川島四郎先生の本を読んで書いた記事

昔の栄養学者、川島四郎先生の本はとても面白くて、読んでは記事を書きました。どんな記事を書いたか、簡単にまとめましたのでどうぞお読み下さい。もし面白いと思ったら、図書館に行って川島先生の本を借りて読んでみて下さい。

川島四郎先生について

栄養学者の川島四郎先生については、ウイキペディアの川島四郎で読むことができます。しかし、サトウサンペイさんが書かれた紹介の方が面白いです。後で書く、「食べ物さん、ありがとう」から。

川島先生は家が京都で家系がみな絵かきさんという芸術一家である。昔のことで一人ぐらい軍人さんにと、川島先生だけが陸軍経理学校に行かされ、さらに、そこの大学部を卒業。

「当時、首席から三番まではハクヅケのために、さらに、東大法学部に入れられたんです。しかし、私は兵隊の体を丈夫にするのが、強い陸軍をつくる根本になると考えるので、農学部で食糧と栄養の研究をやらせてほしいと、と陸軍省にダダをこねました」。

異例のことだが、許されて農芸化学に入られる。そのときの主任教授が、かのビタミンB1発見者の鈴木梅太郎博士であった。「カーキ色の軍服で目立ったせいか、特に可愛がってもらいました」と述懐しておられる。

川島先生の本を読んでいると、「えっ?」と驚かされることがたびたびあります。

大豆の自給率はなぜ低いのか?

日本人にとって必要な大豆。醤油、味噌、納豆に使われ、毎日消費されます。それなのに、なぜか自給率が低い。その理由を調べていると、途中から満洲の大豆に依存したからだとわかりました。当時、満洲が大豆の最大の生産地で、ヨーロッパにも輸出し、それらは搾油され、搾りかすは肥料になっていました。大豆は、たんぱく質を始め栄養豊富です。

ヨーロッパの土壌には根粒菌がいないので大豆が栽培できなかった

ヨーロッパ各国では、輸入するより自国で栽培した方がよいに決まっているのですが、栽培できなかった。川島先生のお話では、ヨーロッパの土壌には根粒菌がいないので大豆が育たなかったということなのです。ちょっとびっくりした話でした。

大豆の自給率はなぜ低いのか?
大豆は明治時代までは自給自足できていました。しかし、満州で大規模生産するようになると、国内の農家はつくっても儲からなくなり栽培するのを止めます。戦後は、アメリカから安く入って来ましたが、その後、大豆が不足する事態になり、ブラジルで生産してもらうようになっています。

お茶を食べると栄養価の高い野菜だって

「緑茶を野菜代わりに食べる」って考えたことはありますか?川島先生は、緑茶を飲んだ後、出がらしに醤油とショウガをかけて食べてしまうのだそうです。こんなこと、考えたこともありませんでした。

調べてみると緑茶はとても栄養価が高いのです。

冒険家の植村直己さんが、北極を犬ゾリで横断した時、先生は玉露を渡されたそうです。今のように毎年災害が起きる時代には、非常用の食料として、緑茶を入れておくとよいと思いました。

お茶の出がらしを食べると栄養価の高い野菜だって
お茶の出がらしを食べるなんて話を知ってびっくりしました。栄養成分を調べてみると、緑茶は栄養価がとても高く、ビタミンAとなるβカロテン、ビタミンE(α-トコフェロール)、ビタミンK、葉酸、ビタミンCが多く、ミネラルも豊富です。また、緑茶の茶葉...

おひたしを食べるのは葉緑素を食べること

昔、祖母にほうれん草や小松菜をよく食べないといけないといわれていました。私は野菜嫌いではなかったですが、子供の頃から筋金入りのマヨラーなので、レタスやキャベツ、キュウリ、トマトなどサラダになるような野菜の方が好きでした。川島先生は、葉緑素は血色素で赤血球を作るために必要だと教えてくれました。

おひたしを食べるのは葉緑素を食べること
おひたし、よく食べますか?青い葉っぱは葉緑素が豊富で、赤血球のヘモグロビンをつくるために必要です。1日に青い葉っぱを400gおひたしにして食べる必要があるそうです。ゆでる時間は30秒。昔の栄養の本はとても参考になります。

玄米にはリンが多い

2003年頃から、知り合いになった無農薬米を作っている方から玄米を送ってもらって食べるようになりました。圧力鍋で炊くと、モチモチして香ばしくてなかなかおいしいのです。途中から発芽玄米が流行り、玄米を半日以上浸けてから炊くようになりました。これで問題はないだろうと思っていたら、玄米のぬかにはリンが多く、カルシウムとバランスを取るために、カルシウムを多くとらないといけないそうです。

玄米にはリンが多い
玄米は白米に比べて3倍のリンが含まれています。リンはカルシウムとバランスさせる必要があり、リン:カルシウム比は2:1が理想とされています。玄米を食べるなら小松菜や海草を一緒にとり、そしてすりごまをかけて食べるとよいです。 玄米を食べ始...

