「トウモロコシの歴史」を読んだ

ポップコーンはお菓子でなくそもそも品種のことであり、炒って膨らませて食べる歴史はかなり古いです。また、コーンフレークはもともと健康食品として考案されましたが、当初は、若者の性欲を抑える効果も期待されていたのだそうです・・・。

とうもろこし

トウモロコシの歴史 (「食」の図書館)を読みました。

この「食」の図書館シリーズは実に面白い本が多いです。もちろん、この本も面白かったです。読んで初めて知ったことが2つあります。ポップコーンとコーンフレークの話です。

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ポップコーンが品種のことだとは知らなかった

ポップコーンはトウモロコシを加工した食べもののことだけでなく、そもそも品種のことだったのです。ご存知でしたか?歴史も長い。

ポップコーン

ポップコーンはフリントコーンに近い種だ。胚乳のほとんどが硬質デンプンで、軟質デンプンは内部にわずかにあるだけだ。熱するとデンプン中の水分が一気に蒸気となって破裂する。

ポップコーンはトウモロコシの最古の品種のひとつであり、起源は少なくとも5600年前にさかのぼる。

1785年、ベンジャミン・フランクリンは、アメリカ先住民のトウモロコシの料理法のひとつとして「パーチング」を紹介している。

砂を入れた鉄鍋を火にかけたところへ1キロほどのポップコーンを入れてかき混ぜるというものだ。「粒がはじけ、2倍ほどに膨れた白い実が飛び出してくる」と彼は書いている。

これは、そのままポップコーンのつくり方です。しかし、トウモロコシなら何でもポップコーンができるのかと思ったら、スイートコーンではできないそうです。

スイート種ではポップコーンはできない

同じトウモロコシのスイート種(甘味種)では種皮が柔らかいためポップコーンには向かず、仮に乾燥させた物を炒っても全く弾けず黒焦げになるだけである。(出典

私はトウモロコシなら何でもできると思っていました。しかも、品種ではなく食べ方のポップコーンの歴史がかなり古いことも初めて知りました。

ポップコーンは今でも映画とセットになっています。ただ、私はめったに映画館に行かないのと、私の年代は、ポップコーンよりもはっきり「かっぱえびせん」の世代です。子供の頃からポップコーンをたくさん食べたなあという記憶はないです。

あとで、栄養成分について書きますのでお楽しみに。

また、次に書く、コーンフレークの話もちょっとビックリしました。

コーンフレークは健康食品だが性欲を抑える・・・って

コーンフレーク

体は健康になるが、性欲は抑えられるとは・・・?今の時代ではなかなか理解できないのですが、そもそもコーンフレークはそのような目的で考案されました。

ジョン・ハーベイ・ケロッグ博士はコーンフレークの生みの親だ。博士は1894年、ミシガン州バトルクリークの療養地で、患者のための健康食品としてコーンフレークを考案し、バトルクリークは一時『世界のシリアルの中心地』と呼ばれた。

このセブンスデー・アドベンチスト教会の保養地で、博士は健康食として全粒粉、食物繊維を豊富に含む食品、ナッツ類の摂取を勧め、頻繁に浣腸を行うことを力説した。

アルコール、タバコ、カフェイン、香辛料は性欲を増進するという理由で禁止した。トウモロコシをフレーク状にして焼いたこの製品は、栄養価が高いだけでなく、マスターベーションを抑制する手段としても有効だと考えられた。

マスターベーションは精神疾患と肉体的衰弱、目のかすみ、モラルの低下を引き起こすと博士は信じていた。

ケロッグコーンフレークのCMは、私がたしか小学校低学年の頃、日曜日の朝の子供向けの番組でよく流れていました。牛乳と砂糖をかけて食べるような内容でした。

確か、小学校の給食でもコーンフレークの小箱が砂糖つきで出てきた記憶があります。

この記事を読んだとき、「あの年齢の子供の性欲を問題にするのか・・・?いくら何でも早すぎるだろう」と何だか変な感じを受けて、調べてみたらウイキペディアに記事がありました。

