スピルリナはどんな条件で培養できるのだろう?調べてみると、pH8.5~11のアルカリ性の環境で、温度は35~37℃の高温を好み、この条件が他の微生物の生育に好適でないため、スピルリナが独占的に増えることがわかりました。
スピルリナの生育条件
スピルリナの生育条件はどのようなものか、FAO(国連食糧農業機関)の文書で大まかに知ることができました。
A REVIEW ON CULTURE, PRODUCTION AND USE OF SPIRULINA AS FOOD FOR HUMANS AND FEEDS FOR DOMESTIC ANIMALS AND FISH (人間のための食品としてのスピルリナの栽培、生産、および使用と家畜動物および魚類の飼料に関するレビュー)
この中にある、3.2 Natural habitat, source and growth(自然の生息地、源流と成長)で生育条件について詳しく書かれていました。
今回、DeepLを使って翻訳しました。今のところ、グーグル翻訳よりも高性能です。
アルカリ性の強い塩が溶けた水でよく育つ
スピルリナの培養条件は、アルカリが高い塩が溶けた水でよく育ちます。1Lあたり30g以上と濃いのが特徴です。ただし、塩は食塩(塩化ナトリウム NaCl)のことではありません。食塩を溶かした水は、どれだけ溶かしても中性(pH7)です。
スピルリナは、他の生物には好適でないアルカリ性が強い水の中で育つので、独占的に増えることができます。
スピルリナは、アルカリ性の湖で繁栄します。そこでは他の微生物は生存が困難であるか不可能です。自然の湖では、限られた栄養素の供給では、通常、成長サイクルを制限します。
新たな養分は、水域内からの湧水、河川からの養分の流入、汚染からの流入のいずれかから供給される。藻類は急速に成長し、最大密度に達し、養分が尽きると枯渇する。
分解された藻類が自分のもつ栄養素を放出する時、またはより多くの栄養素が湖に流れ込む時に、新しい季節のサイクルが始まります。
スピルリナは、土壌、沼地、淡水、汽水、海水、温泉で発見されています。
高pH(8.5~11.0)であるアルカリ性の塩水(>30 g / l)は、特に熱帯の高地で太陽放射の高いレベルがあるところでは、スピルリナの良好な生産に適しています。
Spirulina platensisとSpirulina maximaは、アフリカとメキシコの高アルカリ性の湖で繁栄します。そこでは、シアノバクテリアの集団が実質的に単一種になっています。
高pHと水の導電率が高いほど、Spirulina種の優位性が高くなります。
水の導電率が高いというのは、小学生の時の実験で、塩水が電気をよく通したことを思い出してください。真水は電気を通しませんでした。
これは、東アフリカのリフトバレー湖にある湖の場合です。そこではpHが11に近い値になり、炭酸ナトリウムが豊富です。
Spirulina platensisは、1リットル当たり85から270グラムの塩を含む水から分離され、最適な成長は、1リットルあたり20~70グラムの塩を含む水で起きる。
比較的高い細胞質のpH(4.2〜8.5)は、この微生物の能力を説明することができるかもしれません。それは、高アルカリ性のpH値でアンモニアをチッ素源として利用することです。
培養に有機物は不要だが光合成を行うため光は必要で高温を好む
スピルリナは光合成を行う独立栄養生物なので、有機物は必要ありません。光は必要です。35℃~37℃という高温の環境を好みます。水温ですからかなり高いです。
スピルリナは、ほとんどの藍藻類のように、完全な光合成独立栄養生物です。言い換えれば、それは有機炭素化合物を含む培地上でかつ、暗闇の中で成長することはできません。それは光の中で二酸化炭素を削減し、主に硝酸塩を同化します。
スピルリナ光合成の主な同化産物はグリコーゲンです。
スピルリナは、実験室条件下では35~37℃の間で最適な成長を示します。屋外では、数時間39℃までの温度の増加は、藍藻やその光合成能力を害しないと思われる。スピルリナの好熱性または耐熱性の株は、35〜40℃の間の温度で培養することができます。
このような特性は、微生物的な中温度条件の汚染物を排除することができる。
スピルリナの成長が行われる最低温度は日中に約15℃です。夜には、スピルリナは比較的低温に耐えることができます。紫外線に対するスピルリナの抵抗性はむしろ高いようだ。
どんな組成の塩水なのか?
ところで、実際のところ、どのような組成の培養液を使って培養されているのか知りたくなりました。特許を調べてみると、特開2002-262858「藍藻類の培養方法」に一例が載せられていました。
海洋深層水10vol %及び真水90vol %で構成した培養液を入れ、そのpHを9~11に調整した後、この培養液中にスピルリナを入れて前記運転条件で運転してスピルリナを培養した。培養液組成は次の通りであった。
炭酸水素ナトリウム 16wt% | 水酸化ナトリウム 1wt% |
硝酸ナトリウム 2wt% | 硫酸カリウム 1wt% |
塩化ナトリウム 1wt% | 第二燐酸カリウム 0.5wt% |
硫酸マグネシウム 0.1wt% | 塩化カルシウム 0.05wt% |
硫酸第一鉄 0.02wt% |
vol %とは、「体積で考えたときの濃度」です。vol は volume(体積)のことを表します。vol%は「ボリュームパーセント」と読みます。
海洋深層水10 vol %で、真水90 vol %ですから、たとえば、海洋深層水100mlに真水を900ml足して1Lにすればよいという計算です。
次に、表に出てくるwt%とは、「重さで考えたときの濃度」のことです。wt は weight(重さ)です。wt%は「ウェイトパーセント」と読みます。
たとえば、炭酸水素ナトリウム 16 wt%というのは、溶液全体が100gの時、炭酸水素ナトリウム(これ重曹のことです)が16g溶けているという意味です。
NOTE
スピルリナが面白そうだなと思って調べているのは、将来、家庭で培養するキットが普及するのではないかと思っているからです。光は絶対に必要ですが、たとえば上の表に載せた組成の培養液を用意すれば培養可能になります。
今は健康食品の一つですが、昔、クロレラがそうだったようにタンパク源として期待できるのではないかと思っています。食用にしないことが条件ですが、栽培キットもあります。また、今は生スピルリナも入手できるようになりました。
スピルリナって自分で培養できるのかな?という記事で紹介しています。