ビタミンCが体の中に貯蔵されること。どこにどのくらい貯蔵されるか。ビタミンCを体の中に貯蔵しやすい飲み方について調べました。体内の貯蔵量は4.5gくらいになるようです。
新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケアを読みました。
著者の村田晃先生は、ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー) を翻訳された方です。
この本は現在でも入手可能で、共立出版の本としては読みやすい本です。
ポーリング博士のビタミンC健康法とあわせて読むとよいと思います。ただし、こちらは絶版なので、図書館で探してください。
ビタミンCは貯蔵される
少し前に、ビタミンCの発見を順番に調べてみたという記事を書いた時、ビタミンCの結晶は雌牛の副腎皮質から発見されたことを初めて知りました。私はレモンなど柑橘類から発見されたのだろうと思っていました。
そして、ビタミンCの製造方法を調べてみたを書いた時に、ほとんどの動物は自分でビタミンCをつくることができることを知りました。
これらの事実を知ると、人にとってビタミンCは外から摂らなければいけないものですが、案外と量が必要で、きっと体に貯蔵されるのではないかと思いました。
もしそうなら、体のどの場所にビタミンCがどのくらいあるのだろうと思っていました。それをこの本で知ることができました。さすが翻訳された方です。
脳下垂体、副腎、水晶体に多い
ビタミンCは、小腸の上部(十二指腸と空腸上部)から吸収されます。
腸管から吸収されたビタミンCは、門脈という静脈を通って肝臓に行きます。ここで一部は代謝されますが、大部分は血流にのって、血球やあちらこちらの組織に配られ、そこで貯蔵されます。
表6に、食事から所要量程度のビタミンCを摂っている人の組織のビタミンC濃度を示します。
脳の下垂体、副腎が最高で、次いで、眼球(水晶体)、脾臓、肝臓、脳などで高いことがわかります。
表7には、ビタミンCの製剤を摂っていて、体がビタミンCで飽和されている人の組織の濃度と量を示します。
食事からビタミンCを摂っている人に比べ、三倍程度高い値になっています。
文中にある表6と表7を転載します。
副腎に多いのは、ビタミンCの結晶が発見された話から予想できます。水晶体に多いのは、きっと紫外線による酸化を受けやすいからなんでしょう。高齢になると白内障になる方が多く、うちの父もそうですが、手術を受けて視界がひらけたという話をよく聞きます。
私も老眼がひどく、視力の低下が気になっているので、ビタミンCを飲むときにとても嬉しい情報です。
組織 | ビタミンC (mg/100g) | 組織 | ビタミンC (mg/100g) |
脳下垂体 | 40~50 | 心筋 | 5~15 |
副腎 | 30~40 | 肺 | 7 |
水晶体 | 25~31 | 骨格筋 | 3~4 |
脳 | 13~15 | 睾丸 | 3 |
肝臓 | 10~16 | 甲状腺 | 2 |
脾臓 | 10~15 | ||
膵臓 | 10~15 | ||
腎臓 | 5~15 | ||
普通の食事をしている成人。 新生児はこれより高いし、高齢者はこれより低い。 |
ビタミンCを摂ると体内の貯蔵量は4.5gに
さらにこちらはビタミンC製剤を摂っている人の場合です。全般的にビタミンC濃度が増えます。絶対量の総和が4500mgなので、体の中に貯蔵されるビタミンCは4.5gと考えてよいようです。
組織 | 重量(g) | ビタミンC | |
濃度(mg/100g) | 絶対量(mg) | ||
骨格筋 | 32,000 | 4 | 1,150 |
骨格 | 11,000 | 10 | 990 |
脂肪組織 | 11,000 | 5 | 450 |
血液 | 5,000 | 1.4 | 70 |
皮膚 | 4,700 | 15 | 635 |
肝臓 | 1,500 | 30 | 405 |
脳 | 1,300 | 25 | 295 |
小腸 | 800 | 20 | 145 |
肺 | 800 | 15 | 110 |
血管 | 400 | 5 | 20 |
心臓 | 300 | 10 | 30 |
腎臓 | 300 | 10 | 30 |
大腸 | 300 | 20 | 55 |