どうやらコーンフレークはケロッグ兄弟が考案し、ジョン・ハーベイ・ケロッグ博士は兄で、ウィル・キース・ケロッグという弟がいたようです。

ケロッグ博士の弟の会社が現在のケロッグ社

ケロッグ博士の弟の会社が現在のケロッグ社でした。

コーンフレークの口当たりをよくするために砂糖を添加するか否かで兄と仲違いし、兄弟は絶交した。

兄のケロッグ博士は、砂糖の摂取が性欲を増大させ、健康を損なうと考えていたためである。ウィル・キース・ケロッグの起こした会社が現在のケロッグ社である。

ケロッグ博士が性欲を増大させ健康を損なうと考えた砂糖ですが、私がテレビCMで見ていた時は、牛乳と砂糖をかけて食べるようにすすめられていました。

それにしてもケロッグ博士は、トウモロコシの粉を練って延ばして焼いて粉砕したコーンフレークの栄養成分に相当な自信を持っていたのですね。

では、次に、栄養成分を調べてみましょう。

トウモロコシの乾燥物の栄養成分

以前、トウモロコシの効果効能はヒゲにありを書いた時には、生のトウモロコシの栄養成分を調べましたが、今度は乾燥物です。水分が抜けるのでそれぞれの栄養成分が濃くなります。

比較のために大豆と玄米と精白米を載せました。トウモロコシの玄殻というのは皮をはがさないお米でいう玄米のことです。

そのまま食べるなら案外栄養がある

穀物は粉にして水を加えて煮て食べるのが一般的です。しかし、ポップコーンもコーンフレークも乾いたまま食べます。そう考えると、案外栄養があります。

ただ、栄養成分を見るとポップコーンは炒るために植物油を加えてあり、また、コーンフレークは砂糖(ショ糖)を4グラム足してありました。脂質が増えたり炭水化物が増えているのはそれが理由です。

大豆と比べるとだいぶ見劣りしますが、玄殻だけを見ても米よりもタンパク質や脂質が多いです。

100gあたりの栄養成分
食品成分 とうもろこし/玄穀/黄色種 ポップコーン コーンフレーク 黄大豆/乾 玄米 精白米
エネルギー 350kcal 484kcal 381kcal 422kcal 353kcal 358kcal
水分 14.5g 4g 4.5g 12.4g 14.9g 14.9g
たんぱく質 8.6g 10.2g 7.8g 33.8g 6.8g 6.1g
脂質 5g 22.8g 1.7g 19.7g 2.7g 0.9g
炭水化物 70.6g 59.6g 83.6g 29.5g 74.3g 77.6g
灰分 1.3g 3.4g 2.4g 4.7g 1.2g 0.4g
ナトリウム 3mg 570mg 830mg 1mg 1mg 1mg
カリウム 290mg 300mg 95mg 1900mg 230mg 89mg
カルシウム 5mg 7mg 1mg 180mg 9mg 5mg
マグネシウム 75mg 95mg 14mg 220mg 110mg 23mg
リン 270mg 290mg 45mg 490mg 290mg 95mg
1.9mg 4.3mg 0.9mg 6.8mg 2.1mg 0.8mg
亜鉛 1.7mg 2.4mg 0.2mg 3.1mg 1.8mg 1.4mg
0.18mg 0.2mg 0.07mg 1.07mg 0.27mg 0.22mg
マンガン 2.51mg 2.06mg 0.81mg
ヨウ素 0 Tr 0 Tr 0
レチノール ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0)
β-カロテン 99μg 91μg 72μg 7μg 1μg 0
β-カロテン当量 150μg 180μg 120μg 7μg 1μg 0
レチノール活性当量 13μg 15μg 10μg 1μg Tr 0
ビタミンD ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0)
α-トコフェロール 1mg 3mg 0.3mg 2.3mg 1.2mg 0.1mg
ビタミンK ‘(0) ‘(0) 18μg 0 0
ビタミンB1 0.3mg 0.13mg 0.03mg 0.71mg 0.41mg 0.08mg
ビタミンB2 0.1mg 0.08mg 0.02mg 0.26mg 0.04mg 0.02mg
ナイアシン 2mg 2mg 0.3mg 2mg 6.3mg 1.2mg
ナイアシン当量 (3.0)mg (3.2)mg 1mg 10.2mg 8mg 2.6mg
ビタミンB6 0.39mg 0.27mg 0.04mg 0.51mg 0.45mg 0.12mg
ビタミンB12 ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0) ‘(0)
葉酸 28μg 22μg 6μg 260μg 27μg 12μg
パントテン酸 0.57mg 0.46mg 0.22mg 1.36mg 1.37mg 0.66mg
ビオチン 8.3μg 1.6μg 27.5μg 6μg 1.4μg
ビタミンC ‘(0) ‘(0) ‘(0) 3mg ‘(0) ‘(0)
脂肪酸総量 4.32g 20.79g 1.17g 17.78g 2.35g 0.81g
16:0パルミチン酸 870mg 5400mg 330mg 1900mg 520mg 250mg
18:0ステアリン酸 110mg 630mg 93mg 510mg 48mg 20mg
18:1n-9オレイン酸 1000mg 6700mg 200mg 4500mg 810mg 200mg
18:2n-6リノール酸 2200mg 7600mg 520mg 8800mg 870mg 300mg
18:3n-3α-リノレン酸 91mg 180mg 32mg 1500mg 34mg 11mg
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用

