スイカには利尿作用がある

スイカは、前に勤めていた会社に夏になるとたくさん送られてきました。腐らせないように毎日食べていたのです。暑い日に外回りから帰ってきてスイカを食べるとのどの渇きがおさまり、体の中にたまっていた熱も解消されるようでした。

利尿作用があるのはとてもよくわかる気がします。

すいか

スイカの選び方

全体につやがあり、縞模様がくっきりとしていて、ずっしりと重みがあるものを選びます。また、切った時、種が熟して黒くなっていて、果肉部分の赤と果皮の白色の境目がはっきりしているものがよいです。

スイカの栄養成分

赤い果肉の色素には、β-カロテンやリコピンが含まれています。また、スイカの甘みは果糖によるものです。

100gあたりの栄養成分
すいか赤肉種生
エネルギー37kcal
水分89.6g
たんぱく質0.6g
脂質0.1g
炭水化物9.5g
カリウム120mg
カルシウム4mg
マグネシウム11mg
0.2mg
亜鉛0.1mg
0.03mg
βカロテン830μg
レチノール活性当量69μg
ビタミンD0
α-トコフェロール0.1mg
ビタミンB10.03mg
葉酸3μg
ビタミンC10mg
食物繊維総量0.3g
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

シトルリン

すいかに多く含まれているシトルリンという成分は、アミノ酸の一種で、むくみや利尿作用に効果があるといわれています。

この成分は特に皮に多くふくまれるので、果肉を食べて洗った皮を捨てずに、洗って食べやすく切り、炒め物などにするとよいでしょう。

スイカの効果効能

薬剤師であり、あん摩指圧マッサージ師でもある橋本紀代子先生の食べものはくすりにはこのように書かれていました。

食べものはくすり
野菜やくだものについて、昔の本草書に出ているような効果を解説してくれる「食べものはくすり」をご紹介します。 食べものはくすりは、大手出版社ではなく、本の泉社という文京区の出版社から発行された本です。しかし、使っている紙も含めて手間がか...

利尿剤として

スイカの特徴でよく知られているのが利尿作用です。これは豊富に含まれているカリウムや糖分、酵素などの作用によるものです。

腎臓病、心臓病、妊娠中毒症などによるむくみのときに、昔から積極的に食べられていました。

昔はスイカの出回る時期が決まっていましたので、スイカの汁を濃く煮詰めてスイカ糖をつくり保存し、スイカのない時期に利用していました。

スイカの中身を竹やプラスチックのへらなどでくりぬき、布で汁をしぼります。その汁をかきまぜながら弱火で五時間くらい気長に煮詰めます。糸をひくようになったらできあがりです。

スイカ糖は腎臓病、心臓病などのむくみに用いられるばかりでなく、尿道炎や膀胱炎にもよく効きます。尿量がふえて膀胱や尿道の掃除をしてくれるからです。

むくみには一日三回、スプーン一~二杯ずつなめます。コップ一杯くらいのお湯に溶いて飲んでもかまいません。

種も食べる

中国ではカボチャの種などと同様、スイカの種子も炒って食用にします。種子には、強壮作用、降圧作用などがあります。その他、吐血、下血のほか、女性の月経過多に対しても止血作用があります。

のどや口内炎にも

スイカは、のどの病気にも効果があります。のどの腫れや痛み、痰がからんで苦しいときなど、スイカ糖をなめると痰の切れがよくなり、熱をもっていたのども楽になります。

スイカのジュースを口の中に一~二分含んでから吐くということを日に数回くり返すと、口内炎の熱がとれ、痛みがやわらぎます。

中国の古い薬物書には、腰痛にスイカを用いる方法が書いてあります。スイカの青い皮を陰干(かげほ)しして粉にし、お酒に溶かして服用します。

スイカは「寒」の性質を持ったくだもので、体の中に入ってから体を冷やします。ですから冷え症の人はますます体が冷え、胃腸が弱っている人は吐いたり下痢したりすることもあります。

また、寝る前に食べると体を冷やす作用と利尿作用のために安眠できなくなることがありますので注意してください。

また、自分で採れる薬になる植物図鑑にはこんなことが書かれていました。

自分で採れる薬になる植物図鑑
野菜の民間療法的な効果を調べるために自分で採れる薬になる植物図鑑を読みました。調べることはできましたが、野草が好きな人のための本だと思います。 この本には薬になる植物243種、薬になる野菜・ハーブ34種、毒草22種が収められています。...

やはり体を冷やす働きが強いようです。

成分のシトルリンには強い利尿作用があり、腎臓炎や妊娠中のむくみには、果肉を食べるか、西瓜糖(すいかとう)小さじ1杯を200mlの湯に溶かして1日3回食間に飲む。

スイカには体の熱をとる作用があり、また果肉に含まれる果糖は体内でエネルギーに変わりやすいので、暑気あたりにはスイカを食べると速やかな疲労回復効果が得られる。

西瓜糖

さらに西瓜糖についても作り方がでていました。

西瓜糖はスイカの果肉を細かく刻んでとろ火で煮つめ、濾してかすを除き、さらに水あめ状になるまで煮つめてつくったもの。

冷えてからびん詰めにして保存する。密栓して冷暗所に置くと2~3年もつとされる。

砂糖やシロップの代わりに利用したり、焼酎の水割りなどに加えてもよい。なお西瓜糖は大玉のスイカ1玉からわずか100g程度しかできないといわれる。

夏の渇きやのぼせに

世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典にはこんな効果が書かれていました。上で書いたことと重複することが多いですが。

世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典
世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典は、漢方の理論に基づいて、120種類の食材の効能が解説された本です。みんな普通の食べものばかりです。

漢方では皮や種も用いられます。体にこもった熱をとり、のどの渇きや目の充血を解消。

ほてりやイライラした気分も鎮めてくれます。また、利尿作用があり、足のむくみ、尿が出にくい、排尿痛などの症状があるときにもよいでしょう。

食べる薬草事典―春夏秋冬・身近な草木75種にはこのように書かれていました。

腎臓病、浮腫、便秘に(種子)

一日五~一〇g煎服すれば効果がある。

腎機能改善(スイカ糖)

スイカの赤く熟れた部分の絞り汁をとろ火でトロッとした状態に煮詰めて保存したもの。五kg程度のスイカで約一・八Lの液が絞れる。これを三~四時間かけて煮詰めると七〇g~一〇〇gのスイカ糖になる。

スイカを食べるか、このスイカ糖を大さじ一~三杯ずつ服用すれば利尿作用が強く、腎臓病、腎炎、ネフローゼ、尿閉、尿路結石、浮腫、脚気に効果がある。

スイカ糖は腎機能を改善する腎臓病の薬として有名だが、前立腺肥大が楽になった例もある。夏ばてに舐めるのもよい。

あせも(果汁)

塗布する。

利尿剤(皮)

緑の皮を乾かしておき、煎服しても利尿剤として効果がある。

(参考)四〇〇〇年前のエジプトでは種子を食用に、中近東や中央アジアの砂漠地帯では果汁を水代わりの飲料として珍重していた。

スイカの保存方法

日ごとに風味が落ちるので早めに食べきります。カットして食べきれなかったときは、切り口にラップを密着させて全体を包み、冷蔵庫に保存します。

まるごととっておく場合は、日が当たらず、風通しのよい場所におき、できるだけ早く食べましょう。

まとめ

夏野菜は体を冷やすとよくいいますが、スイカについてもそれがあてはまります。利尿作用でおしっこをすれば体から熱が出ていきます。

季節の食べものはうまくできているものだと思います。

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