栄養学を拓いた巨人たちを読むと、ビタミン研究は、今では考えられないことに、死に至る病だった欠乏症を解決するために進んだことがわかります。
私はこの本を、いろいろなビタミンが発見された歴史を知るために読みました。
ビタミンについて調べていると、欠乏症と過剰摂取の話が出て来ます。今の時代、普通の食生活をしているなら、欠乏症になることはほとんどないと思います。
どちらかというと食べすぎやサプリメントによる過剰摂取の害を心配しなければいけない時代です。
ビタミンの話は日常的によく聞きますが、あまり重要視されないのは、欠乏する心配がほとんどないからかもしれませんね。
しかし、ビタミン研究は欠乏症の解決によって始まります。
ビタミン欠乏症の話で有名なのは、壊血病とペラグラと脚気だと思います。特に、ビタミンCの説明を読むと、必ず「壊血病を防ぐ」と書かれています。
これらの病気は死に至る病なのですが、正直、どんな症状なのかわかりません。私は、ペラグラという病名すら知りませんでした。
パスツールとコッホによって細菌による感染症が明らかになった時代、原因探しは本当に大変だっただろうなと思います。細菌が原因であると考えると、いつまで経ってもビタミン欠乏症に行き着くことができません。
ビタミンに興味がある方は、発見の歴史を読むとその当時の切実さがわかり、より理解が深まると思います。
この本は、栄養学を学ぶ人や生化学を学ぶ人が、勉強に疲れた時に読むと新たな意欲が湧いてくる本です。