ナイアシンは米とほとんど変わらない

トウモロコシはペラグラという病気の原因になったと何度か読んだ記憶があります。ナイアシンが欠乏してなる病気です。以前、ナイアシンはニコチン酸とニコチンアミドという記事で書いたことがあります。

この記事では、ナイアシン(ビタミンB3)について、どんな働きをするのか、一日の必要量について、ナイアシンが多く含まれる食品、過剰摂取について...

しかし、成分表で比較してみると、トウモロコシのナイアシンの含有量は米とほとんど変わりません。

ナイアシン当量は、アミノ酸のトリプトファンからもナイアシンが作られるので、その分も加えた数字です。

なぜトウモロコシが問題になったのでしょう?

アルカリ水で処理するニシュタマリゼーション

トウモロコシはアルカリ水で処理するとナイアシンが消化吸収されやすくなりました。

過去200年にわたりおもにトウモロコシで命をつないできたヨーロッパ、アフリカ、アメリカ南部の貧しい人々の間ではペラグラが蔓延してきたというのに、なぜ南北アメリカ大陸の先住民達はこの病気にかからずにすんだのか?(中略)

食事にビタミンB3(ナイアシン)が不足するために起こる栄養不良で、症状は4つのDで表される。すなわち、皮膚炎(dermatitis)、下痢(diarrhoea)、認知能力低下(dementia)、そして多くの場合死(death)にいたる。(中略)

1771年にはイタリア人医師フランセスコ・フラポリが、この病気を「荒れた肌」を意味する「ペラグラ」と名づけた。

この病気は、フランス南東部では少なくとも1818年までに、ルーマニアでは1812年またはそれ以前に、オーストリアでは1887年またはそれ以前に、ハンガリーでは1888年までに、エジプトとロシアでは1890年代初めまでに蔓延していた。

アメリカ合衆国では1902年に最初の報告がされており、300万人がこの病気にかかった。(中略)

先住民の人々はトウモロコシの穀粒を、砕いた木灰(きばい)、石灰(せっかい)または貝殻を溶いた水に浸してやわらかくし、種皮をほぐして洗い流した。

このアルカリ水による処理法はニシュタマリゼーションと呼ばれ、それによって結合性ナイアシンが消化吸収されやすくなる。

中米が原産地とされるトウモロコシはペラグラになるかもしれないデメリットがありましたが、ずいぶんと広く栽培されています。

トウモロコシは栽培しやすい

私は北海道でトウモロコシ畑を見ていたので、どちらかというと寒いところで育つ作物なのかと思っていました。そうではなくて、トウモロコシは環境適応力が強い作物です。

トウモロコシはきわめて広範に生育する植物であり、海抜ゼロから海抜1万2000フィート(3360メートル)まで栽培可能だ。

ロシアやカナダの北緯50度付近から、南アフリカの南緯50度付近まで栽培されている。年間降雨量250ミリ以下でも、あるいは反対に10000ミリ以上の地域でも生育するが、最大の収穫量が得られるのは生育期に760ミリ以上の降雨がある地域だ。

生育および成熟の期間は3か月から13か月におよぶ。トウモロコシが伸びる音が聞こえるという人がいるが、聞くところによると、トウモロコシは一晩で11センチも伸びることがあるそうだ。

これを読むと、寒くても乾燥地でも多雨地域でも栽培できることがわかります。

まとめ

トウモロコシは栄養的にあまり特徴がないと思っていましたが、乾燥させたコーンをポップコーンにして食べると、水分が抜けているので意外と栄養があります。

コーンフレークは健康食品として考案されましたが、もともと性欲を抑える目的があったものでした。今の時代ではちょっと考えられないですが。

トウモロコシは環境適応力が強く、広範な地域で栽培されましたがトウモロコシに頼っているとナイアシン不足からペラグラの問題がありました。しかし、含有量は米と変わりません。

トウモロコシをアルカリ水で処理するニシュタマリゼーションを行えばよかったのです。

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