限りでは、最も高いクマリン濃度を示したカシアを摂取したとしてもTDI 値を超えることはないと考えられる。
クマリンを許容量まで摂るとすると、セイロンシナモンで364gに対し、たとえばベトナム産でカシアではわずか0.92gになります。
カレーに使う場合、気になる方は、セイロンシナモンを使うようにすれば大丈夫だと思います。
まとめ
シナモンの最大の生産国はスリランカで、ほかにインドで生産されています。カシアは中国、ベトナム、タイ、インドネシアで生産されています。
スパイスをサプリメントのように使うのはとり過ぎになることがあるので、料理に使うのがよいと思います。
特に、シナモンの場合、ベトナム産のカシアにはクマリンがたくさん含まれているので、シナモンパウダーを使う方は、シナモンなのかカシアなのか確かめた方がよいと思います。
スパイスカレーについては、スパイスカレーを自分でつくって食べようを読んでみて下さい。