生野菜の冬期貯蔵法

生野菜を寒冷地で7ヶ月貯蔵する方法です。電気冷蔵庫はありません。地面に穴を掘って貯蔵庫を作り、庫内を2℃に維持して、障子から太陽光線を入れます。そして日々積みかえ、空気に当てて、悪くなったところを切り除きます。

白菜

冬の間、野菜をどのように保存するか。東京に住んでいると関係ありませんが、寒冷地に住むと少なくとも温度には気をつけなければいけません。

凍らせると野菜がだめになってしまうからです。凍った野菜は水分が解ける時に水がでてきてその後はヘナヘナになってしまいます。もう、(凍らしておく以外)保存はできません。

冷凍した肉や魚を解凍すると水(ドレン)が出るのと同じです。

昔の人たちの知恵を知りたいと思いました。

川島四郎先生の食糧発明物語―復刊・食糧研究余話を読みました。アマゾンではすごい値段がついていますので、読みたい方は、図書館で探してみてください。

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満洲の禅寺の僧侶に貯蔵法を学ぶ

郷に入っては郷に従えです。マイナス30℃くらいまで下がる満洲ではどのように野菜を保存しているのか。

八百屋さんはありません。自分たちで秋に手に入れた野菜を春まで数ヶ月保存しておかなければなりません。

以前、寒い大陸にいた頃は、その冬期間の野菜の補給に伴って生野菜の冬期貯蔵法が大きな課題で、毎年毎年実行のかたわら、試験がくり返された。

何しろ経済観念の未だ薄い年端のゆかぬ兵隊たちのすることなのでとかくソツが多く、一千貫も貯蔵して、うまくいって七割五分止り、下手をして腐らせでもするなら六割何分は変敗して、三百貫くらいしか口に入らぬということも起こる。

これには徹底した研究が行われ、よい結果は全般に普及して兵食の野菜補給に遺憾なからしめて栄養を保持し、かつ不経済なことにならぬようにとて、まじめに研究が行われたものである。

ふと考えたことは、この満洲の禅寺のたくさんの僧侶たちが、長い冬の間野菜の貯蔵をどうしてやっているかである。

着想は、菜食の禅宗の坊さんで多衆集団生活をしているから、長い冬の間の野菜の貯蔵に何か理屈に合う面白いやり方をしているに違いないと思った点である。

一貫は昔の重さの単位です。現在の3.75キログラムです。一千貫とは3750キロです。

6割以上だめにしてしまうのは実にもったいないことですが、寒冷地では腐らすばかりでなく、凍らせてしまうのも傷みの原因になります。

凍らした野菜は、ずっとそのまま凍っていてくれればよいのですが、気温が上がって解けるとすぐに使うしかなく、余ったものはすぐに傷んで使えなくなります。

地面に穴を掘って貯蔵庫にする

満洲は平地で冬は雨が多分ほとんど降らないのでしょう。地面に穴を掘って貯蔵庫にします。日本では雨が降って浸みてくるので、むずかしいでしょう。

第一にはその貯蔵庫の構造である。

この禅寺の坊さんは総人数八十余人で、これだけの人数の十月、十一月、十二月、一月、二月、三月、四月の七ヶ月分の野菜を格納するのであるから相当の積数を必要とする。

縦五間横二間、つまり一〇坪で深さが一間半というのを標準型としている。坪数の如何にかかわらず横と深さは常に一定である。

横幅は屋根を築く材料の強度から来ていて、単なる屋根でなく保温用の乾馬糞や土をのせるので二間を限定としている。

深さも一間半が標準で、貯蔵品の出し入れの便宜上から来る深さの限定よりも貯蔵品の載積量の高さと保温の点から来ているので、いずれも長年の経験に発するところだが、理論上からも正当づけられる。

一間(いっけん)は、1.8メーター。畳の長さです。横幅は、3.6メーターで、深さは常に2.7メーターです。結構深いですね。

障子から貯蔵庫に太陽光線を通す

貯蔵庫には光を通さないのが基本だと思っていました。しかし、葉菜類は光合成を少しさせた方がエネルギーを作れるので消耗が防げてよいということなのでしょうか。

こういうことは参考になります。

構造上、気のきいた手法の一つは明り採りの障子である。得てして日本の貯蔵庫は太陽光線を全く遮蔽したがるが、この貯蔵庫は屋根の下の欄間に二尺通りはめ込みの障子が入れてあって、しかも南に面していてかなりに庫内は明るい。

日本へ帰って来てから実験をしてみると、地下茎や根菜類は暗い方がよいが、白菜やキャベツやいっさいの地上葉菜類は庫内に紫外線を導入したほうが成績がよい。

そのまた障子が気のきいたもので、骨は日本のと同じだが紙が桟の両方から貼ってあって、つまり紙は二重になっている。

日本の障子は片面は桟がまる見えだが、ここのは両側から紙を貼って桟は見えない。もっともこの中華の手法は日本では襖に用い、両面から貼ってあり、それゆえに唐紙という。

二重に貼ると桟の幅だけ空気の層ができるわけだから、防寒的には卓効があり、北満のように冬期零下三〇度前後までさがるところでは、一重の障子では全然用をなさぬ。

その両面の障子は紙に油が塗ってある。だから光線の透過がよく、貯蔵品によい影響を与える。

私は北国で育ちましたが、二重窓はあっても二重に紙を貼った障子は見たことがありません。もちろん、空気が間にあるので、断熱効果があるでしょう。

保存温度は2℃

ここが大事なところです。「まさに凍らんとする直前の温度」0℃でなく5℃でなく、2℃。これは多少環境の影響を受けているかもしれませんが、野菜の特性にもとづいた温度だと思います。

きっと、野菜が冬眠みたいな状態になるのでしょう。もちろん、温度は一定にする必要があります。生き物は同じ状態に置かれると省エネできるようになります。

庫内の温度は、坊さんの説明では『まさに凍らんとする直前の温度』が最も適温だとし、壕の床に小さい炉を掘って炭火で壕内を温めている。

もちろん小さい空気抜きはある。何しろ外が零下二〇ー三〇度の寒さだから火気を用いるのは当然である。

携行していった温度計で計ってみるとどの壕もほとんど二度を示している。温度計を用いず感覚だけでやっているのだが、示度のおおむね正確なのは、経験によるとはいえ感心させられる。

温度が上がったり下がったりするのは一番いけないとくり返して言うのである。

積みかえ空気に当て変質部を切り除く

これが家庭でできたら完璧ですね。人間としても正しいまともな人になれそうです。

手入の方法は、毎日毎日一つずつ丁寧に上と下を積みかえて、そのたびごとに僅かでも変質部のあるのを発見すると小さい庖丁で切り除く。そして動かすごとに空気に当てる。

まとめ

野菜を長く保存するために、葉菜には紫外線を当て、保存温度は2℃を維持する。そして、日々積みかえて空気に当て、変質部は切り除く。

何となく花を育てている農家さんはこれに近いことをやっているんじゃないかなと思いました。

私、小さい温湿度計を2個買おうと思いました。冷蔵庫の野菜室と冷蔵室用です。

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