胃 | 200 | 20 | 35 |
脾臓 | 150 | 30 | 40 |
膵臓 | 100 | 20 | 20 |
睾丸 | 50 | 20 | 10 |
副腎 | 12 | 70 | 10 |
合計 | 69,915 | 4,500 | |
[体重60㎏あたり] |
ビタミンCの貯蔵量について村田晃先生はこのように書かれています。
体全体のビタミンCの貯蔵量は、食事から五〇mg程度のビタミンCを摂っている人で、一五〇〇mg程度です。
これに対して、ビタミンCの製剤を摂っていて体が飽和されている人では、およそ四五〇〇mgです。
体をダム、体内のビタミンCの貯蔵量を水位でたとえると、体がビタミンCで飽和されている人は、満水状態です。
他方、食事からビタミンCを摂っている人は、三分の一の水位ということになります。
三分の一の水位で働くビタミンCの作用はわずかですが、水位が上がるにつれて作用の数がしだいに増し、満水では、全ての作用がフルに働くようになります。
体をビタミンCで満たすことは、理想であり望ましいことです。これが自然であることは、次のことからわかるでしょう。
人はビタミンCをつくることができません。しかし、大多数の哺乳動物は、体のなかでビタミンCをつくっていて、組織はビタミンCで飽和されています。
そして、この状態が最高の健康状態なのです。人と同じようにビタミンCをつくれないサルやモルモットは、実験動物として使われています。
実験にさいして、動物の健康状態をベストに保つためにビタミンCが与えられますが、その量は、二~十二gで(人の体重六〇㎏あたりに換算)、もちろん組織を飽和させる量です。
どんな飲み方をするとよいか
私はビタミンCについて調べ始めてから、早速、自分でも飲み始めています。かなり酸っぱいので水に溶かして飲んでいます。
しかし、一度、外で一杯飲んで帰ってきて、酔っているのでいいかげんな量を(多分小さじ1くらい)飲んで寝たら見事に下痢をしました。そうそう。たくさん飲むと下痢します。
ビタミンCはたくさん飲んでも尿から出ていってしまうし、一度にたくさん飲むと下痢します。
どのくらいの量をいつ飲めばよいのでしょうね。
食後がよいみたい
本を読むと、食後に小分けにして飲むのが一番効果的みたいです。
(前略)空腹か満腹かで違います。個人差も大きいものがあります。
表5に示すように、食事のすぐ後に摂ったとき(満腹時)、一〇〇mgでは大部分が吸収されますが、グラム単位になると、吸収率はしだいに低下します。
しかしながら、吸収される総量は、三gまで増大します。
この人は、食後の吸収率は、一gのとき七五%と高いのですが、多くの人について調べると、一gの時は四五~六〇%(平均五二%)が普通です。
食間のときは(空腹時)、二〇~五〇%(平均三四%)と低くなります。このようにビタミンCの吸収は、人によって違いますし、また食事の前後で違うのです。
空腹時に一g摂取するときの吸収率は、二〇~五〇%(平均三四%)ですが、同じ量を八回にわけて、一二五mgずつ十五分ごとに摂取する場合には、四五~六三%(平均五三%)と高くなります。
吸収からみると、ビタミンCの効果的な摂り方は、一日の摂取量を三回にわけて、三度の食事のすぐ後に摂ることです。
文中の表5を転載します。これは一人の被検者について測定されたものです。
摂取量(mg) | 吸収量(mg) | 吸収率(%) |
100 | 80~90 | 80~90 |
1,000 | 749 | 74.9 |
2,000 | 879 | 44.0 |
3,000 | 1,172 | 39.1 |
4,000 | 1,099 | 27.5 |
5,000 | 1,051 | 20.9 |
非喫煙の成人男子に増量しながら連続投与 [Hornigらによる] |
まとめ
視力が落ちるスピードをなんとかしようと思ってビタミンCを飲み始めました。3年前に始めた時は、ポーリング博士のビタミンC健康法 (平凡社ライブラリー) を斜め読みしただけだったので、すぐに飽きてしまいました。
今度はじっくり読んで、さらに関連する本も読んでいるので、気長に続けて行けると思います。そして、何しろ、食品添加物のL-アスコルビン酸は安いから続けられます。
ビタミンCについての他の記事は、ビタミンCの記事についてをご覧下さい。