川島四郎先生のたべもの心得帖は、もともと昭和57年(1982)に発行され、その後、1990年に新潮文庫になりました。連載記事を60本おさめた本です。個々の記事は短いですが、川島四郎ファンにはやはり面白い本です。
この本はもう、古本でしか入手することができません。私が買ったのは1990年発行の新潮文庫です。私は川島四郎先生の本を見つけたらすぐに買うようにしています。何冊かもっていますが、この本は他の本と少し感じが違うのです。
通勤が話題になることが多く、少しでも長く眠らせろとか、朝飯がわりに饅頭3個はやめろとか、コンブを小さく切ってポケットに入れて、満員電車でガムのように噛むとよいなどと書かれています。
あとがきを読むとその理由がわかりました。
『キイ(The KEY)』という週刊新聞に『食物心得帖』という題目で連載ものを書くようになり、毎週一回、稿を寄せていましたが、編集局やモニターの方から「もっと書け」「もっと続けて書け」とケシかけられて、ついつい二年半にもなってしまいました。
この『キイ』という週刊誌は、あちこちにある団地に住む人達を対象にした新聞なので、したがって読む方が所謂(いわゆる)「団地生活者」で都心から遠いところに住む通勤者が多いので、それらの方の生活(食生活)にピントを合わせて書き出したものです。
きっと中身に興味のある川島四郎ファンのために目次を書いておきましょう。目次から内容を想像してください。やはり川島四郎先生らしい内容です。もともとが連載記事だったので60本あります。
ちなみに、文庫本には、「この作品は昭和五十七年四月毎日新聞社より刊行された」と書かれています。もともとの本は、1982年発行です。
- アフリカの原始食に瞠目
- 朝食抜きでも充分眠らせる
- パンと紅茶よりワカメの味噌汁
- 腹減らざれば食わず
- 渇きを癒すのは自然の水で
- 貴重な”朝の十分”を生かす方法
- 空きっ腹の牛乳は下痢のもと
- 糖分は速効性のエネルギー源
- お酒の上手な飲み方
- お節料理は女房に楽をさせるため
- 麦飯食べて頑張った明治人
- 栄養上の長短を補う米麦の取合せ
- 玄米食を始めるための心得
- 蕎麦は生でも食べられる
- 栄養満点の蕎麦の黒パン
- 中華そばは伸び、パンは後退
- 野辺には食べられる草がいっぱい
- ワラビの根にあるおいしい澱粉
- 救荒植物のナンバーワン「アカザ」
- 消化酵素の多いトロロイモ
- 天高く”木の実の秋”
- 残桑を食べよう
- 子供の”おやつ”はご飯の延長
- 「大豆を早く煮るため」の口伝秘法
- 続「大豆を早く煮るため」の口伝秘法
- 続々「大豆を早く煮るため」の口伝秘法
- 豆の消化をよくする”納豆菌”
- 中国へ”逆輸出”された納豆
- 理想の健康食「凍豆腐」
- 和製の乾パン「凍豆腐」
- 凍豆腐のすばらしい六つの特長
- さんずい偏の油を摂ろう
- 豌豆は脂肪が少なく蛋白質が多い
- カボチャは長命者共通の食物
- 椎茸は半人工半自然の作
- 松茸の人工栽培はできるか?
- におい松茸、味しめじ
- とうもろこしに馴染んでおこう
- 栗に近いうまさの八里半「さつまいも」
- 石焼きいもは、なぜうまいか?
- 馬鈴薯は熱いうちに食べる
- 浜で拾う栗のようなハマグリ
- エスカルゴの向こうを張る越中バイ
- かきは虚弱者の食物として好適
- 証明されたシジミの薬効
- 天皇陛下のお食事
- 西と東のカレー競べ
- モツはモツでも栄養に大差
- 茄子の漬色をよくする秘伝
- 毒物も使い方と分量次第
- 日本で酢漬が発展しない
- やはり『腐っても鯛』
- 焼魚は片面からのみの火熱で火を通す
- 摘まんで食べる酒
- ビールは泡を楽しむもの
- 栄養は寒天よりもゼリーが上
- 胡瓜のザク切りがお皿にゴロリ
- キャビアというものは?
- 牛は、なぜ聖獣なのか
- 日本人は水に潔癖すぎる?
- 宗教・民俗によって食べ物も違う