タンパク質が他の栄養と違うところ

タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素の一つですが、炭水化物、脂質は、ほぼ体のエネルギーに変わるのにタンパク質はちょっと違います。アミノ酸まで分解されDNAの設計図をもとに自分専用のタンパク質に生まれ変わります。

豆乳

普段の食事でタンパク質を摂ることが大切なことは常識です。私よりも少し上の世代は、1964年の東京オリンピックの頃に流れた「タンパク質が足りないよ」というCMをよくご存知だと思います。

タンパク質はからだを作る

タンパク質は、炭水化物、脂質とともに三大栄養素の一つに数えられています。

ニプロ株式会社のサイトにあった三大栄養素の基礎知識を読むと、ああ、小学生の時に家庭科で習ったようなことが書かれていました。からだをつくる栄養素って習ったんでしたっけ。

私たちの筋肉や骨、皮膚、臓器、毛髪、血液、酵素、ホルモンなどをつくる原料となるのがタンパク質で、約20種類のアミノ酸が結合してできています。

タンパク質の分かりやすいイメージは、筋肉をつけるためにアスリートやボディビルダーが飲むプロテインですね。

一方、炭水化物は、体のエネルギー源であり、脂質は、エネルギーを貯蔵するほか、細胞膜の材料になったり、ステロイドホルモンの原料にもなります。

しかし、ここに書いた数行を単純に比較しても、圧倒的にタンパク質の方が体にとって必要なんだろうと感じられます。

タンパク質は水分を抜かすと圧倒的に一番多い

細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入門にはこのように書かれていました。

タンパク質は、細胞を構成する成分の中で水を別にすると、一番多いのです。

細胞がどんな物質からできているかは、分析すればわかります。大腸菌細胞を調べると、その70%は水で、4%がイオンや分子量の小さい化合物でした。

残りの26%が生体高分子で、多いものから順番に並べると、タンパク質(15%)、RNA(6%)、糖(2%)、脂質(2%)、DNA(1%)となります。

ヒトの細胞でも、この割合はさほど大きくは変わりません。

タンパク質の働き

さらに、細胞の分子生物学第4版には第3章「タンパク質」の前書きで、このように書かれていました。ちなみに、最新版は第6版が出ています。

細胞を顕微鏡で観察したり,電気的,生化学的な活性を分析するのは,実はタンパク質を調べているのである。

細胞の乾燥重量のほとんどを占めているタンパク質は,細胞を構築する素材であるだけでなく,細胞の機能のほとんどを担ってもいる。

たとえば酵素は,細胞内での化学反応に必要な複雑な分子表面を備えている。細胞膜に埋め込まれたタンパク質はチャネルやポンプを作り,小分子の細胞内外への輸送をつかさどっている。

細胞間の情報伝達や,細胞内で細胞膜から核への一群のシグナル伝達に働くタンパク質もある。

動く部分を備えた小さな分子装置として働く例として、細胞質で細胞小器官を動かすキネシン(kinesin)や,もつれたDNA分子をときほぐすトポイソメラーゼ(topoisomerase)などがある。

抗体や毒素,ホルモン,凍結防止分子,弾性繊維やロープとなるもの,発光にかかわるものもある。

遺伝子の働き,筋肉の収縮のしくみ,神経による電位伝導,胚の発生過程,さらには自分の体の働き方などを知るには、まずタンパク質をよく理解しておく必要がある。

分かりにくいところもありますが、タンパク質は細胞をつくる材料であるばかりでなく、細胞が生きるための機能にかかわっていることが分かります。

もう少し分かりやすい説明が、ウイキペディアに書かれていました。

タンパク質の生体における機能は多種多様であり、たとえば次のようなものがある。

酵素タンパク質
代謝などの化学反応を起こさせる触媒である酵素。細胞内で情報を伝達する多くの役目も担う。
構造タンパク質
生体構造を形成するタンパク質:コラーゲン、ケラチンなど
輸送タンパク質
何かを運ぶ機能を持つ種類で、酸素を運ぶ赤血球中のヘモグロビンや血液中に存在し脂質を運ぶアルブミン、コレステロールを運ぶアポリポタンパク質などが当たる。
貯蔵タンパク質
栄養の貯蔵に関与するタンパク質であり、卵白中のオボアルブミンや細胞中で鉄イオンを貯蔵するフェリチンやヘモシデリンなどである[16]。
収縮タンパク質
運動に関与するタンパク質。筋肉を構成する筋原繊維のアクチン、ミオシンなど。細長いフィラメントを構成し、互いが滑りあう事で筋肉の収縮や弛緩を起こす。
防御タンパク質
免疫機能に関与する種類であり、抗体とも言われる。B細胞によって作られるグロブリンがこれに当たる。
調節タンパク質
DNAのエンハンサーと結合して遺伝発現を調整するタンパク質や、細胞内でカルシウムを使って他のたんぱく質の働きを調整するカルモジュリンなどが当たる。

その他、よく知られたタンパク質に下村脩が発見した蛍光に関わる提灯形状のタンパク質であるGFPやRFPなどがある。特定波長域の励起光を受けると蛍光を発する。一部の生物(オワンクラゲ, スナギンチャクなど)にみられる。

出典

しかし、大人になって改めて学び直すと、タンパク質が、炭水化物や脂質といった他の栄養素とまったく違うことが一つあることに気がつきます。

タンパク質は自分専用である

食品の中の三大栄養素としてタンパク質、脂質、炭水化物を考えるとほとんど考えることがないことだと思います。

タンパク質の最大の特徴は、食べたあとで、自分専用のタンパク質に変わるところです。

中学生や高校生の頃にも理科や生物で習っていたと思いますが、覚えるのに忙しくて、別段不思議には思っていなかったことです。

たとえば、炭水化物は、分解されたあと、脂肪になって貯蔵されることはよく知られています。炭水化物は糖に分解され、さらに、アセチルCoAになってTCA回路に送られたり、脂肪酸に変わったりします。

脂肪は、脂肪酸とモノグリセリドになり、体の中でまたすぐに脂肪に戻ります。

炭水化物と脂質の変化は、体の中で起きる化学反応によるものだといわれても納得できるものです。

タンパク質は一度分解されてアミノ酸から自分用に組み立てられる

ところが、タンパク質は違います。タンパク質は、確かに食べものから摂る栄養の一つなのですが、食べたタンパク質はアミノ酸まで分解され、DNAからの設計図をもとに「自分専用」のタンパク質に組み立てられます。

この仕組みは、炭水化物にも脂質にもありません。

そして、自分専用のタンパク質は、他のタンパク質と厳密に区別されます。

アレルギーの原因であるアレルゲンは、基本的にタンパク質です。自分と自分でないものをタンパク質で区別しています。

アレルギー反応は免疫反応です。輸血を始め、自分専用以外のタンパク質が体内に入ると、免疫細胞に攻撃されます。

炭水化物や脂質は、ほぼ生きていくエネルギーを得るための燃料だといってよいと思いますが、タンパク質だけは、そのエネルギーを使って手間暇をかけ自分用に組み立てられるのです。

単なる栄養とはいえません。

まとめ

いまは好きなだけ食べられる、いや、食べ過ぎる時代ですが、それよりも長く続いた好きなように食えない飢えた時代の栄養事情はどうだったのでしょう。

はるか昔からからだの仕組みは変わっていませんから、タンパク質を自分専用に作りかえることを考えると、乏しい食料の量だったとしてもその中に占めるタンパク質の比率は高かったのかもしれませんね。

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