スピルリナの栄養成分

スピルリナの詳しい栄養成分が知りたいと思っていましたが、日本ではなかなか見つかりません。ふと、アメリカ農務省ならデータベースがあるのではないかと思ったら、FoodData Centralというのがありました。

スピルリナ

スピルリナの栄養成分を詳しく知りたいと思った

スピルリナの栄養成分が知りたいと思いましたが、日本食品標準成分表2015年版(七訂)には当然のことながら出ていません。メーカーのサイトを見てもきちんと公開されているのが見つけられず、中には明らかに間違っているのもありました。

FoodData Centralがあった

そこで、アメリカの農務省にも、きっと栄養成分を調べることができる食品データベースがあるだろうと思って調べるとありました。

FoodData Central

FoodData Central

これに「spirulina」と入れると、検索結果がたくさん出てきます。どうも、上から2番目に出てくる「Seaweed, spirulina, dried」が乾燥させたスピルリナの基本データのようなので、これを使いました。

まだ、使い方がよくわかっていないのですが、サプリメントなど販売されているものの分析結果も見られるようです。さすがサプリメントの国です。ものすごく詳しくわかります。リコピンやルテイン、テオブロミンまで項目があります。

たんぱく質が全体の約60%を占める

スピルリナの栄養成分の特徴は、乾燥物100gあたり57g、約60%がたんぱく質であることです。次いで炭水化物が約24%、脂質が約8%を占め、灰分が約6%を占めます。

アミノ酸には必須アミノ酸が全て含まれる

たんぱく質を構成するアミノ酸は表を見ていただければ確認していただけますが、必須アミノ酸9種類(バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、リジン(リシン)、フェニルアラニン、トリプトファン、スレオニン(トレオニン)、ヒスチジン)は全て含まれています。

炭水化物のうち食物繊維は4g程度

炭水化物は、約24gありますが、そのうち約4gが食物繊維です。

脂質は全体の8g程度

飽和脂肪酸は2.5g、一価不飽和脂肪酸は0.7g、多価不飽和脂肪酸は約2gです。そのうち、リノール酸とα-リノレン酸の比率は、3:2なのでバランスも悪くありません。

ナッツ類のように全脂肪酸の50%以上をリノール酸を占めるようなことを考えると、よい比率だと思います。

ミネラルの特徴は、ナトリウムとカリウムがとても多いこと

ミネラルを見ると、スピルリナ100gあたり、ナトリウムとカリウムがそれぞれ1g以上あります。

鉄は28mgもある

鉄が多いです。28.5mgとあります。以前、鉄について鉄の1日の必要量と鉄分の多い食品についてという記事を書きました。

鉄の1日の必要量と鉄分の多い食品について
この記事では、鉄分の1日の必要量と、鉄分の多い食品について、まず、全食品から調べてみました。また、野菜、肉類、魚介類について、どのくらい含まれているのか調べてみました。 鉄の1日の必要量 成人男性は7.0~7.5mg/日、成人女性は6....

成人男性は7.0~7.5mg/日、成人女性は6.0~6.5mg/日が推奨量なので、スピルリナ20~30g食べると十分な量を摂ることができます。

カルシウムは120mg

カルシウムは120mgと多くはないですが、リン(P)とバランスがとれているので、カルシウムが体から出ていってしまうこともありません。必要量については、カルシウムの1日の必要量と多く含まれる食品をご参照下さい。

カルシウムの1日の必要量と多く含まれる食品
カルシウムは、成人男性では、1日650~800mg、成人女性では、1日650mgが推奨量です。中高年では不足しています。ただし、耐容上限量が設定されているので摂りすぎに注意が必要です。カルシウムが摂りやすいのは、煮干し、さくらえび、ごまです...

マグネシウムは195mg

マグネシウムも多くはないですが、摂ることができます。日本人の食事では少し不足がちなミネラルです。詳しくは、マグネシウムの1日の必要量と多く含まれている食品をご参照下さい。

マグネシウムの1日の必要量と多く含まれている食品
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亜鉛は2mg

成人男性は9~10mg/日、成人女性は7~8mg/日が推奨量なので、スピルリナ100gに2mg含まれていますが、不足を解消するほどではありません。

亜鉛は不足しやすいミネラルなんだって
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ビタミン

ビタミンB1は2.38mgと多い

成人男子の1日のビタミンB1推奨量は、1.2~1.4mgで、成人女子の1日のビタミンB1推奨量は、0.9~1.1mgです。スピルリナは100g中2.38mgあり、ビタミンB1がとても多いといえます。

ビタミンB1は糖からエネルギーを作るのに関わる
この記事では、ビタミンB1について、ビタミンB1とはどのようなものか。不足するとどうなるか。脚気とはどんな病気なのか。過剰摂取はあるか。多く含まれている食品にはどんなものがあるか。一日の摂取量などについて調べてみました。 ビタミンB1はブ...

