ビタミンB2は脂質代謝に重要

ビタミンB2は、化学名ではリボフラビンといわれます。脂質の代謝にとても重要なビタミンです。この記事では、ビタミンB2の1日の必要量、ビタミンB2を多く含む食品、欠乏するとどうなるか、発見の歴史について書きます。

レバー

ほとんどの食品は、ビタミンB2を、その補酵素型(タンパク質と結合した形)であるFMN(フラビンモノヌクレオチド)あるいはFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)の形で含んでいます。

そのため、ビタミンB2は、消化されてタンパク質から分離されなければ、小腸から吸収されません。

吸収されたビタミンB2は、輸送タンパクにより血液中を運ばれて細胞内に入り、ATPによってリン酸化されて、再びFMNとFADの形に変換されます。

FMNとFADは、還元されて(水素を受け取って)FMNH2とFADH2になることにより、酸化還元反応を行う多くの酵素の補酵素として働きます。

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1日の必要量

ビタミンB2は水溶性ビタミンなので、過剰な分はすぐに尿から排泄されます。食事で定期的に補給する必要があります。

日本人の食事摂取基準(2015年版)によると、1日の必要量(推奨量)は、成人男性で1.5~1.6mg。成人女性で1.1~1.2mgです。表中、推定平均必要量は、この数値を下回るとすぐに欠乏症が起きるわけではありません。余裕があります。

推奨量はさらに余裕を持った数値です。

ビタミン B2 の食事摂取基準(mg/日)
性 別 男 性 女 性
年齢等 推定平均
必要量
推奨量 目安量 推定平均
必要量
推奨量 目安量
0~ 5(月) 0.3 0.3
6~11(月) 0.4 0.4
1~ 2(歳) 0.5 0.6 0.5 0.5
3~ 5(歳) 0.7 0.8 0.6 0.8
6~ 7(歳) 0.8 0.9 0.7 0.9
8~ 9(歳) 0.9 1.1 0.9 1.0
10~11(歳) 1.1 1.4 1.1 1.3
12~14(歳) 1.3 1.6 1.2 1.4
15~17(歳) 1.4 1.7 1.2 1.4
18~29(歳) 1.3 1.6 1.0 1.2
30~49(歳) 1.3 1.6 1.0 1.2
50~69(歳) 1.2 1.5 1.0 1.1
70 以上(歳) 1.1 1.3 0.9 1.1
妊婦(付加量) +0.2 +0.3
授乳婦(付加量) +0.5 +0.6
特記事項:推定平均必要量は、ビタミン B2 の欠乏症である口唇炎、口角炎、舌炎な
どの皮膚炎を予防するに足る最小摂取量から求めた値ではなく、尿中にビタミン B2
の排泄量が増大し始める摂取量(体内飽和量)から算定。

ビタミンB2を多く含む食品

ビタミンB2を多く含む食品を、全食品から16位までランキングの表にしました。

肝臓(レバー)のり、わかめ、お茶、腎臓、心臓、まいたけやしいたけです。あまのりは、浅草のりの原料です。

現実的に100g食べるのは、レバーや焼き鳥のハツ(心臓)でしょうか。

酵母に多い

パン酵母を食べる人はいませんが、B2が酵母に多いということは、ビール酵母にも多いということです。ビールを飲んで補給できるのが個人的に一番うれしいのですが、たいていのビールは発酵を止めるために酵母を濾過して出荷されています。

取り除かれた酵母は、ビール酵母として販売されています。打錠されて栄養剤やサプリメントになっているものもありますが、粉状のものならもっと安く500円程度でドラッグストアで買えますよ。

ビタミンB2 : 含有量(出典
食品名 成分量
100gあたりmg
パン酵母乾燥 3.72
ぶた肝臓生 3.60
うし肝臓生 3.00
あまのり/ほしのり 2.68
まいたけ/乾 1.92
にわとり肝臓生 1.80
ぶたじん臓生 1.75
やつめうなぎ/干しやつめ 1.69
乾燥わかめ/板わかめ 1.50
せん茶 1.43
とうがらし乾 1.40
乾しいたけ 1.40
抹茶 1.35
玉露 1.16
にわとり/心臓生 1.10
生わらび 1.09

