「キャベツと白菜の歴史」を読んだ

キャベツの原産地はアフリカです。もともとは油料作物として種から油を搾るためのものでした。アブラナ科の植物は容易に自然交雑するので、キャベツを安定して栽培するのが長い間むずかしいことでした。冷涼な気候に適していて栽培に手間がかからない作物です。寒い季節にできるキャベツには三糖類のラフィノースが多く含まれ、ビフィズス菌のエサになりますが、おならも出ます。

キャベツ

キャベツと白菜の歴史 (「食」の図書館 原書房 2019)を読みました。この「食」の図書館シリーズ、何度も書いていますが初めて知ることがたくさん出てくる本が多いです。

キャベツは高原野菜のイメージがあります。なんとなくいつも長野県の野辺山高原を思い出します。

この記事では、私が初めて知ったことを書いておきます。

ところが、そもそもキャベツの祖先は、現在のアフリカ北西部からインドに広がる細長い地域に生息していたと書かれていました。2400万年前のことだそうです。原産地はアフリカなのです。

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そもそもは種から油を搾るためのものだった

キャベツや白菜の種から油が搾れるなんて聞いてもピンと来ませんが、キャベツも白菜もアブラナ科の植物です。油料作物ナタネもアブラナ科です。ナタネと親戚みたいなものかと知ると、なるほどと思えます。

栽培されはじめた頃のキャベツは、葉を食べられるために育てられたのではない。種子が目的だったのだ。白菜はブラッシュシカ・ラパの変種で、キムチなど数多くのアジア料理の要となる食材として愛用されている。

インドと中国には脂肪種子を採取できる植物として導入された形跡がある。中国の西安郊外の半坡(パンポー)遺跡からは6000年以上前のブラッシカ・ラパの種子が発掘されている。(中略)

脂肪種子をつけるブラッシカ・ラパは、西暦1世紀に中国に移入されたのだろう。17世紀の中国では、白菜(Chinese cabbage)の種子は重要な農産物だった。この頃に書かれた「天工開物(てんこうかいぶつ)」[当時の産業・科学技術について解説した本]には次のような記述がある。

「食用油として最上なのはゴマの種子、カブの種子、キダイズ、白菜の種子である」。著者によれば、現代の単位に換算して白菜の種子は12リットルから3リットルの油が搾れたという。この搾油(さくゆ)量はナタネとほぼ同量で、ゴマとくらべるとかなり落ちる。

これを読むと、含油率は3/12、つまり、25%くらいあるので大豆より多いようです。今でも搾っている人がいるのか調べてみましたが、残念ながら見つかりませんでした。

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容易に自然交雑して安定しない

キャベツの種をまくと周辺のアブラナ科植物と交雑して、収穫した種は別な品種のようになってしまうことが多かったようです。

キャベツは自然交雑して繁殖する。アブラナ科作物は互いに品種が異なっても交雑しやすいため、イタリアから朝鮮半島にいたるまで、野生のアブラナ属が生えている地域に住む農民は、千年以上ものあいだ、安定してキャベツを発芽する種子を遠方の商人から買わざるをえないことに苦労してきた。

このような記述は多く、ところどころに出て来ます。

12世紀の朝鮮の農民も、自然交配していないアブラナ属を毎年栽培するためには、種子を遠方から――つまり、白菜の種を北京から――取り寄せる必要があった。この問題は何百年も解消されなかった。

フランスの農学者オリヴィエ・ド・セールは、著書「農業経営」(1600年)のなかで、緑のキャベツはどうしても年々劣化するので、農民は毎年新しい種子をスペインとイタリアから入手しなければならない、と述べている。

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冷涼な気候に適していて育てやすい

アブラナ科の植物と交雑しながら性質が変化していき、現在のキャベツは冷涼な気候に適したものになっています。しかし、肥料や日照時間や温度に気をつかわない作物だとは。

キャベツは栄養豊富なうえに順応性のある植物だ。地中海地方の微風のなかでも、陰鬱なバルト海地方の霧雨のなかでも、変わらず豊かに結球する。(中略)

キャベツは冷涼な気候に適した野菜であり、15~20℃の温度でよく生育するが、5℃まで気温が下がっても成長し続ける。まだ小さいうちのキャベツの苗なら、1~2晩程度ならマイナス12℃の寒さにも耐えられる。(中略)

この野菜はいわば「雑草」が先祖であり、農地であればどこでもすぐに芽を出し、肥料や日照時間や温度に注意を向ける必要もない。

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保存性がよい

キャベツが日持ちするのはよく経験することです。しかし、数か月単位で持たせることができるとは一度実験したいものです。

収穫後のキャベツは、地下倉庫のようなところならば4か月間は保存可能だ。氷温をわずかに超える1~2℃にして高い湿度を保てば、極端に冬が長くなければ春まで新鮮さを維持する。

ザウアークラウトにすれば何年も保存できる。ただしこの「奇跡の野菜(ヴンダーゲミューゼ)」は、同じく万能だが口当たりのよいジャガイモほど、食べる者に優しくはない。胃が疲れているときに生で食べれば膨満するし、舌の敏感な多くの者は苦味を感じる。また注意を怠って火をとおしすぎれば特有のにおいを放つ。

以前、川島四郎先生の本を読んで生野菜の冬期貯蔵法という記事を書いたことがあります。そちらもあわせてお読み下さい。

生野菜の冬期貯蔵法
生野菜を寒冷地で7ヶ月貯蔵する方法です。電気冷蔵庫はありません。地面に穴を掘って貯蔵庫を作り、庫内を2℃に維持して、障子から太陽光線を入れます。そして日々積みかえ、空気に当てて、悪くなったところを切り除きます。 冬の間、野菜を...
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キャベツ食べるとお腹が張りますか?

生のキャベツを食べると、三糖類のラフィノースが腸内細菌によって分解されメタンガスが発生します。

私はキャベツの千切りが好きで毎日のようによく食べます。冷蔵庫からキャベツがなくなることはまずありません。そのせいか、キャベツを食べるとお腹が張るとか、おならが出るとかあまり感じたことがないのですが。

腹部の張りの原因になるのは、キャベツだけではない。乾燥豆やレンズマメ、アスパラガス、ブロッコリー、メキャベツも、キャベツと同様にラフィノースという糖分子の一種(正確には三糖類)を大量に含んでいる。

この気難しい物質は胃と小腸に迫られても頑としてはねつけ、ようやく運命の大腸に出会って消化される。大腸でラフィノースは貪欲な細菌によって分子の小さな糖類に分解されて、メタンガスを発生させる。つまり副産物として腸内ガスを生じるのだ。(中略)

気候が寒冷になりキャベツの葉が硬くなるにつれて、ラフィノースも二糖類のショ糖も濃度が上がり、キャベツを霜から防ぐ役割をする。気温が上がってキャベツがやわらかくなり、そのやわらかい細胞が成長の準備をしはじめると、葉に含まれるラフィノースとショ糖の量は激減する。ラフィノースの場合はゼロにまで下がるだろう。

ラフィノースは、このように三糖類です。ショ糖(砂糖)は二糖類ですが、三糖類になるとヒトは分解できません。大腸ではビフィズス菌のエサになるそうです。(出典:ラフィノース

ラフィノース

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NOTE

キャベツの千切りが好きで、そのために包丁を研いでできるだけ細く切ります。記事を書きながら一番意外だったのは、生のキャベツを食べるとガスがたまるという話です。毎日のように食べているので、そんなことを考えたことがありませんでした。

寒い季節のキャベツには三糖類のラフィノースが豊富で、おならが出る代わりに、ビフィズス菌のエサになると覚えておきましょう。

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