川島四郎先生が、昭和48(1973)年に出された続 まちがい栄養学は、42本の記事が収められた本です。時々読み返す魅力があります。平成元(1989)年に新潮文庫に収められましたが、もちろん現在では古本でしか入手できません。
私が古本として買ったのは新潮文庫です。奧付を見ると、平成元年(1989)5月25日発行、平成2(1991)年4月30日5刷と書かれていました。
さらに、続まちがい栄養学は昭和48(1973)年12月毎日新聞社より刊行されたと後ろの方に書かれていました。もともと40年以上前の本でした。
川島四郎先生の本は、短い記事の中に調べたくなるヒントが散りばめられているところです。
たとえば、唐辛子の謎という記事にはこんなことが書かれています。
大昔からこんなにも韓国の人は唐辛子が好きだったのだろうか。実はそうではない。
唐辛子はやっと三五〇年くらい前に日本から移入されたもので、本家本元は日本であり、今ではその日本より韓国において花が開いたわけである。
唐辛子は伊達政宗(だてまさむね)の臣、支倉常長(はせくらつねなが)がローマに使したとき、メキシコからはるばる持ち帰ったのがその始めである。
仙台(せんだい)から奥羽(おうう)三陸辺では、唐辛子のことを”南蛮”という。南蛮渡来の唐辛子ということで、その名前が今に残っているわけである。
ちなみに、私はこの本を読んだことがきっかけとなり、長年の疑問だった大豆の自給率はなぜ低いのか?という記事を書きました。
大豆の自給率はなぜ低いのか?
大豆は明治時代までは自給自足できていました。しかし、満州で大規模生産するようになると、国内の農家はつくっても儲からなくなり栽培するのを止めます。戦後は、アメリカから安く入って来ましたが、その後、大豆が不足する事態になり、ブラジルで生産してもらうようになっています。
古本を買おうか迷っている方のために、目次をご紹介しておきましょう。川島先生の本は買って損することはないと思います。
- 緩慢なる自殺行為
- 砂糖消費量と文明度は正比例しない
- 内臓に相談して食べる
- すし食う資格
- 茶を考えて飲む
- だいこんの葉っぱを捨てるな
- こんな野菜サラダでは美容食にならない
- ビールの泡がくせ者
- 水は栄養の基本
- 肉が食べたければ羊肉しかない
- ほうれん草は青汁に適さない
- 豆もやしの根
- 添加物三題
- 調味料の使い過ぎ
- 料理に野性味を
- パンでなくパンゴ
- 献立は予算、大便は決算
- 朝取った果物がおいしいわけ
- 果物十二話
- ハウザー食へ一言
- 肥満がいやなのになぜ脂肪を余計に取るのか
- 日本はお菓子の洪水
- 一食ごとのバランスでなくても
- 酒そのものより「さかな」の害
- 食べ残しの悪癖
- 日本の主婦よ、本当にうまいご飯を炊きなさい
- マラソン選手の食物
- 果物は食後より食前に
- 唐辛子の謎
- ”禁断の木の実”はりんごでなくイチジクである
- ”人間の肉”を食う気持ちの観察
- 日本酒は燗をして飲むもの
- カロリーの勘違い
- マスコミ料理の弊害
- 大豆をつくろう
- 日本では畜産はだめ
- 卵よ、お前までもが
- 公害魚を冷静にみる
- 米作一〇〇人対牧畜九人
- 年齢のサバ読み
- 「蛋白質」を「卵白質」に
- 栄養学と医学の接点
- 世代で栄養の取り方が違う
- 八〇年代の食生活