B2が多い野菜

ビタミンB2がたくさん含まれている野菜についても調べてみました。野菜の場合は、生で加工していないものだけ選びました。乾物は水分が抜けているので含有量が多くなります。条件を揃えるために除外しました。

あまりなじみがない野菜は、ウイキペディアにリンクを貼っておきました。

 ビタミンB2 : 含有量(出典
食品名 成分量
100gあたりmg
生わらび 1.09
モロヘイヤ/茎葉生 0.42
とうがらし/果実生 0.36
よもぎ/葉生 0.34
しそ/葉生 0.34
よめな/葉生 0.32
つるな/茎葉生 0.30
和種なばな/花らい茎生 0.28
トウミョウ/茎葉生 0.27
からしな/葉生 0.27
なずな/葉生 0.27
あしたば/茎葉生 0.24
パセリ/葉生 0.24
みずかけな/葉生 0.23
ふだんそう/葉生 0.23
めキャベツ/結球葉生 0.23
のびる/りん茎葉生 0.22
めたで/芽ばえ生 0.21
ようさい/茎葉生 0.20
ほうれんそう生 0.20

毎日普通に食べる野菜があまり出てきませんね。こまつな生は、0.13mg、キャベツ生は、0.02mg、にんじん皮つき生は、0.06mgです。

あれ、あんまり入っていませんね。

普段よく食べるものでB2が多い食品

ビタミンB2が不足すると困るので、普段よく食べるもので調べてみました。とても高くなったうなぎはめったに食べられませんが、納豆を毎日食べていると最低限は維持できそうです。

その他にさば缶水煮は安いし、まいたけエリンギも八百屋さんに行くとかなり安いです。納豆を食べて、魚を食べて、きのこ入りの味噌汁を飲んでいると不足することはあまりないように思います。

ビタミンB2 : 含有量(出典) 
食品名 成分量
100gあたりmg
うなぎ/かば焼 0.74
しろさけ/すじこ 0.61
塩さば 0.59
糸引き納豆 0.56
はたけしめじ/生 0.44
さば類缶詰水煮 0.40
まいわし/焼き 0.43
まいわし/生 0.39
エリンギ/生 0.22
まいたけ/生 0.19

ビタミンB2が欠乏するとどうなるか?

図解入門よくわかる栄養学の基本としくみには次のように書かれていました。

ビタミンB2は、体内にタンパク質と結合した形で存在するため、急激に外へ出てしまうことはありません。そのため欠乏症の発現は、ビタミンB1に比べるとゆっくりしています。

ビタミンB2は種々の栄養素の代謝における基本機能を果たすので、欠乏すると最初に徴候が現れるのは、皮膚や上皮組織のような細胞回転が早い(細胞が早く成長し、脱落して、次々と生まれ変わる)組織です。

症状としては、口唇炎(こうしんえん)、舌炎(ぜつえん)、口角炎(こうかくえん)のほか、鼻の周りや陰部の脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)などです。

また、「まぶしい」「涙が出る」「眼の灼熱感」「視力低下」など眼の症状も起こります。白内障の発症にも関係があります。

ただしこれらの症状は、ビタミンB2のみの欠乏で起こることは少なく、たいていは他の栄養素の欠乏と同時に現れます。

舌炎は、口内炎に含まれます。ここには書かれていませんでしたが、口内炎がビタミンB2不足から起こるという記事はたくさんありました。

脂漏性皮膚炎とは、頭部や顔面にフケ様の付着物を伴う湿疹で乳児・成人に多発するものです。(出典

B2欠乏症から回復するための必要量

日本人の食事摂取基準(2015年版)には、欠乏症からの回復実験による必要量の推定という記事がありました。こちらは一度B2を欠乏させてから回復のための必要量を出しています。

