野菜やくだものについて、昔の本草書に出ているような効果を解説してくれる「食べものはくすり」をご紹介します。
食べものはくすりは、大手出版社ではなく、本の泉社という文京区の出版社から発行された本です。しかし、使っている紙も含めて手間がかかっているよい本だなと思いました。
著者の橋本紀代子先生のプロフィールには、薬剤師、あん摩マッサージ指圧師、ケアマネージャーと書かれています。1993年に治療院を開設と書かれていました。
薬剤師の資格を取るだけでも大変なのに、その他のことまでやられているのは、趣味のように仕事をされているんだろうなと想像しています。
今の時代は、ビタミン、ミネラル、それとポリフェノールのような抗酸化物で食べものが語られることが多いですが、それよりも昔の人はどんなことを学んでものを食べていたのだろうと知りたくなりました。
ヒトの歴史は科学よりずっと長く、その間、ずっとものを食べてきたわけですから経験の蓄積はとても大きいのです。
昔の本草書に出ているようなことを解説してくれている本をいつも探しています。この本はその1冊です。
「はじめに」にはこのように書かれています。
私が食べものの薬効に関心をもったのは、中国の古い漢方の本との出合いからです。
その中には、一つひとつの食べものが、どんな病気に効くとか、どんな症状を治すとか、どのような使い方をすればいいとかが、詳しく書かれていたのです。
そのような古い記録は、中国だけにあるのではありません。ヨーロッパの伝統医学の本にも、ハーブとしての野菜の働きが書いてあります。
古い書物に書いてあることで、ビタミンもミネラルもカロテンもわからなかった時代のものですが、不思議なことにその内容は、現在の知識からみても驚くほど正確です。
少なくとも何百年という長いあいだ試されてきたことですから、安全性という点では「お墨付」ですし、食べすぎるとどうなるということまで書かれていますから安心です。
レシピを求める方向きの本ではないと思います。
しかし、野菜やくだものの効用を知る読み物としては今まで読んだ中で一番よかったです。
ご参考までに第Ⅱ章、第Ⅲ章の目次を紹介します。
第Ⅱ章 この野菜が効く!
- アズキ
- アスパラガス
- ウド
- カブ
- カボチャ
- キャベツ
- キュウリ
- ゴボウ
- ゴマ
- コマツナ
- サツマイモ
- サトイモ
- サンショウ
- シイタケ
- シソ
- ジャガイモ
- シュンギク
- ショウガ
- セリ
- セロリ
- ダイコン
- ダイズ①
- ダイズ②
- タマネギ
- ツルムラサキ
- トウガラシ
- トウモロコシ
- トマト
- ナス
- ニラ
- ニンジン
- ニンニク
- ネギ
- ハクサイ
- パセリ
- ピーマン
- ブロッコリー
- ホウレンソウ
- ミツバ
- ミョウガ
- モロヘイヤ
- ヤマイモ
- ユリ根
- レタス
- レンコン
第Ⅲ章 くだものの効用!
- イチゴ
- イチジク
- ウメ
- カキ
- キウイフルーツ
- ザクロ
- スイカ
- ナシ
- ナツメ
- ビワ
- ブドウ
- ミカン
- モモ
- ユズ
- リンゴ
中身をご覧になりたい方は、書店で見かけたことがないので、図書館でまず探してみるとよいと思います。今でも注文すれば普通に買える本です。