この記事では、やまいもの栄養成分、やまいもの滋養強壮など健康効果について、授乳中のお母さんには注意したいことなどについて書きました。
八百屋さんに行くとながいもをいつも売っていて、ながいもは体によいのだよなあと思いつつ、いつも買わずにいます。うちでご飯にかけて食べるのはたいてい納豆だからです。
やまいもは総称
やまいもは、ながいも、やまといも、自然薯(じねんじょ)を含むヤマノイモ科のいもの総称です。とろろいもとも呼ばれます。ただ、ながいも、やまといも(いちょういも)、自然薯は別品種のやまいもです。すりおろした時の粘りの強さが異なります。
自然薯(じねんじょ)が一番粘りが強く、次いで、やまといも(いちょういも)、一番サラリとしているのがながいもです。
やまいもの栄養成分
ながいも、やまといも(いちょういも)、じねんじょについて栄養成分を調べました。ながいもには水分が多く、やまといも、じねんじょには水分が少ないですから、粘りに差が出るのはわかります。
しかし、炭水化物が多く、カリウムが多いことくらいしか栄養成分では特徴を感じません。
ながいも塊根生 | やまといも塊根生 | じねんじょ塊根生 | |
カロリー | 65kcal | 123kcal | 121kcal |
水分 | 82.6g | 66.7g | 68.8g |
たんぱく質 | 2.2g | 4.5g | 2.8g |
脂質 | 0.3g | 0.2g | 0.7g |
炭水化物 | 13.9g | 27.1g | 26.7g |
カリウム | 430mg | 590mg | 550mg |
カルシウム | 17mg | 16mg | 10mg |
マグネシウム | 17mg | 28mg | 21mg |
リン | 27mg | 72mg | 31mg |
鉄 | 0.4mg | 0.5mg | 0.8mg |
亜鉛 | 0.3mg | 0.6mg | 0.7mg |
レチノール活性当量 | 0 | 1 | Tr |
ビタミンD | 0 | 0 | 0 |
α-トコフェロール | 0.2mg | 0.2mg | 4.1mg |
ビタミンB1 | 0.10mg | 0.13mg | 0.11mg |
ビタミンB2 | 0.02mg | 0.02mg | 0.04mg |
ビタミンC | 6mg | 5mg | 15mg |
食物繊維総量 | 1.0g | 2.5g | 2.0g |
※日本食品標準成分表2015年版(七訂)から引用 |
2つの消化酵素が含まれている
やまいもはたんぱく質分解酵素(プロテアーゼ)を豊富に含んでいるので、たんぱく質の消化を助けます。また、でんぷんを消化する酵素、アミラーゼも多く含まれているため、いも自体だけでなく、食べたものの消化を助けます。
消化酵素は高温に弱いので、すりおろして生で食べるのが一番よい食べ方です。
やまいもの効果
薬剤師であり、あん摩指圧マッサージ師でもある橋本紀代子先生の食べものはくすりを読むと、やまいもの効果について、滋養強壮と糖尿病について書かれていました。
ヤマイモは滋養強壮のスタミナ食品。せきや痰を除き、寝汗にも有効です。病気で体力が落ちたときなど、体力を回復させ、栄養の不足を補うなどの効果があります。(中略)
糖尿病などによく用いられる「八味丸」(はちみがん)や「六味丸」(ろくみがん)などの漢方薬には、ヤマイモが「山薬」(さんやく)という名前で入っています。
山薬は、生のヤマイモを切り、乾燥させたものです。ネバネバの成分の中には血糖値を下げる働きも認められています。
ヤマイモを常用すれば、足腰がシャンとするだけでなく、口の渇き、多尿、頻尿、白内障などの糖尿病の症状に有効です。特に夜間にトイレに行く回数が多い場合には、常食したい野菜です。