麦飯は食物繊維の量が玄米よりあるんじゃないか

川島先生は、玄米よりも白米7:麦3の麦飯をすすめています。冷えるとぼそぼそしますが、別にまずいわけではないです。日本の陸軍も海軍も、主食は麦飯だったそうです。押し麦は大麦ですが、成分を調べてみると、七分つき押麦はビタミン、ミネラルが玄米より多いです。そして、押麦は食物繊維がとても多いのが特徴。食物繊維は、人は消化できませんが、ビフィズス菌のエサになります。お腹によい食べ物です。

ごまにはカルシウムがとても多かった

上に書いた玄米を食べる話では、玄米を食べるならカルシウムをとらなければならないと書きました。カルシウムを摂るなら小魚かなと思っていたら、胡麻に豊富にふくまれているそうです。胡麻の「胡」の字は、中国を中心にした四周の国のうち、西北方に当たる国々をさしたもので、胡瓜(きゅうり)、胡椒(こしょう)も同じです。

ごまにはカルシウムがとても多かった
ごまはたんぱく質と脂質が多い食品です。ミネラルではカルシウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、銅が多いですが、カルシウムがずば抜けて多いです。カルシウムは表皮にとても多く、むいてしまうと激減します。そのため、食べるならむきごまでなくすりごまが...

卵の殻からカルシウムを摂る

川島先生が病気で背骨の一部が潰れてしまった時、食べものと薬剤の両方でカルシウムを補給したそうです。その中に、卵の殻がありました。ゆで卵をしたときに殻をむきますが、それをよく洗って乳鉢で潰して食べていたそうです。

調べてみると、卵の殻にはリンがほとんどなく、良質なカルシウム源になることがわかりました。

卵の殻からカルシウムを摂る
卵の殻は捨ててしまっていましたが、カルシウム源として見ると、過剰摂取が心配になるほどなかなか優秀であることが分かりました。しかも味もほとんどありません。ただし、病原菌がついているので、自分でためすときは注意が必要ですよ。 続々 食べ物...

川島四郎先生が開発された食品を知りたい

川島先生の本は、今では古本を買うしかないのですが、唯一、今、生きる秘訣―横尾忠則対話集だけが本屋さんで買えます。この本は画家の横尾忠則さんの対談集です。その中に川島四郎先生が登場しているのです。以前から、陸軍のために一体どんな食料を開発したんだろうと興味があったのですが、1つ話題になっていました。夜間視力増強食です。

川島四郎先生が開発された食品を知りたい
栄養学者川島四郎先生が戦時中に開発された食品について知りたいと思っていましたら、画家横尾忠則さんとの対談から夜間視力増強食について少し知ることができました。 今、生きる秘訣―横尾忠則対話集を読みました。この本は画家の横尾忠則さんの対談...

高野豆腐って糖質制限食に役に立つね

川島四郎先生の食糧発明物語―復刊・食糧研究余話を読むと、陸軍の兵隊さんの口糧(携帯食料)として、乾パンの代わりに味付けだけした高野豆腐がよいと考えられていました。栄養成分を調べてみると、たんぱく質と脂質が多く、炭水化物が少ないのが特徴です。これって、糖質制限食として使えますね。

高野豆腐って糖質制限食に役に立つね
高野豆腐は、煮た大豆や豆腐と比べて、たんぱく質、脂質に対する炭水化物の量がとても少なくなっています。つまり、同じ大豆でも、高野豆腐に加工されるまでに炭水化物がすごく少なくなるのです。糖質制限をしている人には役に立つ食品です。 川島四郎...

袋飯って、レトルトごはんの元のアイディアでしょう?

川島四郎先生の食糧発明物語―復刊・食糧研究余話には、袋飯というごはんの炊き方が書かれていました。セロファンの袋の中に生の米と、それが飯になるのに必要な分量の水を入れて、口をくくって、そのまま沸いている熱湯の中に放り込むのです。直火を使わない。蒸すのとも違って、長時間煮ることになるのですが。焦げることなく炊けますね。これって、レトルトご飯の元のアイディアでしょう?

袋飯って、レトルトごはんの元のアイディアでしょう?
袋飯はセロファンの袋に生米とごはんに必要な水を入れ、ぐらぐら沸いたお湯の中に入れてごはんを炊く方法です。もともとは陸軍の兵隊さんのために考えられた方法でした。よく考えられています。 川島四郎先生の食糧発明物語―復刊・食糧研究余話を読み...

卵黄を濃縮させる方法

川島四郎先生の食糧発明物語―復刊・食糧研究余話に書かれていた話です。卵黄をビタミンやタンパク質など変質させずに濃縮させる方法です。塩を使って卵黄に含まれる水分を抜いていき、生乾きのからすみ、固ねりの羊羹くらいの硬さにまでします。ビタミンA、B1、B2、C、D等を補給する栄養食と航空ビタミン食を作るときのベースになりました。(もちろん、卵黄にはビタミンCは含まれていません)

卵黄を濃縮させる方法
卵黄をビタミンやタンパク質など変質させずに濃縮させる方法です。塩を使って卵黄に含まれる水分を抜いていき、生乾きのからすみ、固ねりの羊羹くらいの硬さにまでします。 これは川島四郎先生が大戦中、栄養食と航空ビタミン食を作るときのベースになりま...

生野菜の冬期貯蔵法

北国で育った人なら、冬に野菜を凍らせてはいけないことはご存知だと思います。解かすと水が出てぐちゃぐちゃになってしまうからです。川島先生は、マイナス30℃くらいまで下がる満洲で禅寺の坊さんに倣い、地面に穴を掘って、葉菜には紫外線を当て、保存温度は2℃を維持するという方法を考案しました。

生野菜の冬期貯蔵法
生野菜を寒冷地で7ヶ月貯蔵する方法です。電気冷蔵庫はありません。地面に穴を掘って貯蔵庫を作り、庫内を2℃に維持して、障子から太陽光線を入れます。そして日々積みかえ、空気に当てて、悪くなったところを切り除きます。 冬の間、野菜をどのよう...
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