ビタミンB2も3.67mgと多い

成人男子の1日のビタミンB2推奨量は、1.3~1.6mgで、成人女子の1日のビタミンB2推奨量は、1.1~1.2mgです。スピルリナは100g中3.67mgあり、ビタミンB2もとても多いといえます。

ナイアシンは12.82mg

成人男子の1日のナイアシン推奨量は、13~16mgNEで、成人女子の1日のナイアシン推奨量は、10~12mgNEです。スピルリナ100gあたりのナイアシンは12.82mgです。なかなかよい値です。

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パントテン酸は3.48mg

パントテン酸は、目安量のみ定められています。成人男性は、1日5mg。成人女性は、1日4~5mgです。目安量とは、推定平均必要量・推奨量を算定するのに十分な科学的根拠が得られない場合に、ある性・年齢階級に属する人々が、良好な栄養状態を維持するのに十分な量のことです。

スピルリナ100gあたりパントテン酸は3.48mgあります。わりと多いですね。

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ビタミンAは29μgRAE

ビタミンAは、レチノール当量の数字を見てください。成人男性は、1日あたり800~900μgRAEが推奨量です。また、成人女子は、1日あたり650~700μgRAEが推奨量です。

スピルリナのビタミンAは少ないです。レチノール当量などについては、こちらの記事をどうぞ。

ビタミンAは過剰摂取に注意する
この記事では、ビタミンAの種類と、ビタミンAの作用と欠乏した場合に期待できる効果、1日の摂取量、ビタミンAが多い食品、過剰摂取には害があることについてお知らせします。 レバー刺しは衛生上食べられなくなりましたが、ビタミンAがとても多かった...

食品として見ると、おいしいかどうか別として、高タンパク低カロリーでビタミンもミネラルも適当にあり、基本の食料とできたらかなりよい食品になるように思います。

100gあたりの栄養成分
数値単位
水分4.68g
エネルギー290kcal
たんぱく質57.47g
脂質7.72g
灰分6.23g
炭水化物23.9g
食物繊維総量3.6g
糖類3.1g
カルシウム, Ca120mg
鉄, Fe28.5mg
マグネシウム, Mg195mg
リン, P118mg
カリウム, K1363mg
ナトリウム, Na1048mg
亜鉛, Zn2mg
銅, Cu6.1mg
マンガン, Mn1.9mg
セレン, Se7.2µg
ビタミン C10.1mg
ビタミンB12.38mg
ビタミンB23.67mg
ナイアシン12.82mg
パントテン酸3.48mg
ビタミンB60.364mg
葉酸総量94µg
コリン総量66mg
ビタミン B120µg
ビタミン A, RAE(レチノール当量)29µg
レチノール0µg
ベータカロテン342µg
リコピン0µg
ルテイン+ゼアキサンチン0µg
ビタミン E (アルファ-トコフェロール)5mg
ビタミン D (D2 + D3)0µg
ビタミン K  (フィロキノン)25.5µg
飽和脂肪酸総量2.65g
ミリスチン酸14:00:0.075g
パルミチン酸16:00:2.496g
ステアリン酸18:00:0.077g
一価不飽和脂肪酸総量0.675g
パルミトレイン酸16:01:0.328g
オレイン酸18:01:0.347g
多価不飽和脂肪酸総量2.08g
リノール酸18:02:1.254g
α-リノレン酸18:03:0.823g
20:5 n-3 (EPA)0g
22:6 n-3 (DHA)0g
トランス脂肪酸0g
コレステロール0mg
トリプトファン0.929g
スレオニン2.97g
イソロイシン3.209g
ロイシン4.947g
リジン3.025g
メチオニン1.149g
シスチン0.662g
フェニルアラニン2.777g
チロシン2.584g
バリン3.512g
アルギニン4.147g
ヒスチジン1.085g
アラニン4.515g
アスパラギン酸5.793g
グルタミン酸8.386g
グリシン3.099g
プロリン2.382g
セリン2.998g
エタノール0g
カフェイン0mg
テオブロミン0mg
※FoodData Centralによる

NOTE

スピルリナに興味を持っているのは、未来の「納豆」や「おにぎり」にならないかなと思っているのです。今はサプリメントのような扱いで、値段も高い。多分、需要がそれほどないのだと思います。

高タンパクな食べ物に、酵母(ビール酵母)があります。これはビールを造ったあとに酵母を取り除いて再利用したものです。たんぱく質は約50%あります。(出典:ビー ル 酵母のタンパク質栄養価(Ⅰ)

しかし、酵母は従属栄養生物なので、エサが必要です。スピルリナは光合成をするので、ミネラルは必要ですが、エサが要らないところが違いです。

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今回も、微生物を培養して食料とする話です。微生物からタンパク質をつくるで酵母を培養してタンパク質を得る話を書きました。その時に、ふとスピルリナのことを思い出しました。 スピルリナはサプリメントとしてどこでも手に入りますが、私はサプリメントと
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