また、耳や目の働きを良くし、とくに高齢のために低下した聴力や視力の回復に役立ちます。
糖尿病になると若くても足腰に力が入らなくなったり、足の指先の感覚がマヒすることがあります。ヤマイモは足腰を強くする野菜です。
『医心方』には「長命となる」との記載もあります。
さすが薬剤師の先生です。これだけ説明されると、買ってこようという気になります。
山薬をホワイトリカーに漬ける
また、自分で採れる薬になる植物図鑑にはこんなことが書いてありました。
滋養、強壮、疲労回復には山薬酒も効果がある。乾燥品約200gを刻み、砂糖100~150gとともにホワイトリカー1.8Lに漬けて3ヶ月以上おく。
これを毎日盃一杯就寝前に服用する。
体に潤いを与え、滋養強壮に役立つ
世界一やさしい! 野菜薬膳食材事典にはこんな効果が書かれていました。
消化器や呼吸器の機能を高め、エネルギーを補うので、滋養強壮効果が期待できます。
食欲不振や消化不良、息切れの改善にも有効。また、「腎(じん)」に働いて潤す力を高め、乾いた咳を鎮めたり、乾燥肌を改善する効果もあります。
「腎」は生殖機能に関わるので、精力が減退したときや生理不順、老化防止にもおすすめです。
食べる薬草事典―春夏秋冬・身近な草木75種(農文協 2010)には滋養強壮についてこのように書かれていました。
生の根を食用、または乾燥根(山薬)を一日五~一〇g煎じて服用、または粉末として服用すれば滋養強壮剤となり、病後の衰弱などに効果がある。
また過労、寝汗、遺精、夢精にも効果がある。健胃、整腸、去痰、鎮咳剤として用いる他、夜尿症、疝気(せんき 下腹痛)に効果がある。
上記以外に2つ書かれていました。
貼り薬(生の根)
すりおろし、小麦粉と練り合わせて貼れば消腫、鎮痛剤としてしもやけ、ひび、火傷、乳腫に効果がある。また生の根と白ネギをすりおろして混ぜて塗布すれば腫物、しもやけ、火傷に効果がある。
頻尿、激しい咳(生の根)
頻尿にはすりおろし、酒、塩、ネギを少量入れて煮立てて服用する。激しい咳にはすりおろし、砂糖を加え、湯で飲む。
授乳中のお母さんはご注意を
滋養強壮によいやまいもですが、少し注意事項があるようです。同じく食べものはくすりからです。
ヤマイモには、アレルギーのときにできる物質と同じアセチルコリンなどが含まれます。授乳中のお母さんが食べるときは、ゆでこぼしたものにしましょう。
離乳食には用いないほうが安全です。どうしてもというときは、ゆでこぼしたものにしましょう。
ゆでこぼすとは、材料のアクや渋み、ぬめり、臭みなどを抜くために行います。
具体的には、材料を水に入れ火をつけて沸騰したら(場合により2~3分茹でたら)、ざるなどで材料を取り出し、ゆで汁を捨てます。
保存方法
呼吸をしているので、パックの口を開け、その上からラップをかけて冷蔵庫の野菜室で保存します。すりおろしたものは冷凍保存します。
まとめ
たべものはくすりに書かれていたやまいもの効果を読むと、定期的に買って来て食べた方がいいなと思いました。視力1.5~2.0の人生だったのですが、40代中盤から本を読むときに100均の老眼鏡が必要になり、その後は視力が低下しています。
うちの父親は耳が遠くて補聴器をつけていてもあまり効果的ではありません。いずれ私もそうなるのだろうと思っています。
ところで、仙台名物牛タンには麦とろがつきものですが、麦とろはなかなか理にかなった食べ方だそうです。新・野菜の便利帖健康編(高橋書店 2016)によるとこのように書かれていました。
「麦とろ飯は何杯食べても腹をこわさない」といわれます。これはでんぷん質分解酵素のアミラーゼを豊富に含んでいるから、いも類でありながら生で食べられるのもアミラーゼのおかげです。
高温に弱いので、とろろ汁に使うだし汁は40~50℃に冷ましてから入れましょう。