日本人を対象とした。ビタミンB2欠乏実験の報告が一つある。

例数(男性2人、女性2人)は少ないが、欠乏食を投与し始めると5週目から6週目に咽頭痛の訴えに始まり、舌縁痛、口唇外縁痛が起こり、歯茎、口腔粘膜より出血し、羞明(しゅうめい)、眼精疲労等を訴えるようになったとの報告がある。

回復実験で0.5mg/日のビタミンB2を10日間投与させることにより諸症状は急激に軽快したと記載されている。

実験期間中、ビタミンB2を1mg/日投与させた対照者(女性1人)には、全く諸症状は見られなかったことも記載されている。

したがって、欠乏症を予防するに足るビタミンB2は0.5mg/日程度であると思われる。相対生体利用率(64%)を考慮すると、食事性ビタミンB2量としては0.78mg/日となる。(出典

羞明(しゅうめい)とは、まぶしさを過剰に感じる状態のことをいいます。

口腔粘膜から出血とは、口内炎のことでしょう。実験から欠乏症を予防できる最低量は0.5mgあたりになります。毎日納豆を2パック(100g)食べていると大丈夫ですね。

過剰摂取は?

ビタミンB2の過剰摂取は心配ないようです。

日本人の食事摂取基準(2015年版)に解説されていました。

通常の食品で可食部 100 g 当たりのビタミン B2 含量が 1 mg を超える食品は、肝臓を除き存在しない。通常の食品を摂取している人で、過剰摂取による健康障害が発現したという報告は見当たらない。

リボフラビンは、水に溶けにくく、吸収率は摂取量が増加すると共に顕著に低下する。また、過剰量が吸収されても、余剰のリボフラビンは速やかに尿中に排泄されることから、多量摂取による過剰の影響を受けにくい。

偏頭痛患者に毎日400mgのリボフラビンを3か月間投与した実験や、健康な人に11.6mgのリボフラビンを単回静脈投与した場合においても健康障害がなか
ったと報告されている。

したがって、ビタミンB2の耐容上限量は設定しなかった。(出典

ビタミンB2の発見の歴史

ビタミンB2の発見は、栄養学を拓いた巨人たちに紹介されていました。脚気にかからないようにするのはビタミンB1の働きですが、ビタミンB1を抽出するときに別な働きをするビタミンとして発見されました。

1919年、オズボーンは、酵母の抽出液を加熱すると、その中にある抗多発神経炎因子、つまり抗脚気因子のはたらきは失われるが、動物を正常に成長させる成長促進因子の働きは失われないことを見いだした。

抗多発神経炎因子はすでにビタミンB1(サイアミン)として同定されていたので、彼はこの耐熱性の成長促進因子を「ビタミンB2」と命名した。

マッカラムが水溶性B因子と呼んだ物質は、2つの異なるビタミンを含んでいたのである。

ロンドンのリスター研究所の女性化学者チックは、食餌制限したラットを使ってビタミンB2の効果を実際に確認した。

また、コロンビア大学の女性化学者ブーハーは、ミルクの上澄みにある黄色の物質を抽出し、精製したところ、これがビタミンB2そのものであることを見いだした。

さらにドイツの化学者リヒャルト・クーンも、これと同じ物質をホウレンソウ、肝臓、腎臓から抽出し、ビタミンB2であることを確かめた。

ポパイがホウレンソウの缶詰を食べると元気になり大男を投げ飛ばす、という宣伝映画のアイディアはここからでている。

牛乳は、100gあたりB2が0.15mg含まれています。ほうれんそう生には0.20mg含まれているので、牛乳より少しだけ多いです。

まとめ

ビタミンB2はどんな役割をしているのだろう?成長促進因子と聞いても、よく分かりません。このような時は、生化学の本を読んで、関わりを知るのがよい方法です。

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